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なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
30/141

30.結集

結集


突然、なっびは頭上のバィオレット・キューを回転させた。セイレもミーシャも初めて見る光景だった。ところがタオはキューを回転させるなっぴの姿を見ると、明らかにうろたえた。

「やはり、そのつもりか。だが、おまえの方が先に力尽きように……」

巨大な紫の渦がなっぴの頭上に捲き起こる、そしてタオの虹色の羽から紫の光がキューに吸い込まれた。そして藍、青の光と続く。色褪せていく虹色の羽、輝きを増すバィオレット・キュー、しかしそれと共になっぴの意識はもうろうとしてきた。


「もういい、やめろ! わしの力はおまえ程度の力でどうにかなるものではない」

しかしそれには耳も貸さず、なっぴは仁王立ちのままキューの回転を続けた。

「なっぴ、しっかり。回転軸がブレないように!」

真っ先に寄り添ったのはセイレだ。


「アクアエスメラーダよ、我に力を!」

セイレの姿が人魚になった。緑の渦が更に輝きを増し、タオの緑色の光を吸い込んでいく。

「うううっ……」

ついにタオが呻き声を上げた。そしてその体に異変が起こり始めた。しかし、なっぴたちはタオの姿が赤黒く変わってきたことに少しも気づかなかった。


「いけない、タオがマナの力を無くしかけている」

気付いたのは、ミーシャの方がシルティより早かった。駆け寄るミーシャは白龍刀を使い、タオから溢れ出した光の中から、黄色の光を切り裂いた。

「上手い!なっぴの意識がこれで戻る……」

しかしそういいながら、セイレは力尽き、静かに目を閉じた。


「なっぴ、あれを見て!タオが……」

ミーシャがなっぴの側に立ち、指差す。その姿は「闇のなっぴ」その姿だった。

「ふふふっ、もうおしまいかい?」

なっびはその声に聞き覚えがある。なっぴの記憶にある、里香の記憶のものだ。「ヤマタノオロチ」いや「黒人魚」の声に違いない。


「マナ」と「ヨミ」は相反する「光」と「闇」。それをタオ以外に持ち合わせるものは、未だ現れない。なっぴの体がもちこたえる保証はない、しかしなっぴの手はキューを放すどころか更に呪文を唱える。


「レン・スティール!」

キューを伸ばし、更に巨大な渦をなっぴは作った。

「正気なのかい、ヨミの力を抑え込もうというのかい?」

「やるっきゃないでしょう、ねえミーシャ」

「そうね、それにやっと駆けつけた仲間もいるしね〜」

上空から降りてきたのは、なっぴに負けない虹色の輝きを放つ「デュランタ」だ。シュラに取り込まれていたテンテンをなっぴは真っ先に助けだしていた。


「今こそ、虹色の原石を解放する!」

なっぴはテンテンを身にまとった。そしてキューは虹色に輝く。レインボー・スティックが黄色の渦を巻き始めた。

「ヨミの力をなっぴに集めるにはあなたたちの力も必要です」

シルティがなっぴの体を支えながら命じる、一瞬ダゴス、ザラム、ガラムそしてゴラムの姿が見えた。やがて黄色の光が消え、次に橙色が輝きを増す。

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