第四十七話
第四十七話
「今までお世話になりました」
「こっちも商売だから気にしないで良いよ」
「それよりも道中気を付けるんだよ」
「はい、それは勿論」
ナテュールとカヨウが蒼玉達の準備をしている間に俺は宿屋の女将さんに挨拶をしていた。
今日この街を出発する事は昨日の夕飯の時に言ってあるので挨拶は簡単に済ませる事になる。
ナテュールとカヨウも朝食時に挨拶を済ませているので蒼玉達の準備が終わればすぐに出発となる。
「ご主人様、準備が終わりましたのでいつでも出発出来ます」
俺と女将さんが挨拶も終わり雑談していたら準備が終わったナテュールが呼びに来た。
街を出てしばらくは安全なので今日は馬車を四頭でひいて行くつもりでいる。
「「「それじゃあお世話になりました」」」
「気を付けるんだよ~」
女将さんと別れてから一応冒険者ギルドに行って街を出る事を報告してから出発した。
実は冒険者ギルドへの報告は義務化されている。
但しそれはCランク以上の冒険者である。
俺はまだEランクだし、ナテュールとカヨウはGランクなので本来なら報告義務は無いのだが一応報告だけはしておいた。
その場面は特に何も無かったので、割愛する。
俺達は今、西に向かって移動している。
ここで一応の地理のお復習をしておこうと思う。
まず、俺が産まれた村はこの国の東の辺境にある。
但し、村の東側には標高一万メートルを越える山脈が南北に縦断しているので村の東側には行けない。
竜達が棲んでいた森は村の北側にあり、東西にも南北にも広がっていたのでこの国は事実上北と東には進めないかたちになっている。
この国と竜達が棲んでいたもりの間には深く幅の広い谷になっている河があるので物理的にも行けない。
言っておくが、森の更に北と、村の東にある山脈の東には別の国々がある。
ただ単に直線で行けないだけである。
行くとすればかなりの大回りになるだけである。
今はそこまでして行きたいと思っていないので行かないけどね。
で、俺の移動経路としては村から南西にある街【アレス】にタイトさんに送ってもらって、そこから更に西に出発して先程迄滞在していた街に着いたかたちになる。
因みに街の名前は【イニレス】と言うそうだ。
そして、今向かっている街は【ウサレス】と言う名前だ。
今のところは蒼玉達が街道からそれる事なく進んでくれているのでナテュールとカヨウの馭者の練習にはもってこいである。
普通の行商人の馬車よりもかなり速度で進んでいるのでこの調子で進んでいけば予定を大幅に短縮出来るのだが、そうなれば野営の練習やスキルやレベル上げの機会も減るので善し悪しである。
まぁ、そこは諦めるとしよう。
命が簡単に失われる今生では慎重に慎重を重ねる位で丁度位だと思う。
俺とてステータスがカンストしているが、別に最強でもなければ無敵でもないので、調子にのっていれば死ぬかも知れないのでそこは気を付けておこうと思う。
よく勘違いする人がいるのだが、ステータスがカンストした位では最強でも無敵でも無いのである。
俺の場合でも、スキルやレベルは上がりやすいが、強奪系は相手のスキルに因っては消失させられる事だってあるし、神眼もまだまだ使いこなせていないので精々荷物を大量に運べて、死ににくいだけだと思っていないと油断してあっさりと死ぬだろう。
現に、俺自身が自分の様な相手をどうやって殺すか考えたら幾つも思い付いた位だから俺が知らない様なスキルが有れば初見殺しは楽に出来るし、ごく普通のスキルでも使い方次第で殺せるのである。
まだまだ要修行である。
そもそもの事ではあるが、強奪系に頼りすぎ無い様にしないとまずいと思っておこう。
自分で神様に頼んで貰ったスキルだが、そこはそれである。
気にしない気にしない、誰も気にしない気にしない、貴方も気にしない気にしないである。
突っ込みも要らないからね。
俺との約束だよ。
そんな益体も無いかも知れない事を考えていたらお昼になりそうなので適当な所に停車してお昼にしよう。
蛇足として、馭者をしていたのはカヨウである。
「二人とも、そろそろお昼にしようか」
「分かりました」
「は~い」
早速二人の調理のスキル修得の為の練習を実戦(実践ではない)する時間となるであろう。
そう、調理とは戦なのである(嘘です、すみません)。
まぁ、それ位気合いが入っていると思っていただけると有り難いです。
決して二人の調理の腕がダメダメであると言う事実はありません。
ただ、日本で言うところの、お米を洗剤で洗いはしないが、お米を洗う時に米粒を多少割ってしまう位のレベルであるだけです(今現在の両名の調理の実力に対する俺の予測なだけです)。
二人の名誉の為に言っておくが、ナテュールは家事手伝いの経験が野菜の水洗いや食器洗い位しかしていなかっただけで(本人曰くこれから徐々に親から習っていく予定だったらしい)、サボって居たわけでは無いそうだ。
カヨウはそもそも習ってすらいなかっただけである。
その前に蒼玉達のお世話だけどね。
更に言うなら休憩する場所探しからだけどね。
さて、どの辺りにしようかな。
主人公が極度に心配性に見えますが、この世界ではまあ良いかなと思ってその様にしています。
色々と反論は有るでしょうが、そんな仕様であると割り切っていただけると有り難いです。
読んで下さって有り難う御座います。
色々と詰め込み過ぎたかも知れませんがそこはスルーしていただけると有り難いです。




