第八話
第七話のスキルを追加しました。
今回も短めですが宜しくお願い致します。
2016年8月8日 内容を一部修正しました。
第八話
お世辞にもいい目覚めではない朝を迎えた。
「さて、朝飯でも収穫しながら村に帰るか…」
俺は、昨夜の自分のステータスやスキルの事を頭の隅に追いやってから、森の中を果物を収穫して、その大半を無限収納に入れつつ、それでも森に動物達が戻ってきた時に食べ物に困らない位は残して、村へと帰りはじめた。
薬草類にしろ、こういう果物類にしろとりつくすなと両親を含め村の大人達から言われていたので忘れずにそうした。
今はこの領域には殆ど動物達はいないが、それはあくまでも今回の騒動から逃げただけなので暫くすれば戻って来るだろう。
その時に食べ物が無いと困るだろうし、来年以降の事を考えるとそれは当たり前の事だからいつもその様にしている。
勿論帰る途中で見つけた果物類やキノコ類も適度に収穫していた。
収穫した果物を無限収納から取りだし食べながらだからそこまで収穫量はそこまで多くない。
手持ちの食料は既に尽きていたし、竜達の肉は食べる事は出来るが、最低でも独り立ちが認められる迄は今回の一件で手に入れた竜達の肉や素材、財宝の類いには手をつけないと自分自身で決めていたのでそれこそ餓死寸前迄か独り立ちする迄は無限収納の中で、箪笥の肥やし状態になっているだろう。
ただし、竜破剣は護身用と言う事もあるのでそのまま使い続けるだろうと思っている。
ただ、幸いな事に、この森は果物の木が結構な数、生い茂っており果物の収穫に困る事は無かったのは有り難かった。
量にして数トン単位の果物を収穫してからはかなりの速度で走って村へと向かった。
新たに習得したスキル【念話】で村長に直接連絡しろよ!と言われそうだが、寝る前に軽くチェックした時に、《念話の相手が登録されていません》と注釈が書かれていたので、これから念話相手を登録していかないと駄目なのか…と思っていた事をここに表明しておこう。
話を元に戻そう、村へとたどり着いたのはそれから3日後であった。
ただ、森で収穫出来る果物が思いの外美味しかったので、最終的には無限収納の中には約50トン位の果物が収納される事となった。
その3日を使ってスキルを詳しく調べる事も出来たのだが、今回はそれをしなかった。
何となくだが、スキルを詳しく調べると精神に物凄い疲労を感じそうな予感があったので、その予感に従ってステータスアップによる身体能力の習熟のみにしておいたのだ。
嫌な予感程良く当たるって言うしね。
村へとたどり着いたのが3日掛かったのは決して、絶対に、神に誓ってそのせいでは無いとここに表明しておこう。
いや、本当に違うからね!!
絶対に違うからね!!
おいっ!!そこのお前!!信じられないとか言うな!!
と、取り敢えず、村にたどり着いたのが昼過ぎ位だったので、早速村長宅へと向かった。
勿論、村に着いたので竜破剣は無限収納の中に収納しておいた。
村の人達と竜破剣について問答している余裕も無いし、詮索されて余計な時間をかける位ならまとめて村長に報告する方が楽だからと言うのもある。
歩きながら村長宅へと向かう最中に、村の様子を見ているが、特に何時もと変わらない感じであったので、村の辺りは特に魔族は来ていないみたいであった。
ただ、魔族の襲撃が無かったにしても、村長から何かしらの話があってもおかしくないのに、これだけ何時もと変わらないと言う事は、村長からは特に何も言われていないかもしれないので、俺自身が口をすべらせてしまう前に村長宅へと急いでおこう。
そして、見た目は木造3階建ての立派な村長宅に無事たどり着いた。
早速、村長に会うために面会の手続きをしようか。
と言っても、単純に扉をノックして出てきた家の人に自分の名前を言って、村長に会わせて下さいとお願いするだけだが。
えっ?アポイントメント?そんなのこの村には存在するかもしれないが、村人には定着なんぞしてないわ!!そこは、ザ!!田舎!!といった感じだそうだ。
流石に村の外では気を使うけれど、村にいる間は一切気にしない、気にしない。
そんな事を考えている間に、家の人に (恐らく村長さんの奥さんだと思われる見た目は40なかばの穏和そうな人)案内されて応接間みたいな部屋へとたどり着いていた。
「この部屋の中で待っていてちょうだいね。今、主人を呼んで来るからね」
と言って俺を部屋の中へと案内してくれてから部屋を出ていった。
やっぱり村長の奥さんだったようだ。
えっ?何故分からなかったのかだと?
それはな、奥さんは主に家の中での主婦業に忙しいと言う事と、俺が両親からの特訓が生活の殆んどだったので単純に会った事が無かったんだよ!!もしかしたら俺が赤ん坊の頃に会っていたかも知れないだと?あの頃の俺は殆んど寝ていたのでそんな事分かるか!!
って具合なだけで特に含むところは何も無い。
因みに、村長の家には普段はお手伝いさんがいるのだが、今日はたまたま皆さんお休みだったらしい。
普通はそんな事が無い様にシフトを組むのが常識だろうが、村への来客は殆んど無いし、お手伝いさん達の仕事も村長宅の家事手伝いがメインだからその辺はゆるゆるにしていると後日村長さんに笑って言われた。
奥さんが村長を呼びに行ってくれて2分程で村長が部屋に入って来た。
しかも、お盆に俺と自分の分のお茶の入った湯飲みを持ってである。
「いや~、ジン君待たせてしまってすまんね。妻も忙しいので儂がお茶を持たされたよ。後で妻がお茶菓子を持って来るから話はその後でね」
村長はそう言いながら俺と自分の前に湯飲みを置いた。
その直ぐ後に、部屋の扉がノックされて奥さんがお茶菓子を持って来た。
「ごめんなさいね。普段はこんな事は無いのよ。今日はたまたま皆がお休みだから許してね。じゃあごゆっくりね~」
と言ってニコニコ笑顔で部屋を出ていった。
それを確認した村長は笑顔から真剣な顔になってから、
「さて、ジン君。ある程度は初代竜神様の念話で聞いているが、何があったのか詳しく聞かせてくれないか。念の為に君の両親以外の村人達にはまだ伏せてあるんだ」
と聞いてきた。
「分かりました。初代竜神様からどの様な話をお聞きになっているのか分かりませんが、俺の見聞きした事等を報告します」
そう言って俺は事の顛末を報告していった。
主人公はこの先、度々色々な地方の方言が出たりしますがきちんとした理由が有ります。
後々その理由が出てくる予定ですので、宜しくお願い致します。