表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
49/141

49.ギラファの挑戦

ギラファの挑戦


「ギラファは突然ゴラリアへやってきた。そしてわしにこう言った」

「王よ、その肩の重い荷物を頂こう」


挿絵(By みてみん)


「ギラファが何故、赤い翡翠のことを知っているのが不思議だった。しかし、わしはその申し出を断わった」

「断わった?」

テンテンがエレファスに尋ねた。

「既にそれは、わしの意思まで操ろうとしていたのだ、勿論自傷など出来ない」

「それで、ギラファ様は戦士のお姿に変わられたのですか?」

「そうだ、シルティ。でなければあいつもきっと捕食されていた、俺の中のヒドラにな……」

「何、ヒドラ? それに捕食だと!」

ラクレスが大声を出した。

「赤い翡翠はそのヒドラとどういう関係なんだ?」

コオカがエレファスに尋ねた。エレファスが話を続ける。


「ヒドラのことを知っているのはシルティとマイだけだろう」

エレファスは二人にそう確認した。

「私は七色テントウの精『ナナ』としてのヒドラしか知りません」

とマイが応えた。

「マイ『ヒドラ』とはマナとヨミが最初に産んだ生命体『ひからびた手首』の事なのよ」

シルティはマイにそう教えた。

「天と地が別れた頃の記憶をナナは私に見せてくれた。でも私にはわからない、私はなっぴのようにマンジュリカーナではないから、だけどナナはどこか寂しそうだった……」

頷くシルティは話を続けた。


「ナナはヒドラから出芽した陽の精なの。そしてヒドラの古い体はこの星の地中深くにもぐり消滅した」


シャングリラとヒドラ


神の子「ラグナ」を追ってルノクスに向かう途中、ヨミの手首とマナは溶け合い新たな生命体が生まれた。それが「ヒドラ」だった。しかしヒドラがラグナに出会うことはついになかった。ラグナはすでにリリナ・スカーレットと出会い、生殺与奪の力「ノア」と「バジェス」に変わっていた。時を置かず、ヒドラの「出芽」が始まる。出芽とは分身のようなものだ、新たな子にはマナが溢れている。親のヒドラにはマナとヨミが共存していた。


シュラから虫人を救うために地球に向かった「インセクトロイド・サクヤ」には、出芽したヒドラが着床していた。しかし地球に訪れたサクヤは、シュラの存在を感知できないまま消滅した。その時ヒドラから次に出芽した「陽の精」が「ナナ」、そして地球で消滅した親ヒドラこそ「シャングリラ」の正体だった。七つの海の人魚が「ベニクラゲ」のように再誕を繰り返したのもヒドラの力と無関係ではなかった。


「ヒドラは何度かその体の一部、あるいは出芽した姿をこの地上に現しておる……」

タオがゆっくり話し始めた。

「悪魔ヨミ、イト、カイリュウ、ヤマタノオロチのような邪神やナナ、サクヤ、ヒドランジアのような陽の精として」

「マンジュリカーナは?」

「彼女はマンジュリカの精、マナに近い存在だ」

マイがタオの言葉を遮る。

「でも、ヒドラが虫人を捕食するってどういうことなのですか?」

「ヒドラは八本の触手を使い、ついに虫人を捕食するようになってしまったのよ、マイ」

ラベンデュラがマイに話したのは、ナナの古い記憶の伝えた真実だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ