片桐
この辺りでは連続殺人事件が起きている。殺された人はn中の女生徒。e高の男子生徒。中川さん夫婦。h新聞社の記者 伊野さん。そして今日、a大学教授の佐伯さんとその奥さん。この夫婦には子供が2人いる。姉は腕と頰に切り傷、妹はお腹付近を切られているが意識はある。
「じゃあ、片桐と瀬尾でその姉妹に色々聞いてこい。以上これで捜査会議を終える。」
片桐は私の名で瀬尾は私の後輩だ。2年前に入ってきたばかりの若手だ。
「瀬尾行くわよ」
「はい!えっと、入院しているのはw病院だから、ここから車で10分ほどです。」
「わかった」
「それにしてもターゲットも凶器もバラバラですね。最初の女生徒は刺殺。次の男子生徒は毒殺。中川さん夫婦は撲殺。伊野さんは転落死。そして、佐伯さん夫婦はまた刺殺。これ、同一犯なんでしょうか?」
「事件の日程的にそう考えるしかないのよ。ほぼ全部3日ごとに起こっているんだから」
「今回はあの姉妹が見てるのでもうそろそろ捕まりますね」
そう言っているうちに病院についた。
コンコン
「警察の片桐と瀬尾と申しますが、ちょっとお話しよろしいですか?」
「はい。どうぞ」
中には2人の美少女がいた。両親も整った顔をしてると思っていたが、思っていた以上に整っていた。
「あ、私が佐伯志乃でこの子が妹の佳奈です。」
見るからに頭が良さそうな子がそう紹介してくれた。妹さんはお辞儀だけした。
「ごめんなさいね。この子いつもは元気なんだけど、さすがにショックみたいで暗くなっちゃってるんです。」
「あなたは大丈夫なんですか?」
「辛いですけど、私がこの子を支えないといけないから…。」
「本当に偉いね。なんな僕の方が悲しくなってくるよ」
「おい」
「はい。すいません」
「で、事件の状況は?」
「事件はだいたい1:30頃に起きたんです。私は母の悲鳴で起きたんです。佳奈は私が起こしました。一階に行くと母が倒れていて。その先に誰か居たので父かと思って、近寄ったら犯人だったみたいでこっちに近づいてきて私を刺そうとした時、佳奈が私をかばって…。その後、悲鳴を聞いた近所の人が通報してくれたことによって殺されずに済みました。」
「ありがとう。そんな辛いこと話してくれて。」
「刑事さん…。早く犯人を捕まえてください!お願いです…。」
そう、堪えていた涙が溢れてきていた。その姿を見ていた私や瀬尾まで泣きそうであった。
「妹さんは?何か気づいたことある?」
そう聞いたが首を振った。
「そうか、ありがとね。じゃあ、この辺で。また、聞きに来るかもしてないからその時はよろしくね」
「はい。お気をつけて」
「いい子たちでしたね。なんで、あんないい子たちがあんな目に。世の中って理不尽ですね。」
「あの子たちはこの先どうするんだろう」
「親戚とかじゃないですか?」
「佐伯さん夫婦は両親の反対を押し切って結婚したはず。だからあの姉妹は祖父母の顔は知らないんだ。でも、施設に行くわけじゃなさそうだし、何よりあの姉が妹を支えると言っていた。2人で暮らしていくつもりなのかな?」
「あの歳では厳しいんじゃないんですか?高校生と中学生ですし、しかもあと半年で受験っていうこの時期に?2人とも頭が良さそうですし、学校ぐらいは行くんじゃないんですか?」
「お金は?」
「貯金とかですかね?」
「家も殺人事件があったから売れないだろうし、大学教授とはいえあんだけ大きい家のローンだってあっただろう」
「確かにそうですね。だったらあの2人はどう生きていくんでしょう?」