第四十話
すみません、話的にはあまり進んでいません。
第四十話
よし、気分をかえて馬を見に行こう。
と気持ちを切り替えたのでスレイプさんの後を付いていった。
「こちらが今うちの牧場で販売出来る馬となっております」
スレイプさんがまあまあな数がいる馬達を指していた。
「この馬達も値段はまちまちなのでその都度聞いていただいても結構ですし、馬を選んでいただいてから値段を確認していただいても結構ですよ」
「分かりました、それでは先ずは馬を選びたいと思います。聞きたい事があればその都度聞かせていただきます」
「ご希望にそうような馬がいれば良いのですが・・・」
スレイプさんがそう言ってきたので少しかまをかけてみる事にした。
「スレイプさん、そう言いながらかなり自信がありそうな顔をされていますよ」
すると、スレイプさんはイタズラがばれた子供の様な顔をしていながらもばつの悪そうな顔をするというなかなかの表情を見せてくれた。
「ま、まあね、これでも今までにうちの牧場から馬を買って行った人からの苦情の類いは一切無いからね」
自信満々に言っているけれどそれって盗賊や魔物に襲われて死んでしまったのもあるかも知れないよね。
まぁ、そう思っていても声にも顔にも出さないけどね。
「それは良かったですね、では早速選らばせてもらいますね」
「どうぞどうぞ」
まあまあ機嫌を良くしたスレイプさんに了承してもらったので馬を見ていった。
「ナテュール、カヨウ、君達の気に入った馬を選んで良いからゆっくり見ると良いよ」
「「はいっ!!」」
俺が許可すると二人は早速馬の選別に行った。
俺自身は二人が選び終えてから選ぶとしよう。
俺はスキル【神眼】で選ぶので掘り出しものの馬がいれば見逃さないだろうから大丈夫だろう。
そして、スレイプさんと世間話とかをしゃべって一時間が過ぎたあたりで二人はそれぞれ一頭ずつ馬を引いてきた。
「おっ、二人とも選んで来たな」
「どうやらそうみたいですね」
俺とスレイプさんがそんな事をしゃべっていると二人がこちらに辿り着いた。
「二人ともそれぞれその馬で良いのか?」
俺が二人に確認したら、
「「はいっ!」」
と元気良く返事をしてきた。
スキル【神眼】で二人が選んだ馬をみてみると街中でよくみた馬と比べるとかなり優秀な馬達であった。
見た目は偶然なのか二頭とも白馬でさらに牝馬であった。
違いがあるとすればナテュールが選んできた方は瞳の色が綺麗な翡翠色で、カヨウの方は透き通った深紅色である位であった。
二頭とも性格は大人しそうでなかなか知的な感じであったので、この時点で二頭ともの買いは決定した。
「二人とも良さそうな馬を選んだな、ご苦労様」
と俺が軽く労いの言葉をかけると二人とも嬉しそうに「「有り難うございます」」と言っていた。
「スレイプさん、この二頭は買いで決まりです」
「そうですか、有り難うございます」
「それじゃ、これから俺も選んでみますね。ナテュールとカヨウはスレイプさんから馬の世話の仕方や馬車についてとか色々と聞いていてくれ」
「「分かりました」」
俺がそう言ったら二人ともフンスッて感じで気合いをいれてスレイプさんに尋もnじゃなかった、質問をしはじめていた。
スレイプさんは苦笑しながら質問に答えていた。
「さて、二人が気が付かない様な掘り出しものの馬がいれば良いのだがいるかな」
俺はスキル【神眼】を使いつつ一頭一頭丁寧に確認していった。
「なかなか良さげな馬がいないな~」
気長に確認していたらなかなか面白そうな二頭の馬を見付けた。
見た目はナテュールとカヨウが選んできた馬と同じ白馬の牝馬で、瞳の色が一頭はサファイアの様な深い藍色をしており、もう一頭は黄色であった。
性格もナテュールとカヨウが選んできた二頭と同じく大人しそうであり、落ち着きもあったし、最初の二頭とも仲良く出来そうであった。
まぁ、同じ牧場におり、スレイプさんも客が選ぶ時に同じ柵の中に入れている位だから大丈夫だと思うけどね。
兎に角この二頭も買いで良いかな。
俺はこの二頭を連れてナテュール、カヨウやスレイプさんの所に向かった。
因みに、他の馬全ても確認済みだが特に面白そうな馬はいなかった。
「スレイプさん、この二頭も買いでお願いします」
「はい分かりました、計四頭のお買い上げですね」
「はいそうです、合計でいくらですか?」
「そうですね、その前に馬車は何頭で牽きますか?」
「そうですね、一応二頭で馬車を牽いて残りの二頭は騎馬でと考えていますが、四頭で馬車を牽く可能性もあります」
「なるほど、それでは騎馬用の鞍等を予備も含めて四頭分に四頭で牽いても大丈夫な馬車一式も含めて金貨三百枚でどうですか?」
「騎馬用の鞍とかは分かりますが馬車もですか?」
「すみません、別に馬車を一から注文されたり、中古にされるのであれば問題無いですが、うちが懇意にしている所があるのでどのお客さまにも毎回ご提案させていただいているのですよ」
「そうなのですか」
「あくまでもご提案ですので馬車や鞍等は断っていただいても問題無いですよ。内訳としましては、馬が一頭あたり金貨十二枚と大銀貨一枚で四頭ですので合計金貨五十枚、鞍等の一式か付属としてつけさせていただきます」
「そして、馬車が金貨二百五十枚ですね」
「なかなかしますね」
「馬の方はこれで精一杯ですね。馬車の方は何頭で牽くかで一律にしているみたいなので、新品ならこの街では値段は変わらないそうです。今回は四頭で牽くの方で計算させていただきました。後、四頭立ての馬車でも二頭で牽いても大丈夫ですのでそこは安心して下さい」
「そこは心配していませんが、馬車の値段は一律なのですか?」
「そうみたいです。中古で安くされる方や注文で一品物として更に高額になる方もおられるので通常の物の値段は揃えているらしいです」
「そうなのですね」
「どうしてもという場合はお客さま自身が工房に出向いて値段交渉をされる事になります。」
「分かりました、直接値段交渉をしてみたいので工房の場所と名前を教えてもらえますか?」
「工房は街の西側にあります。名前は・・・」
「スレイプさん?どうしたのですか?大丈夫ですか?」
「いえ、大丈夫です、工房の名前は、名前は」
何故かスレイプさんが言いづらそうにしているが、そんなに言いづらい名前なのか?
「名前は『ばしゃってさいこうっす』です」
「「「はい?」」」
俺とナテュール、カヨウの三人は一斉に疑問符を浮かべた。
「ですから、工房の名前は『ばしゃってさいこうっす』です」
工房の名前を再度言い切ったスレイプさんは顔を真っ赤にして踞ってしまった。
相当恥ずかしかったみたいだ。
「スレイプさん大丈夫ですか?」
「な、なんとか大丈夫です。」
あまり大丈夫には見えないが深くは突っ込まないでおこう。
「店主は私の幼なじみなのです、昔から変わっている奴で、先代の時迄はごく普通の名前だったのですが、幼なじみが店主になった時に店の名前を変えてしまって、その時にこんなのになってしまったんです。何度言っても元に戻そうとしないのですよ」
遂にはスレイプさんの愚痴が始まってしまったのでなんとか宥めてから鞍等をつけた馬達を連れて工房へと向かった。
あっ、言うのを忘れているが、四頭とも普通の馬よりも体格はふた回り位大きいよ。
疑問に思われるかもしれないので言って(書いて)おきますが、馬車のみならず騎馬の装備一式を四頭分揃えるのは、馬車を街又は村に置いておいて依頼をしたり、アイテムボックスに収納してから速度重視で移動することを念頭に置いているからです。
こらからもよろしくお願い致します。




