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なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
80/141

80.ヒドラの正体

挿絵(By みてみん)


ヒドラの正体


「レインボー・スティック!」

なっぴが七龍刀を左右に振る、ヒドラの数本の触手が苞ごとドサリと地面に落ちた。

「グリュリュリュッ……」

たちどころにそれは消え去った、なっぴの持つ浄化の力の方がスサノヒドラをついに超えた。

「ええいっ忌々しい、リリナの末裔、お前たちの役目を忘れたのかっ!」

ヒドラは明らかにうろたえてそう口走った。ついにスサノヒドラはなっぴを浄化する事を諦め、その動きを止めた。


「役目ってなんですかぁ?」

耳の側に手のひらを添え、大げさになっぴが聞き返した。

「うぬ、忘れたとでも言うのか」

もちろん、なっぴは知っていた。マンジュリカの精が彼女の脳にその記憶を残していったのだ。

「リリナの娘、リカーナはわれにこう約束した。新たな生体エネルギーを集めるために、しばらくルノクスを離れると。引き換えに再誕の術を封印して欲しいとな」

「再誕の術を封印して欲しい……」

「そうだ、リカーナは不老不死を自らの体に封印してしまった。せっかく持っていたイブの力もそれで消え去った」


「イブの力は不要だと、そうリカーナがいったのね」

「もう一人われにそう言ったものがいた。あのゴリアンクスでも……」

「カグマ博士」

「そんな名だった、もっともゴリアンクスの男はイブではない、自らの体に封印したところで制御などできない。身の程知らずの男は、たちまち粉々に砕け散った」

そのかけらのひとつが、闇の力により変化し、ナツメの石に変わったことは誰も知らなかった。



「マナの力があなたに集まり、スサノヒドラに変わったように見せてはいたけれども、正体を現したわね」

なっぴは「その確信」をついに得た。タオもヨミもそしてマナもそんな約束などするはずもない。リリナと最後にあった神の子「マルマ」ですらそんなことは知らないはずだ。

「あなたの正体はマナとヨミから生じた干からびた手首」

「……」

「マルマを追い、あなたがルノクスに着いた時、すでにマルマは原始生命体へと姿を変えていた。その一つバジェスはイブとしてリリナ・スカーレットを選び、虫人を生み続けていた。マルマの残したもう一つの原始生命体ノアはイブの代わりにダーマという寄代を持っていた」

「われは、ひからびた手首だと……」

「あなたは再誕の度にリリナが流す涙を得て生きていた、再誕の際に邪魔になるのは過去の記憶。この地球ではアガルタの再誕のプログラム、エスメラーダ人魚たちに受け継がれた記憶をね」


「過去の記憶は、元の原始生命体に戻るべきもの、再誕するお前たちには邪魔なものだ。リリナは、われにその始末を頼んでいた、しかしある時ルノクスから虫人たちは消え去った。われを残したまま……」

「ルノクスに残されたあなたの名前は、ビドル」

「リリナはそう呼んでくれた、お前は何でも知っているのか」

「私は、遠い昔のリリナの記憶もこの胸の引き出しにある、わたしはマンジュリカーナ」

「マンジュ、今、マンジュと言ったか?」

「そう、マンジュリカの精霊に選ばれしもの」

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