第十四話
皆さんのお陰でPVが一万越えました。
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第十四話
俺はタイトさんから聞いていた宿屋へと向かった。
辺境の街と言われている割には夕食の買い出し等でなかなか賑わっているように思うが、比較しているのがこちらの世界の生まれ育った村と、前世である地球しかないので、この感想が正確なのかどうかと言う意見ははこの際箱詰めして燃えるゴミの日にでも出しておいてもらおう。
まぁ、その賑わっている街中を教えてもらった方向に向かっていると、目的の宿屋が見えてきた。
しかも、なかなか美味しそうな匂いがその宿屋から漂ってきた。
「タイトさんから聞いた宿屋は当たりっぽいな。流石商人、情報が正確みたいだな。ただ、部屋を確認したり、夕食を食べてからでないと安心は出来ないけどな」
思わずそんな独り言が出てしまったが、タイトさんは人族で、俺はドラゴニュートの父と、ハイエルフの母とのハーフであるドラゴルフと言う俺以外には見た事も聞いた事もない種族なので、もしかしたら味覚が全然違うかも知れないので安心出来なかったと言うのが背景にあるのでそこのところは勘弁して欲しい。
村では両親の手料理 (両親共作ってくれた事あり)や狩りに同行させてもらった時に食べた干し肉等の携帯食、そして果物類だけなので、一般的な食事はまだ食べた事が無いから仕方がないと思う。
タイトさんと同行させてもらった村からこの街、アルス迄の道中もアイテムボックス内に確保してある果物や干し肉ばかりで他の物は食べていなかったのだ。
まぁ、【状態異常無効】の固有スキルが有るから状態異常にはならないだろうが、料理の味が口に合わない可能性があるのだけが心配だな。
そうしていると、タイトさんに教えてもらった宿屋に着いた。
宿屋は一階が飲食出来るスペースになっており、二階と三階が宿泊する部屋になっているようだ。
「いらっしゃい、食事かい、宿泊かい?」
宿屋の女将らしき人がそう聞いてきた。
「宿泊でお願いします」
「坊や一人かい?親御さんは?」
「一人だよ、親なら二人共自宅にいるよ」
どうやら俺の身長が百六十しかないので (すみません、嘘つきました、実際は百五十九しかありません、見栄を張ってしまいました。)家出してきた子供と勘違いされてしまったのかな? (まぁ、実際に十二才で、勘違いされても仕方がない様な見た目なのだが)
「安心して下さい、家出とかではありませんよ、ところで泊まれるのですか?」
「ああ、すまないね。泊まれるけれど、うちは前金制だし、料金は高めだけど大丈夫かい?」
家出だけではなく、料金の心配もされていたみたいだな。
確かに、見た目的に子供の俺がいきなり泊まれるかどうかを聞いてきたら俺でも親と一緒かどうかを聞くな。
「いくらなの?」
「朝と夜の食事付きで一泊銀貨一枚、食事無しだと大銅貨一枚と銅貨二枚になるよ。昼食は料金を別になるよ。それでも大丈夫かい?」
二食付きで一泊一万円で、食事無しだと一泊七千円か、いい宿を教えてくれって言ったけど、タイトさんは十二才のいたいけな少年になんちゅう宿を教えるんだ。
前世でもこんな宿に泊まった事など無いわ。
今の俺なら大丈夫だけどな。
竜の皆様、本当にありがとうございます。
俺は、心の底から初代竜神様やその領域に住んでいた竜の皆様方に感謝していた。
何せ、無限収納の中にはそれぞれの硬貨が数万や数十万と言う枚数があるので、お金には困らないのだ。
と言うわけで、俺は銀貨を取り敢えず十枚渡して十日間泊まる事にした。
「朝晩の食事付きで十泊お願いします」
「毎度あり、それじゃぁここに名前と年齢、職業を書いておくれ」
早速俺は名前と年齢を書いてから、
「明日にでも冒険者登録をしようと思っているんだけどその場合職業はどう書けば良いの?」
と聞くと、
「なら、今は空欄のままで良いよ。冒険者登録が終わってから冒険者証を見せてくれればこっちで書いておくから」
「わかった。それじゃぁ空欄のままにしておいて明日にでも冒険者証を見せるようにするよ」
「それじゃぁ、これが部屋の鍵だよ。鍵に付いている木片に書いてあるのが部屋番号だからね。夕食はもういつでも食べる事が出来るから夕食を注文する時に忘れずに鍵の部屋番号を見せるんだよ。もし忘れたら普通に料金をとるからね。後、外出する時は鍵を忘れずに返却しておくれよ。鍵を無くした場合は罰金として金貨三枚貰うからね。何か質問はあるかい?」
「風呂とかはあるの?」
「風呂は無いけど何時でも使用出来るシャワーが各部屋にあるよ。他に質問はあるかい?無いのなら何時夕食を食べるのかを言ってから部屋に行っておくれよ」
「それじゃぁ、今食べるよ」
「あいよ。なら適当に空いている席に着いておいておくれよ。直ぐに持って来るから」
結果だけ言うと、夕食は物凄く旨かったとだけ言っておく。
夕食後、部屋に入ってからシャワーを浴びて直ぐに寝た。
部屋にはベッドが一つにテーブルが一つ、椅子が二脚あり、壁にはコート類を幾つか掛けられる様になっており、更にクローゼットもあった。
広さは十二畳あり、それ以外はシャワー室があるだけであった。
トイレは一階の奥で、食事スペースとは正反対の方向にあり、男女別になっており、男女共に個室が五つあるらしい。
明かりは全ての部屋に魔法具が設置してあり意外に明るかった。
翌朝、宿屋の朝食を食べてから冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドは昨日俺が入ってきた門とは逆方向にあるみたいだった。
冒険者ギルドは正面から見ると木造四階建てで、外観は一言で言うなら「厳つい」であった。
「うわ~、何かテンプレが起こりそうな予感がするな~」
自分の年齢や身長を考えると十中八九ガラの悪い奴に難癖をつけられるよな~と言うあからさまなテンプレが頭を過った。
しかし、こんな所で突っ立っていても仕方がないので取り敢えずギルドの中に入る事にした。
そうしないと登録する事が出来ないのでどうしようもないし、難癖をつけられた時の対処法は難癖をつけられた時にでも考えようと覚悟を決めた。
扉から入って右側には簡単に食事がとれる様にしてある食堂らしき場所で、正面は壁に取り付けられてありそうな掲示板に色々な依頼らしき物が貼られている。
受付は左側みたいなので手が空いていそうなおばちゃ…もとい、ベテランそうなお姉様の所に行った。
何か途轍もない殺気やら怒気を感じた様な気がするが深くは考えないようにしようと思う。
世の中考えたら負けな時もある。
あるったらある。
絶対にある。
前世では女性の誕生日 (生年月日の月日のみ)は覚えていても年齢は覚えていてはいけないと何かの雑誌で見たような気がする。
と、取り敢えず早い事登録をしてしまおう。
「すみません。冒険者の登録はここで大丈夫ですか?」
「はいよ」
受付のお姉様は特に何も聞かず、詳しい説明も無く登録用紙のみをカウンターの上に置いた。
出された登録用紙に名前、年齢、生年月日、出身地特技等を書く欄があったので大人しく書いてから受付のお姉様に渡した。
「書けました」
俺が書いた登録用紙をじ~と見てから手元にあった水晶玉に金属の板を差し込んで、手続きをしてくれた。
「説明いるかい?」
「お願いします」
ある程度は両親やタイトさんから聞いていたが抜けがあったら嫌なので聞く事にした。
「冒険者のランクはIランクからSSSランク迄の十二段階ある。ランクを上げるには自分と同じランクや自分よりも一つ上のランクの依頼をこなしていけばギルドにたいしての貢献値が上がっていって、ギルドからランクアップ試験を受けるかどうかの打診がある。その時にランクアップ試験を受けるか保留するかを言えば良い。当たり前だが、自分と同じランクの依頼よりも一つ上のランクの依頼の方が貢献値は上がり易い。しかし、依頼を失敗すれば貢献値は下がる。但し依頼者側に問題があったりした場合はギルド側で調査して冒険者側に不備がなければ貢献値は下がらない。保留は、怪我をしていたり、長期依頼が入っていたりと試験を受けられない場合があるので、都合が悪ければ無理をせずに保留すれば良い。その事で貢献値が下がる事は無い。Dランク以上に成ればギルドにお金を預ける事が出来るから、預ける時には受付に言うと手続きをしてもらえるよ。預けたお金は冒険者ギルドなら何処でもおろせるから安心しな。預けたお金の合計金額は冒険者証に記載されるから預けた金額を忘れても確認は何時でも出来るよ。冒険者証は登録した者の魔力に反応して見ることが出来るよ。但し、他の者に見せる時は名前と年齢に、冒険者のランクと賞罰の有無しか見る事が出来ないから安心しな。忘れてたけど、ギルドを通して受けた依頼も冒険者証に出るし、他の者にも見る事が出来るよ。魔物の素材 等は冒険者ギルドに売っても良いし、自分で商人とかに売っても良いけどそれで揉めてもギルドからの助けは無いし、素材の採取が依頼の時は必ずギルドに渡す事を忘れるんじゃ無いよ。ギルドの助けが無いのはギルドを通していない依頼を受けた時もだよ。後、冒険者同士の揉め事は基本的にはギルドは関与しないけど、街中での場合は例外的に、きっちりと関与させてもらうよ。ギルドの三階は小さいけど図書室になっているから勝手に調べても良いが、本を破損させたり盗んだりしたらただじゃおかないよ。もし、依頼の最中や、その他の時でも死んだ冒険者の遺体を見つけたら、冒険者証を回収して最寄りのギルドに持って行けば銀貨一枚貰えるからね。遺品は基本的に手に入れた冒険者の物になるけど、遺族が買い取る場合もあるからなるべくなら回収した遺品はギルドに報告してくれると有り難いね。遺体は出来ればで良いよ。最後に冒険者証を無くしたら再発行は罰金を含めて大金貨一枚かかるから無くさないように気を付けな。此処までで何か質問はあるかい?」
「いえ、今のところはありません」
「そうかい、何か質問があれば受付で聞けば良いよ」
「はい、ありがとうございます」
「丁度冒険者証が出来たみたいだね。間違いが無いか確認して無ければこれで終了だよ」
言われた通り、冒険者証に少量の魔力を流して間違いが無いか確認した。
「間違いは特にありません。ありがとうございました」
「無理するんじゃ無いよ」
「はい」
俺は、冒険者証を無限収納に入れてから一応掲示板を確認しに向かった。
しかし、少し確認しただけで直ぐにギルドをあとにした。
俺が直ぐにHランクに上がる為の方法が無いか聞かなかったのは、自分の現状の魔法の威力とかを把握していないので、のんびり薬草採取とかの採取系をしながら自分の力を把握しようとしたに過ぎない。
決して受付のお姉様が怖くて早く終わらせようとした訳では無い。
そこっ!!変な勘繰りはするな!!
俺はチキンじゃ無い!!
単に危機管理能力が高いだけだ!!
ゴホンッ。
それにしても、「ここはお前の様なガキが来る所じゃ無いんだよ!!」とか、「お前の様な子供が冒険者だと?冒険者をなめてんのか!!俺が冒険者に相応しいかどうかお前を試してやる!!」とか言うテンプレが無かったな。
この街の冒険者達は皆大人しいのかな?
ギルドの酒場みたいなとこに結構 厳つめの冒険者達がいたから来るかなって思っていたけど結局来なかったし、俺がギルドに入って直ぐの時は騒いでいたのもいつの間にか静かになっていたし、何だったんだろう。
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~~ジンが出て行ってからの冒険者ギルド~~
「まだ十二歳なのにあの魔力とは…。末恐ろしいねぇ」
ジンの受付をしたおばちゃ…もとい、ベテランのお姉様がそんな事を呟いていた。
そして、酒場にいる冒険者達はそんなお姉様にびびっていた。
ジンに絡みに行かなかったのもこのお姉様にびびっていたからなだけであった。
ジンの知らない所でテンプレが回避されていた。
主人公の話し方がいまいちなのがこれからの課題だと思いますが長い目で見守って下さい。