表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
28/141

28.虹色のアゲハ

虹色のアゲハ


「おお!ヒメカ、クシナ。この私にもう一度その力を貸してくれるというのか」

マルマはその身体に残ったもう一つの力「生与」の力を解き放つ。同時に一度は砕け散った「紫水晶」が再結晶し、この星の先住民のメシアが現れた。その姿とはあの純白の巫女アゲハ『シルティ』だった。シルティが微笑み、こう呪文を唱えた。


「アマテラスの女神イオナよ、この星をあまねく照らしたまえ。アロマリカーナ!」

シルティの中にマルマの「生与」の力が集められ、金色の光がシルティを包む。

ゆっくりと目を開いた女神は創神になるはずだった「イオナ」だ。シルティの身体の中でマルマとイオナが融合され、マルマは再び人型を得た。


「さあ、心を合わせて唱えましょう。光も闇もこの星には必要なのだと」

シルティに促され、ミーシャもセイレもシルティの側に寄り添い、はるか天空を舞う『生殺与奪』の神を見上げた。それは黒と青の小さな蝶に見えた、絡み合い互いに一つに溶けようとでも思っている様に、それらは果てしなく舞い上がっていく。


なっぴがもしそれを見たなら、トレニアの丘で見たカブトとマンジュリカーナのことをきっと思い出したろう。なっぴにかわり、三女神の声が天空を震わせた。


「ナノ・マンジュリカーナ!」

天空を震わせる雷鳴と共に大粒の雨が降ってきた。しかし一瞬でそれは止み、美しい虹がかかった。小さな蝶がどこからか現れ、次第にこちらに近づいて来る。その羽にまるで吸い込まれる様に虹の色も薄くなり、すっかり消えた。虹色の羽のアゲハが三女神の前に静かに降り立った。


挿絵(By みてみん)


アマテラスもアマオロスもそしてツクヨミも姿形は無い。マナとヨミがタオの命じるままこの星に現したものだ。とすれば、その虹色のアゲハこそ、マナとヨミが混在するものに違い無い。聖三神はともに虹色のアゲハにかしづき、こうつぶやいた。

「ああ『タオ』様……」


その姿は美しい女神だった、タオはその姿で聖三神の前に現われたのだ。

「この星に私を呼び、いったい何をさせるつもりだ?」

「今一度、マルマ様をお迎えして頂きたいと……」

「アマオロス、この私に再考しろというつもりか!」

その瞬間、アマオロスの姿はまるで何かに剥ぎ取られるように消え去り、ミーシャがその場に崩れ落ちる。しかし、今度はツクヨミがミーシャに続けと進言した。

「そうです、マルマ様はこの星に生命体をお産みになったのです、この星を作られた最初の……」

「神だとでも言うつもりか!」

明らかに怒りの表情で、タオはツクヨミを消し去った。クシナの聖霊を抜き取られたセイレは、がくりと膝をつきなおもタオを睨みつけながら言った。

「あなたは、どうしても認めないつもりなのね」

「認める? 何を認めよというのだ、お前たちは……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ