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仇になった  作者: 最高幻想
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殺されたボク

「だからね、そのxの解は三つあるだと思うのです。」

「ふー、いんたれすてぃんぐ」

 夜の道はなんか怖そう。

「そうじゃないんです!」

 ボクは今、妹と家に帰るつもりだ。ボクの妹の名前ははく 衣秀いしゅう、成績がよくないので、よく晩の自習のあとも勉強して、いつのまにか10時過ぎたってわけ。

 それで、兄として妹を保護するのが、ボクの日課だ。

「めんどくさいな。じゃー、『ふー、面白いね!』ってどう?」

「もう」

 衣秀がため息をついて、ボクとの会話を諦めた。衣秀の考え方は結構ディバージェント・シンキングなものなので、変な方向になる前に、ボクの方から阻止しなくちゃ。

 学生はほとんど帰った。今、この道はボクと衣秀…いや、まだ一人いるのか。

 不安な気がする。

「兄さん?」

 ボクが足を止めたのに気づいた衣秀は振り返った。

「いや、何でもない」

 向こうの人が近づいてくる。奴の目がボクとあった。

「早く帰ろう」

「うん」

 変な空気になった、でも大丈…

 血塗れ、地面も、隣の衣秀も、匕首あいくちをもってる人も。

 くびの動脈が切られた。体が力を失って、倒れている。

 衣秀は口を押さえて、目が丸くなった。

 逃げろ!

 話すことはもうできない。

 畜生め。

 …………

 目が覚めたら、変な部屋にいた。

 何があったっけ、誰かが匕首でボクの頸を切って、そしてちょうどいい動脈のところで…

 ボク、まだ生きているのか。

 そうだ、衣秀!

 この部屋は見覚えがある、確か…警備室?

 何で警備室?

 頭の中に、急に大量のインフォメーションが入った、その中に、一つの名前があった。

  ぜんって、三高さんこうの門番じゃん!衣秀が通っている三高、知著市第三高等学校。

 そんな…

 頭を上げたら、鏡に映っているのは戈善の顔だ。でもこの顔はボクの表情を作ってる。

 ボク、戈善になった?ふざけるな!

 戈善の記憶はすべて残っている。でも他人事みたいで、実感がない。

 ボクを殺したのは戈善だ。なぜボクを殺すのかの理由は見つからないが…消えたのかな。

 戈善の記憶は警備室に帰るまでだ。20分前、戈善は匕首でボクを殺した。

 そして衣秀は足早に、戈善から逃げた。

 よかった。

 服はまだボクの血を染めている、隣の机の上には、血の匕首もある。

 …ちょっとまて、こうなったら、人殺しは戈善本人じゃなくて、ボクになるってわけ?

 ボクがまだ混乱している間に、ノックの声がした。

 まずは血をなんとかしないと!

 でも残念ながら、警備室のドアはノーロックだ。

「戈善さんですか?」

 ちょっ、白衣秀?なんでお前はここに来たのよ。それに、元のボクの血もまだ処理していない、どういうことだ。

「あのう、私、通報しないから、ただ戈善さんと少し話があります。だから勝手についてきちゃいました」

 夜なのに、血塗れの二人がいい雰囲気って、ホラー映画かよ。

『ボクはお前の兄だ!』と言いたい。でも口は自分のじゃないみたい。何も出せない。

「戈善さん、ここでなにがあっても、私は通報しない。さっきのことも」

 衣秀はもう一度繰り返した。

 通報しないのはどういうこと?

「ゴムも要りません!」

 なにを言うのこのバカ。

 だんだん、衣秀がボクに近づいた。体は少し動くけど、口は何も言えない。

「シネ」

 いつのまにか、衣秀は机の上の匕首を手に入れた。そしていま、その匕首の刃先はボクに向いた。

「まてまて!」

 やっと話せる!

「なに?びびってんの?」

「いや、聞いてくれ、『ボクはお前の兄だ』!」

 クソ、なぜそれだけが話せない!

「とにかくシネ」

「いやいや!まずは落ち着け!」

「私の兄を殺した時、こういう態度じゃないみたい」

 衣秀の匕首をよけたあと、ボクはすぐ手の前にある本を盾にした。

 我が妹よ、ボクのために復讐をしてくれるのは嬉しいが、こういう違法手段はやめてください。

「ボクを殺したら、お前も殺人犯だぞ!」

「どうでもいいことです。私の兄を安心するためには、あなたを殺すしかありません」

「ちょっ」

 匕首が本を直接突き抜かされた。15の女子中学生だぞお前!

「衣秀、落ち付け」

 さすが体格の差は開きすぎ、ボクは軽く衣秀から匕首を奪った。

「ボクは『お前の兄』だ、いや、その、お前の『母の息子』だ!」

 なんで肝心なところは話せない!

「放して!」

「聞いてくれ、『お前の好みはクロワッサン』だ」

 これもだめか。

「呼びますよ」

「深夜は人いないでしょ」

「ちぇっ」

 いや、これじゃない、いまはまず衣秀にボクがまだ生きていると知らせないと。

「ボクは『あなた様の兄上』だ」

 やっぱりか。

「あのう、通報しないで欲しいが…」

「私はあなたをこの手で殺す!」

「怖い話はしないで、そのう、ボクは『お主の兄様』である」

 衣秀の目付きは疑心に満ちている。

「衣秀、お前は信じられないかもしれんが、ボクは『戈善じゃない』、お前の『兄』は死んでいない、だから、明日、ボクはちゃんと説明するの、なぜ戈善はお前の兄を殺すのか、そして、『お前の兄はどこにいるのか』」

 言い出さない単語はすくない、これで通じるかも。

「…あなたは何を言いたい?」

 ボクはいま、衣秀を掴む手を放したが、衣秀は逃げたり、武器を探したりもしていない、少しボクの話を聞いていたかも。

「とにかく、ボクは逃げないから、明日の昼休み、ここでまってる」

 …………


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