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プロローグ 滅茶苦茶な創世記

新作始めます。


 ある時、ある世界に一人の大魔導師がいた。


 空間を操り、時間を乗り越え、あらゆる物理現象を支配下に置く、人智を超えた魔導を極めたその大魔導師は、永遠の命と最強の力を手に入れた代わりに、退屈と言う心の病にかかってしまった。


 それは呪いと呼んでいいほどに、重く苦しく魔道士を蝕んでいった。


 酷い退屈に苦しんでいた大魔導師は、自分がいた世界から旅立ち、他の世界を見て回ることにした。


 様々な世界の様々な文明、様々な技術、様々な思想、様々な神秘に触れる間、彼は退屈を忘れることができた。

 だが、永遠の命を持つ彼にとっては、あらゆる世界の文明と神秘すらも一時的な退屈しのぎに過ぎなかった。


 いつの間にか、再び彼に退屈の呪いが舞い戻ってきていた。


 もう、退屈を紛らわすものなんて彼には残されてない。

 前より酷い倦怠感が彼を苦しめていった。


 結局、彼は一つの決定を下した。


 自殺しよう。


 幾ら治せない退屈の病でもただ耐えるだけなら簡単だ。感情レベルを最低レベルの落とせば済むことだ。

 だが、彼にはそうしてまで生き続ける理由がなかった。

 十分に長い生だった。あらゆる物を経験し、あらゆる物を理解した、充実だといえば充実した人生だった。


 もう死んでもいい。

 世界の理が自分を殺せなくとも、自ら死ぬことならできる。

 

 そう思った時だった。



 ()の声が聞こえた。


「お前を神の班列に乗せる事にした」と。


 だが、彼は首を縦に振らなかった。


「神の座なんて興味はない」と。


 しかし、続けて聞こえた神の「神になれば退屈はなくなる」と言う話が彼の心を揺らす。


 結局、彼は少し悩んだ後に神の提案を受け入れた。


 しかし、彼が神になるには、一つだけ資格が足りなかった。

 色んな世界をめぐりながらも彼は成長し続け、他の資格は既に手にしていたが、一つだけ、必要条件が足りなかったのだ。


 それは、世界創造(・・・・)だった。


 彼はそれを聞いて落胆した。


 世界創造なんて簡単にできることではない。

 箱庭の世界なら造った事があるから、自分の能力で可能なのは分かっている。

 だが、分かっているからこそ、それがどれ程面倒(・・)なことなのかも知っていた。


 その面倒な作業を世界規模でやるなど、気が遠くなる程の苦しみでしかない。


 だから、最初はその面倒を省ける為に自分が生まれた世界と殆ど変わらない世界を創ろうとしたのだが、それも神に止められた。


 彼のように神の資格を持つものが一度でも|生まれた環境は作ってないけない、と。


 ならば自分が旅した世界の中から参考にする(パクる)のはどうだろうかと聞いみたら、残念なことに、その世界も既に資格者が生まれた前歴を持っていた。


 もう残る道は、世界創世を地道にやっていくことだけ。


 だが、彼は一刻でも早く退屈から逃げ出したかった。


 そして、何か早く創り出す方法はないのか、悩んで、悩んで、悩みぬいて、その末に漸く一つの世界を創り出した。


 それは、彼が地球と言う星で読んだ、自分が生まれた星と少し似ている世界を描いた小説(・・)と、その小説を元に作られたゲーム(・・・)と、地球の環境を適当に織り混ぜて創った、滅茶苦茶な世界だった。


 その後、神になった彼は、神の世界に旅立った。

 世界の管理を自分が造った擬似人格(管理者)一任(まるなげ)して……。

  



 その小説の題名は、【アーデロス英雄伝】。


 地球で死んだ人間が、500年に一度開く世界の歪みを通ってやってきて、15歳の若い体と、特殊な能力を貰って転生することから始まる、剣と魔法のファンタジー物語だ。

 それを元に、一つの世界が出来上がった。


 そして、この世界が創られて2000年後、こんな滅茶苦茶な世界に、一人の日本人青年が足を踏み入れた。

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