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なっぴの昆虫王国 イブ編  作者: 黒瀬新吉
24/141

24.スカーレット

スカーレット


バジェスの触手が消え去り、スーツを紡ぎ終えた。その姿を見たマルマは驚愕した。

「おお、その姿はわしからサクヤを奪ったマナ。貴様はマナの化身だったのか?」

それを聞き留めたのは地球の巫女二人だ、セイレはこう言った。

「マンジュリカーナがマナの化身って?」

しかしなっぴは首を振り、二人に言った。

「ううん、これは、私の力じゃない。母さんの力、私は見習いのマンジュリカーナだもの」


「やれやれ、なっぴは結局見習いのままか」

ヒドラ・ボールの中で復活した「パピィ」を肩に止まらせ由美子がなっびに近寄る。

「そう言いながら、嬉しそうじゃない?」

妹リンリンを虹の原石に変え、それを左手に持ったままテンテンがからかった。

「これって、なんかスースーするのよねー」

マイが次第に青く色づく巫女着をつまみ、それに加わる。ここにフローレスの残した三姉妹の娘が集結した。


マイが王国の筆頭巫女「ヒドラジンア」として、こう呪文を唱えた。

「ヒドラジンアーナ!」

ヒドラジンア(マイ)は三人の身体を融合させ、「フローレス」を再誕させた。アロマリカーナの娘として生まれた、フローレスはアロマの術式を全て受け入れることは不可能だったため「壊れ」そしてその後「フローラ三姉妹」に再誕したとされている。だが、マルマは彼女を見ると、こう呼んだ。

「おまえは、スカーレット……」

なっぴは聞き返した。

「スカーレット?」


挿絵(By みてみん)


由美子の母は国の名が冠せられ、フローラと呼ばれている。巫女名「スカーレット」と言う、しかしそこに現れたのは由美子の母ではない。マルマは目前の「フローレス」を「スカーレット」と呼んだ、彼は彼女のことを知っていた。


実は「フローレス」こそマルマの生み出した「生与の神」であった。その姿はリリナの残した「サクヤ」と、うり二つの姿形だった。その「生与の神」をマルマは「リリナ・スカーレット・サクヤ」の名から「スカーレット」と呼んだ時期があったのだ。もちろん由美子の母、フローラル(フローラ国女王)の巫女名「スカーレット」ではない。やがてサクヤを無くしたマルマにとって、スカーレットを見るのも辛く、地球に残し消え去った。


カグマがある星に置き去りにされていたサクヤのぬけがらを見つけたのも、そのサクヤを使い作った「インセクト・ロイド」が虫人を救うために地球に向ったのも、偶然ではなかった。


シルティが王国で口伝したことがあった。

「アロマは言ったことがある。娘フローレスは『壊れてしまった』と……」

フローレスに注がれた術式はこの「スカーレット」のもつマルマから受け継いだ「生与の力」だった。それを制御するためには次代の巫女「フローラの三姉妹」の誕生を待たねばならなかったのだ。


やがて無数のノアの触手が伸びる。原始生命体ノアもまた「スカーレット」に「力」を与えようとしていた。ダーマの姿のまま、マルマはそれをただ目つめている。これから起こることはマルマがやり遂げられなかったことに違いない。そしてスカーレットは口を開いた。

「ここは? マルマ、約束通りお迎えにきてくださったのですね。ああうれしい」

その声にマルマは動転していた。

「ス、スカーレット。再誕しても記憶が残っているだと?」

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