44.ギラファの行方
ギラファの行方
「私の知る限りでは、ビドルは姿の無い精霊だ。なんにでもなり、姿は一定しない。ただマンジュリカ『生命の樹』の精に似て、生命力エネルギーに反応する。大きく異なるのはマンジュリカーナの生命力エネルギーにのみ反応するとされている。それを確かめようと虹のほこらに行ったのか、さすがギラファは念の入った男だ」
「さあ、デュランタを呼び覚ましてくれ、マンジュリカーナ」
そう言う初代ドルクの手をバイオレットがそっと握った。
「テンテン、マンジュリカーナにつなぎなさい、虹色テントウの力を余す事無く」
なっぴは濃い、七つめの紫の糸を紡ぎ始めた。それは足の指爪も剥がれたなっぴを包み始める。それは止まらない、なっぴの両足からはじまり、やがて紫の布が彼女を覆った。
「途切れしもの、つなぎしもの、絡まりしものよ、結」
呪文とともにレムリア連邦を任せられた、若い二人が現れた。
「おお、デュランタ、そしてドルク」
「二人だけか、ギラファは?」
ラクレスが尋ねた、不思議そうに二人は答えた。
「虹のほこらからあわてて出て行きましたが……」
デュランタ「テンテン」が母にそう答えた。
「何か気になったのか、ギラファは次元の谷へ向ったぞ。止めたのだがな」
ラクレスと同様に、自慢の角もかなり小振りになったコオカが続いて現れた。
「コオカ、シルティは一緒じゃないの?」
「由美子、いやサフラン。シルティは別の役目があるそうだ」
「そう言えば、まだマンジュリカーナは舞いを止める様子は無い。まるでシルティの巫女舞いの様だ」
コオカの言葉に一同は「ハッ」として目を見合わせた。
「間違いない、巫女舞いをしてマンジュリカーナは誰を呼び出そうと言うのだ」
「少なくとも、わしではない事は確かだ。小娘め、やりおるな」
「そのお声はヨミ様か?」
「コオカ、おまえたちもよく見ておくがいい、それぞれに封印していたものが今マンジュリカーナの元に集まる。それこそはじまりのものが行った事、タオ様そうでございましょう」
タオの声がこだまする。
「マンジュリカーナ以上の力をもって虫人たちを救うと言うのか」
ラベンデュラが復唱した。
「マンジュリカーナ以上の力……」
突然なっぴが棒のように体を硬直させ、七色の光を放った。額には「七龍刀」が一瞬現れ、溶けるように消えてしまった、一同は七龍刀の力をなっぴが全て取り込んだ事を知った。
「なっぴ、俺は見ているぞ。約束通り」
タイスケがそう言った。気を失いかけたなっぴが、タイスケを見て唇を動かした。無論声は出ない。