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なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
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51.クッティース

「クッティース」


再誕には「ヨミの扉」を開き、原始生命体「バジェス」=「ノア」の力を借りねばならない。その扉を開くには「マルマ」の持つ「ヨミ」の力を使い、「クッティース」と、こう呪文を唱える必要がある。


「クッティース」と言うのは神聖語で「再誕の扉」を意味し、「マンジュ」とは「始まりの神」を指すのだ。この呪文によって、原始生命体は新たな「生命」を生み出す。そうして生じた生命体には、当然、前世の記憶は残っていない。リリナはその記憶を自らの涙に残し、それとともに消し去っていた。


ヒドランジアとはヒドラの持つ「マナ」が集まり、出芽したマナの精「ナナ」が「マイ」に着床した姿だ。ヒドラの「ヨミ」の部分は古い体に封じられ、世代を受け渡してやがて地球の土塊となった。ヒドラはこうして出芽する度にマナの『純度』を高めていく。


「レムリア」を追うように一体のインセクト・ロイド、「サクヤ」が地球に降りた。この地球に移住していた「ムシビト」は異界に隠れるように住んでいた。リカーナの張った結界の中で虫人は「サクヤ」の目には触れなかった。結界がほころびた時には代々のマンジュリカーナが次元を超え修復していたのだ。その目的は虫人の身体に流れる『マルマ』の力をヒドラから隠す為だった。なっぴはマナ、ヨミだけではない、マルマを解放し、レムリア=バジェスという、原始生命体から虫人たちの再誕を行おうとしていた。彼女はタオがマルマを辺境の地に『封印』していたことをすでに知っていたのだ。マルマを身にまとったなっぴの前に、もう一つの「神の子」が現われた。


その「神の子」は「ナナ」が少し成長した姿に見えた。それは当然だとしても何も語ろうとはしない、だがまなざしには光はない。

「あなたのことは、ナナを通じてわかっているつもりよ。さあ、怯えないでその思いを叶えなさい」

なっぴはそう言うと長い「巫女舞い」をついに終えたのだった。なっぴは「神の子」と同じ衣装だ。その顔はマイに似ていた。その手には光輝くバイオレットキューが握られていた。「七龍刀」に「黒龍刀」「白龍刀」そして「万龍刀」が合わさり、なっぴのキューが著しくその形状を変えた。その枝分かれをしたバイオレットキューが「バジェスの剣」として現れる。太古には「十握剣(とつかのつるぎ)」とも呼ばれたものだ。


「ヒドラ再誕!」

なっぴはそう言うとバジェスの剣を一振りする。剣先からマナが溢れる、そしてヒドラを貫く。

「ついに、ヒドラを再誕させてしまったのか。マンジュリカーナよ後悔はしないのだな……」

タオは過去の記憶を思い出した。それは、「サクヤ・カグマ・アグル」の物語であった。

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