第三話
今回の話はかなり乱暴な感じに読めるかも知れませんが、後から改編していくかも知れませんので、宜しくお願いします。
9月13日 竜神の名前と文の書き方を変更しました。
第三話
森に入ってはや三日、いつもならそろそろ鹿(みたいな動物)とか猪(みたいな動物)とかが出てきてもおかしくないのに兎(みたいな動物)等の小動物すら見かけない。
鹿(みたいな動物)やら猪(みたいな動物)、兎(みたいな動物)と言っているが、見た目が地球の鹿や兎にそっくりだが、大きさは地球の鹿や猪、兎の倍あるのでこういう言い方になっているが、魔物ではなくこれでも普通の動物なのだから始めて見たときは正直吃驚したのを覚えている。
兎みたいな動物に関してもその大きさなのに一応小動物に分類されるのには驚かされた。
それぞれの名前は、鹿みたいな動物はシーカで、猪みたいな動物はイノーシで、兎みたいな動物はウサッギだった。
名前を教えてもらった時は思わず心の中で「ほぼそのまんまやないか!!」と何故か関西弁で突っ込んでいた。
決して発音を間違えてはいけない。
似非関西弁になると関西人は赦さない。
その事はおいといて話を戻そう。
持ってきた食糧は七日分だったので残りは後四日分、帰りの分を考えると余裕をみるなら後一日しか猶予はない。
無限収納を使えばもっと大量に食糧を持ってこれるだろうが、何らかの事情やスキルが使えない状況になっても大丈夫な様にアイテムボックスを使わない状態で必要最小限の食糧と装備品等の選別が出来る様になる為と、自力での解体が出来る為の訓練も兼ねての事前試験なので アイテムボックスの使用は一部の例外の除いて使用禁止となっている。
なので、小さい頃からその状態に慣らす為に未だにアイテムボックスの中身は神から貰った本しか入っていない。
実験の為に色々な物を試しに入れた事はあるが、それらは全て出発前に出してしまっている。
同じ様な理由で水魔法と火魔法を戦闘や狩り意外に使用するのは禁止となっている。
意外なことに村には無限収納持ちがかなりの人数いた。
しかしながら、その性能は個人差がかなりのあるらしく、普通は個人のMPやINTの数値により無限収納の容量が変わるらしい。
詳しくは教えてもらえなかったが、ただたんに知らないだけらしい。
俺の様に無限に入る人はほぼいないらしい。
但し、全然いない訳でもないのでそこまで気にしなくても良いみたいだ。
「さて、どうしよう…」
プランを整理してみよう。
まずプラン①
このままギリギリ迄粘って狩りを続行する。
プラン②
森の更に奥まで行って大物を狙ってみる。
プラン③
獲物の見つからない原因を探りそれを理由に試験の中止又は延期を申し出てみる。
プラン④
このまま狩りを続行しても無理だと判断して早々に帰る。
プラン⑤
狩りの続行を諦めてスキルの訓練をする。
プラン⑥
メニュー機能の中のマップを使う。
プラン④と⑤は今回は論外にして、プラン⑥も訓練にならないから今回はギリギリ迄使用不可にしておこう。
一応、罠も仕掛けてあることだしプラン②をしつつプラン③の原因究明も出来うる限りやってみよう。
その他にもプランはあるだろうが、今はそこまでゆっくりと考えてもどうしようも無いのでやめておこう。
さて、方針も決まった事だし奥に向かおうか。
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森の奥に丸一日入ってきたが、動物がまるでいない。
こんな事は父や村の大人達と一緒に行動していた時にも無かった事だ。
今更ながらに嫌な予感がしてきたので村に帰ってこの事を報告しようと思い引き返そうとした時、森の奥から爆発音とそれに伴う地震がきた。
聞こえてきた爆発音の方角等を確認する為に木に登って確かめてみると、大体此処から三十km位森の奥側であった。
此処まで爆発音が聞こえてくると言う事はかなり大規模な爆発だと思う。
衝撃波は森の中にいたので感じなかったが、揺れは震度3位だったと思うが、震度計があるわけでもなく、正確なところは分からなかったが、そこはどうしようも無いので仕方無いと思っておこう。
今後も正確な震度は考え無い様にしよう。
測りようがないしその辺りは諦めておこう。
意識を爆発に戻そう。
隕石やどっかの馬鹿が爆発系の魔法の試し撃ちをしているのであればまだましだが、爆発音が此処まで聞こえてきたり、爆発音に因る揺れを感じるとなると、恐らく戦闘に因る爆発音なんだろうな~。
恐らく、この戦闘らしい(そう思いたくはないが、この世界に産まれてから地震が1度も無かったので、そうとしか思えない。)ものの影響で動物を見かけないのであれば、村への報告の為にも遠目からでも良いから確認をしないといけないだろうと思い、非常に重い腰を上げて現場に向かう事にした。
これで現場に着いてみたら魔法の試し撃ちでした~。
だったら犯人?をぶちのめしてやる!!と心に秘めながら周囲を警戒しながら現場に向かう事凡そ1時間(速いかも知れないが、今のステータスや獲物の事を気にしなければこれぐらいは楽勝である)、そこで見たのは、直径がだいたい1km位のクレーターの中心で、今にも死にそうな感じで、身体を丸めている巨大な竜であった。
だいたいでしかないが、竜の大きさはクレーターのほぼ全てが身体を丸めている状態で竜に埋め尽くされているので、身体を伸ばした状態ならかるく1kmを越えているから吃驚である。
ここで初めて(森の中に狩りに来てと言う意味で初めてと言っている)神眼で竜を観察してみると、
何と名前がベスプレームス(竜神)と出ていて、
称号が初代竜神となっていた。
あまりにもその名前と称号に驚いたので、名前と称号以外を見るのを忘れてしまっていた。
怖くはあったが、何があったのかの確認しようとの為に意を決して周囲を警戒しながら初代竜神の前に姿を見せた。
『其処の者、死に行く儂に何用だ』
静かだが重々しい声が直接頭の中に響いてきた。
だから俺は、自分の住んでいる村の事や、自分の名前、この森にいた理由を始め、此処まで来た経緯、鑑定(いくら相手が初代竜神であろうと神眼の事は黙っていた。バレた時は全力で謝るか、逃げよう。)により初代竜神と分かったので姿を現して事情を聞こうとした事や、手持ちの回復方法が薬草しか無いので傷の回復が見込め無い事を説明した。
この時俺は、初代竜神に対して慣れない敬語らしき言葉遣いをしていたので、無礼者扱いで殺されないか内心はかなりびびっていた。
『そうか…』
初代竜神はそう呟いてから目を閉じた。
一瞬死んでしまったのかと思ったが、30秒位たった時に目を開けた。
そして、いきなりとんでもない事を言ってきた。
『お主確かジンと言ったな?』
「はい」
『すまぬがお主に頼みたい事がある。其を確約してくれるので有ればここで何があったのか言ってやろう』
俺は少し考えたが、俺を殺すのは死に掛けの今の状態でも容易いだろうし、余りにも無茶な事で有れば、素直に断ろうと思って、
「分かりました。先に頼み事を仰って下さい。私では無理な事で有ればお断りさせていただきます。
その時は、村の方にもありのままの報告をさせていただくだけですが、其でも構いませんか?」
と聞いてみたら、
『其でも構わん。其に、其ほど無理な頼みでも無いと思うぞ、頼みと言うのは、儂を含め、儂が治めている領域の、死に掛けの竜達にとどめを差してはくれんか?』
俺が若干パニックっていると、
『勿論、とどめを差した後、儂達の体を素材にしようがどうしようがお主の自由にしても良いし、儂達が貯めていた財宝類もお主の自由にしても文句を言わん』
「それですと、余りにも私が得をするのですが、理由を聞いても良いですか?」
『かまわんぞ、理由は1つ、ドラゴンゾンビにならん為じゃ。他の竜神共が治めている領域ではどうしているか知らんが、儂の領域ではドラゴンゾンビになるのは最大の恥としておるのじゃ』
『儂の領域に住む者共は、そんな者共が集まってあるので、恨みに思う余りにドラゴンゾンビに堕ちるのは我慢ならんのじゃ』
『通常ならそう容易くは堕ちる事は無いのじゃが、今回は儂を含め、ドラゴンゾンビに堕ちそうなのがかなりの数いそうなのじゃ』
「と、言いますと?」
『お主の頼み事の内容になるので、此方の頼み事を引き受けてくれるかの返事を聞いてから言ってやろう』
『で、儂の頼み事を聞いてくれるのかの?』
「分かりました。私の方に損はあまり無さそうなので出来うる限り私の全力を尽くしましょう」
独り立ちの事前試験の期日には到底間に合わないだろうが、此れから聞く内容によってはそれどころでは無いようになるだろうから引き受けよう。
其に、個人的にはかなり腹黒いだろうが、引き受ける最大の利点として、大量の経験値と独り立ちした後の資金稼ぎ、更に、竜と言うかなり高ランクの素材が大量に手に入るだろうし、スキルも入手出来るので正に濡れ手に粟状態が期待出来るのが決断の背中を押していた。
勘違いしてもらっては困るが、村の事も考えての決断と言うのも嘘ではない。
これでも俺は、村の事が大好きである。
この事は誰であろうと否定させない。
えっ?種族的に竜神や他の竜達を殺したりして大丈夫なのかって?
それは向こうからの頼み事を叶えるのだから、
全く問題無し!!
其に、他の領域や地域、野生の竜とかでも敵対した時は殺しても全く問題無し!!と村長や両親から聞いている。
でも、心配なので、初代竜神の領域に住む他の竜達の方も大丈夫なのか確認しておこう。
「然し、私にはまだ子供なので分からないのですが、その頼み事を叶えるのは、私の住む村的には大丈夫なのでしょうか?
其に、他の竜の方達も反撃とかされて来ないのでしょうか?」
『そうじゃのう、しばし待っておれ』
初代竜神はそう言うと目を閉じてしまった。
そして、二十秒程経ってからおもむろに目を開けたかと思うと、
『儂の領域の者達も、お主の村の方にも連絡をいれておいたから大丈夫じゃ』
「連絡をいれたと仰いますが、どの様にして連絡をいれたのですか?」
『質問の多い奴じゃのう、あまり時間もかけておれんので手短に言うと、スキルの【念話】じゃ。詳しくは自分で調べるとよいじゃろう。ではここで何があったのか話してやろう』
そう言うと初代竜神は何があったのか話してくれた。
然し、話を聞いていると胸糞が悪くなるので、端的に纏めると、邪神に率いられた魔族軍の奴等が卑怯な手段を使い、初代竜神や竜王達(超古代竜であるハイエンシェントドラゴン達が就いている)に対して最初に致命傷を与えてから、その下の古代竜達に攻撃を仕掛けていったそうだ。
話を聞いているだけの俺がこれだけ苛ついているので、殺されたり、致命傷を受けて死にかけている者達はさぞ怒っていたり恨んでいるだろうと思われる。
『話は以上じゃ、さぁ、止めを頼む』
初代竜神の話を聞いて苛ついていた心を鎮めていると、唐突に
>スキル【明鏡止水】を習得しました。
とアナウンスが頭の中に流れた。
然し、今はそれどころでは無いので、そのまま心を鎮めて初代竜神に止めを刺そうと持っていた短剣で一撃を入れると、パキーンと綺麗な音を立てて、短剣の半ば辺りから折れてしまった。
「……すみません。失敗してしまいました」
俺がそう詫びると、
『此方こそすまん。ただの短剣では儂の鱗には傷一つつけられんのを忘れておった。死に掛けの今であればひょっとしてと思っておったが駄目じゃったか』
『待てよ、すまんが、儂の腹の辺りに魔族の奴等が使っておった剣が刺さっておると思うのじゃが、確認してくれるかの』
初代竜神に言われるがまま、腹の真ん中辺りに行って見ると、腹に、柄の部分迄深々と刺さっている一本の剣らしき物を見つけた。
取り敢えず、柄の部分だけを神眼で鑑定してみると、竜破剣と出たし、呪われてもいなさそうなので、柄の部分を握り締め、腹に片足をつけて力ずくで引き抜いた。
その瞬間、初代竜神が少し呻いたが敢えて無視して、顔の方へと戻った。
そうしてから、再び心を鎮めて集中し、今度こそはと、額に剣を突き立てた。
『ウグッ!!』
額に剣を突き立てた瞬間、初代竜神は一言呻いてから静かに息を引き取った。
そして、息を引き取る寸前に、
『少年よ、感謝する』
と念話で感謝を述べてくれたので、俺自身、少しは救われた思いがした。
主人公の性格やらが?な感じに読めるかも知れませんが、敢えてスルーいただけれると有り難いです。
作者の文章力がまだまだ未熟なので穏便にお願いします。