第百二十四話
第百二十四話
ようやく俺達は目的の街に着いた。
「取り敢えず、このまま冒険者ギルドに行ってこの街にしばらく滞在する報告と俺達の目的にあった貸家か宿屋、出来れば貸家がないかを聞いてみよう」
「「「「「「「「「「分かりました」」」」」」」」」」
俺達は門で人の出入りをチェックしていた門兵さんに冒険者ギルドの位置を聞いてから向かった。
冒険者ギルドに着いてから、馬車は新人組に任せて、俺とナテュール達で新人達の分も滞在の報告をしてから俺達の希望に合う様な貸家があるかどうかを聞いた。
「そうですね、皆さんのご希望に合いそうな家は5軒ほどありますが、直接見に行かれますか?」
受付の職員さんがそう聞いてきたのでナテュール達とアイコンタクトして案内してもらう事にした。
「すみません、では5軒とも案内をお願い出来ますか?」
「畏まりました、では案内させていただきますが、移動はこちらで馬車をご用意させていただいても宜しいのですか?それともそちらでお持ちですか?」
「馬車はこっちで乗ってきたのがあるので大丈夫ですよ」
「畏まりました、では私はそちらの馬車に同乗させていただきますね」
そう言って職員さんは5軒の家の鍵と一応契約書なども用意して俺達と共に馬車に乗り込んできた。
そして近場から案内してくれた。
まず1軒目、ここは街の中心に近いが庭が狭く、買い物には利便性があっても俺達的にはダメ。
2軒目は、職人達の工房が多く建ち並んでいる職人街にあり、はっきり言って五月蝿すぎてダメだった。
3軒目は、商人達の店が建ち並ぶ商店街だったので買い物の利便性はトップであったが、こちらも五月蝿いのと、人の多さがあまりにも多すぎるのでダメにした。
4軒目はこの街のスラムに近い所だったので、防犯上ダメであった。
5軒目は港からも適度に離れており、すぐ目の前に砂浜があり、人もあまり来ないし、屋敷の裏にはすぐ山になっており、庭も広く、元子爵家の別荘として建てられたそうで、広い風呂は勿論、部屋数も多く調理場も広くとられているので普通なら物凄い好条件な屋敷なのだが、肝心の子爵家の人達がこの屋敷で皆殺しにされる事件があってから、この屋敷で不可解な事が頻発する様になったそうだ。
そのせいでこの屋敷は借り手も買い手も見付からないので、あまり紹介はしたくない物件だと職員さんが言っていた。
一応、【マップ】で確認してみたが昼間のせいなのか分からないが、異常はとくに見受けられなかった。
しかし、この屋敷で不可解な事があるのは夜らしいので今、異常がないのは仕方ないのかもしれない。
冒険者ギルドとしても一応教会に言って除霊というか、お祓いというか、兎に角教会から人を派遣してもらって対応してもらおうとしたが、結果は芳しくなかったそうだ。
別に教会から派遣されたひとが死んだり呪われたりしたとかはなかったらしいのだが、派遣された人達は揃って「もう二度と行きたくない」と言ってこの件に関わろうとしなかったらしい。
なので、冒険者ギルドま冒険者に依頼を出して何とかしようとしたり、色々と手を尽くしたが結果は教会の時と同じだったそうだ。
なので、手詰まりとなってしまったので、冒険者ギルドは格安で貸すか売ると決めたらしい。
物凄く消耗した顔でそう職員さんが言ってくれた。
そして、買うにしても借りるにしてもあくまでも自己責任でお願いしますとくどい程言われた。
ここで駄目ならもう宿屋に泊まるか、商業ギルドで探すしかないと言われたが、職員さん曰く、商業ギルドが今現在扱っている物件は冒険者ギルドに比べたら狭く、あくまでも一般的な住宅になるそうだ。
それに、場所も商店街が中心になるので、俺達の希望に沿う様な物件は無いそうだ。
ここで本当なら商業ギルドに行って確認するのが普通なのだが、職員さん曰く、商業ギルドと冒険者ギルドで連絡をとっているので、二度手間になるそうだ。
なので俺はナテュール達全員と話し合って一応の結論を出した。
「買うか借りるかは別にしても一旦、この屋敷に数日泊まる事は可能ですか?」
全員で話し合って出した結論を職員さんに確認してみた。
「それは可能ですが、その場合でも自己責任になりますが宜しいですか?」
「構いません、それでは取り敢えず2泊してみようと思いますので、その手続きをお願い出来ますか?」
「分かりました、それでは一旦冒険者ギルドに戻ってもらって詳しい契約内容をつめたいと思いますので、宜しくお願いします」
そうして俺達は冒険者ギルドに戻ってから契約書と何があっても自己責任という誓約書を全員分書いてから屋敷の鍵を預かった。
一体全体どうなる事やら、楽しみでもあり怖くもある。
どちらにしても終わり良ければ全て良しである。
これからも宜しくお願い致します。
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