第五話
書き方をある程度変更しております。
これからは、全体的に短めになると思います。
9月13日 少しだけの改稿と初代竜神の名前を変更しました。
第五話
初代竜神の領域に入る為の橋を渡ってから、大体二時間位経った辺りで、漸く森を抜けて周囲が見える様になった時に、領域内の様子が見えてきた。
領域内は思っていたよりもかなり凄惨な有り様だった。
木々は倒れ、或いは焼け焦げ、竜達のと思われる血の臭いが辺りに漂っていた。
俺はまずマップの機能を使って、ドラゴンゾンビとドラゴン達をそれぞれ赤色と黄色の光点に分けて表示した。
そうしたら、動いていないのか、動けないのかピクリともしていない黄点がかなりの数あり、ドラゴンゾンビを表す赤点も結構あった。
俺は、初代竜神との約束を果たす方を選び、手近の黄点を目指して走り出した。
走り出すこと二十分。
最初に見付けたのは、なんと、竜王だった。
その竜王も、もう息も絶え絶えで、身体中深い傷が刻まれていた。
俺が竜王の前に姿を現すと、念話で話し掛けてきた。
『少年よ、お主がベスプレームス様が知らせて下さったジンと言う者か?』
「はい、私がジンです。証明せよと言われたとしても、難しいですが、確かに私が初代竜神であるベスプレームス様の領域の先にある村に住むジンです」
『安心いたせ。ベスプレームス様よりお主の姿は念話により知らされておるが、念のために聞いただけだ。
それに、鑑定のスキルを持っているので例えお主が魔族であっても直ぐに分かるわ』
どうやら竜王は、魔族かどうかを一応確認しただけだった様だ。
『お主に知らせておく。今、この領域に残っている者達は全て自力での回復が出来ないか、回復方法を持っていても、ドラゴンゾンビに堕ちかけている者だけだから、見掛ける者全てを安らかにしてやってくれ。
情けない事に、我と同じ竜王達も何体かドラゴンゾンビに堕ちかけてしまっている。
もしかしたら、もうドラゴンゾンビに堕ちている者がいるかもしれん。もしそうなら急いでくれ。
お主の様な子供に頼むのは気が滅入るが、時間が無いのですまんが頼む。
ある程度力のある者は千年以上かければ復活が出来るが、ドラゴンゾンビに堕ちればそれも出来ん!!
だから、くれぐれも頼む』
竜王は、自分も死にかけて辛いであろうに、俺の様な子供に誠意を込めた念話で頼んできたので、俺は竜王に向かい、騎士の様に片膝をついた状態で、
「初代竜神様とも約束しましたが、私に出来うる限りの全力を尽くさせていただきます」
俺の事を暫し見ていた竜王は、ただ一言。
『後の事は頼む』
と念話で言ってきたので、俺は竜破剣を抜いて、竜王に止めを刺した。
初代竜神といい、この竜王といい、尊敬の念を抱かずにはいられない。
その後、俺は今回の状況をおこした魔族に対しての怒りをギリギリの所で抑え込み、ただ無心になる様に努めて何百というドラゴン達に止めを刺したいった。
辛い事だが、中には卵から孵って二・三日と思える幼竜もいた。
可哀想ではあったが、魔族共はそんな小さな幼竜に対してまで、いたぶる様な感じに傷をつけていた。
そんな姿を何百と見ていると、抑え込んでいた怒りが、いつ噴火するか分からない位のマグマの様に胸の内に渦巻いていた。
それを抑え込んでいたら、スキル【明鏡止水】のレベルがどんどん上がっていったみたいだが、レベル数が足りないのか、怒りを抑え込むのが、綱渡り状態だった。
何百もの竜達の止めを刺していった後に、同じ様にドラゴンゾンビを倒しに行った。
ドラゴンゾンビ共をこれまた何百と倒していって、最後の一匹を倒した後、無限収納に今迄、止めを刺したドラゴン達や、ドラゴンゾンビ共の死体、そして、ドラゴン達が溜め込んでいたであろう金銀財宝類や、様々な武具や魔法道具類も収得されていった。
どうやら、領域内の魔物の類いを全滅させると自動で収得される様だ。
因みに、今回の止めを刺したり、ドラゴンゾンビ共を倒したりした事により、また、頭の中でレベルアップ音が鳴りまくっていた。
ログの表示をずっと消したままにしているので、どんなスキルや称号が獲得出来ているのか分からないから、HPやMPが回復してからゆっくりとログを確認しよう。
そう思って、何と無く今いる丘の頂上へ向かって歩いていった。
頂上に着いて座ってから、スキルや称号がの確認の為にログを開こうとした時、頭上から何者かが近付いて来た。
神眼で確認しようとしたが、太陽を背にされており、詳細は確認出来なかったが、マップ上の光点は今のところは中立の白で表示されているので、今すぐの敵対行動は無いだろうが、何があっても大丈夫な様に、立ち上がって、事の成り行きを見守った。
そうしたら、一人の人物が降り立って、此方に話し掛けてきた。
「小僧!!この辺りの俺様の獲物を横取りしたのは貴様か?」
人に物を尋ねるにはまるで適さない物言いで、訊いてきた。
ただでさえ、竜達の止めを刺して回って俺のストレスが貯まっているのに、横柄な態度にかなり苛ついてしまったが、何とかスキル【明鏡止水】さんに仕事をしてもらって、神眼で相手の事をチェックした。
その結果を見た瞬間に、こいつの運命は決まってしまった。
こいつは、最下級の魔族であった。
しかも、こいつの話振りからして、こいつの所属しているどこぞのクソ魔王の命令で、今回の襲撃を仕出かしたのであろう。
最下級と言う事は、大した情報は持っていないだろうが、この魔族から情報を絞れるだけ絞っておこう。
相手のレベルは43で、今の俺のレベルは確認していないが、初代竜神に止めを刺した後でレベル273だったし、その後もレベルアップしていたから油断さえしなければ負ける事は無いであろう。
「おいっ小僧!!聞いているのか!!」
俺がこの魔族の使い途と処分方法を考えていた時に、何か話していたみたいだが、まるで聞いていなかったのが分かったみたいで、キレだした。
「小僧!!俺様の獲物を横取りしたのは貴様かと聞いてやっているのだ!!早く答えんか!!」
どう答えようか考えていると、キレだした魔族が更に聞いてきたので、答えてやろうとした時、
「まったく、折角俺様が竜共の後始末を引き受けたと言うのに…」
何やらぶつぶつ言い出していたのだが、聞き捨てなら無い言葉が聞こえてきた瞬間、俺は無限収納から、この領域に入る前に試しに作った木刀を左右の手に一本ずつ出して、魔力を纏わせて、瞬時に魔族の両腕を切り落として魔族の後ろ迄通り過ぎていた。
ボトッ、という音がして魔族の両腕が地面に落ちた。
その時になって漸く魔族は自分の両腕が切り落とされた事に気付いた。
「ぎゃ~!!こ、小僧!!貴様は俺様にこんな事をしてただで済むと思っているのか!!俺様の主は…」
「黙れ」
俺はこの魔族から情報を絞れるだけ絞るつもりだったのだが、聞き捨てなら無い事をこの魔族が言い出したので、予定していた事がスッポリと抜け落ちたと言うか、スキル【明鏡止水】さんでも抑えきれない怒りが込み上げて来てしまったので、取り敢えずこの魔族を無力化してから聞き出す事に切り替えた。
まあ、最終的に処分するのは変わらないので、順番が前後しても大丈夫だと思う事にしよう。
今の俺の頭の中は、スキル【明鏡止水】さんの影響かどうかは分からないが、冷静沈着な俺と、この魔族のせいで怒りで煮え滾っている俺と二人いるみたいになっていた。
取り敢えず、この魔族が逃げ出さない様に両足も切り落としてから、色々と尋ねてみよう。
そう思って、いまだに両腕を切り落とされたショックから立ち直れていない魔族に近付いて、魔力を纏わせた木刀で両足を切って、魔族を達磨状態にした。
さぁ、この魔族には俺への情報提供元と、微量でも良いのでストレス解消の役に立ってもらおう。
主人公のレベルやステータス、スキル等は後々書かせていただきますので、もう少々お待ち下さい。
まだ書いておりませんが、既にツッコミどころ満載な状態になっておりますので、なるべく急いで書かせていただきますのでご了承下さい。