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なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
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58.漆黒テントウ再び

漆黒テントウ再び


「オロチの牙」その緑色の勾玉こそ、「アガルタ」の「アクア・エメラルド」だ、それはやがて万龍刀に変わった。「オーロラの盾」は白龍刀としてオロシアーナが受け継ぎ、そして「カムイの嵐」はミコトの後を追って異界に届きついには黒龍刀になった。タオは言う。

「七龍刀は虫人の星からこの星に持ち込まれた。三つの龍刀を加え十握剣となったそれは、歪んだ次元を修復し、虫人をこの地に再誕させた。しかし見るがいい、そのためにその力を使い果たし、それぞれの輝きはすでにない」


精製されたマルマの力は七色の宝玉に勝る、それをヒドラは余すことなく食い尽くした。ヒドラの体に変化が見られた、求めていたもの「極上のマルマ」をついにヒドラはこの星で手に入れたのだ。

「ヒドラが小刻みに震え始めた、ここで出芽が始まるのか?」

ラクレスの言ったことは正しかった。ヒドラは八本の触手を一気に縮めると少女の体の中に一旦消えた。


「これから出芽するのはマルマを精製し、溢れるマナを持つ、宇宙の最高女神に違いない」

「アマテラス様よりも……」

「おそらく、人型を得た、最初の女神になるはずだ」

ギラファはテンテンにこう答えた。

「だが口惜しいのはそれを分離する力がすでになっぴに尽きているということだ」

「ツクヨミの力をなっぴは持っているとおっしゃられたではありませんか」

「しかし、なっぴに残ったその力はヨミの力だけだ」

輝くマナをヒドラに与えたなっぴに残るのはヨミの力、何度かその闇になっぴは取り込まれた。彼女がそれをうまく制御できるとは皆思えなかった、その時タオの声が響く。

「よいか「ヨミ」の力なくして「マナ」は輝かない。マナとヨミは表裏一体なのだ」


それを聞いて立ち上がったのは、リンリンだ。

「私をニジイロテントウに戻してくれたのは由美子の優しさだった。決してそれは特別な力でもない」

リンリンが次第に黒ずんでいく、なっぴを見つめた。ギラファが「ナツメの石」を取り出しリンリンに手渡した。

「このナツメの石は、エレファス王がその体に封じ込めていたもの、リンリンこれを再び使うことができるか?」

「私がやるっきゃないでしょ、皆私を守ってちょうだいね」

「ゲンチアーナ」

「母さん、虹色テントウが動くとき、それは今よ。見ていて」

「闇に負けないで、リンリン」

「母は強しよ、行ってきます。バイス」


ナツメの石の周りに暗黒の渦が巻く、そのどす黒い渦が次第にリンリンを包む。それは深い漆黒の輝きに変わっていった。例えれば「黒曜石」のように輝いていった。

「おお、これがナツメの石が熟成した輝きか。七宝玉とはまた違う、しかしこの美しさはひけをとらない……」

キングが漆黒の宝玉を見てそう言った。

「なっぴ気がついて」

リンリンは漆黒の宝玉、「漆黒テントウ」と化した。それに気づいたなっぴは、うなだれていた顔を上げた。黒化の進んでいる右手を高く上げた。

「リンリン着床、メタモルフォーゼ・ブラック!」

黒い霧に包まれたなっぴは、体に残ったヨミの力を使い、たちまち漆黒の戦士に変わった。


挿絵(By みてみん)


再びヒドラは少女の体から触手を伸ばしその先の口器をいっぱいに開くと、少女の体に食らいついた。そしてそれを引きちぎるように飲み込んだ。その凄まじい様子に皆、一瞬言葉を失った。そしてヒドラの太い、例えるならば「幹」の部分にある胞が膨れ始めた。


「出芽が始まった」

「新たなヒドラが生まれる」

「さあ今よ、なっぴ」

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