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#4『幻聴』
「あの時計止まってるぞ」
と俺は2人に何の気なしに言った。
見た限りだと、時計の針は23:59で止まっている。
「あ、後で直しとくね」
いろはが慌てた様子で返事をした。
その直後、愛子が突然お腹を抑えて倒れてしまった。
「……お…お願い、アナ……タ…それい…う……もい……いで……」
「お、おい愛子!」
返事はない。
きっと痛みでそれどころではないのだろう。
「そ、そうだ。救急車!早く呼ばないと!」
その時、頭の中で「無駄だよ。無駄無駄。」と嘲笑うかのような声が聞こえた気がした。
そんなことはない。
無駄だなんて。人の命に関わっているんだ。
諦めるなんてことが許されるはずがない。
そう頭の中で返答すると、居間のドアの近くに設置してある電話に駆け寄った。