7/8
#7『危機』
愛子の体から出てきた黒いソレは確かに「アナタ」と、そう言った。
「あ、愛子なのか?」
体が震えて止まらない。
足もガクガクして立っているのがやっとだった。
「…アナタ……ドウシテ…フルエ…テイル……ノ…?」
やばい。
このままじゃコイツに殺される。
そう直感した俺は、踵を返しいろはを抱きかかえ部屋から飛び出した。
「ドウシテ……ニゲルノ…?」
後ろから足を引きずる音が聞こえる。
幸いアイツは足は速くないようだ。
「アナ…タ……マッテ………」
一刻も早く玄関から出よう。
ドアノブを握る。
「あ、あれ!?なんで開かないんだよ!!」
すぐ後ろからズルズルと音がした。
「オイテカ……ナイデ……」
振り返ると赤い目がすぐ目の前にあった。