魔法少女☆登場
桜が散り始めました(はぁ)
「それが貴女のやり方ですか……随分野蛮ですね」
敵さんを倒して決めポーズを取り、相も変らぬローアングルで迫り来る5カメさんに軽い怒りを覚え始めてた時、その鈴の様に澄んだ声があたしに掛けられた。
「誰!?」
左右を見渡す。
「上だよ、スター!」
おなかをあたしのヒールで踏まれてた為か、いち早く気付くコメット。
慌てて上を仰ぎ見れば、ビルの屋上に佇む黒い影。
「いったい何者!?」
あたしは声も鋭く誰何する。
探知呪文を使ってるのに、声を掛けられるまで全然分からなかった。
もしかして……もしかして、ついに……?
「わたしも貴女と同じ魔法少女。
勇気と自由の魔法少女ラブリィ※パフューム。
以後、お見知りおきを……先輩」
言って、フリルのついたスカートを優雅に広げ一礼する。
ボブショートの瑠璃色の髪が別個の存在のように輝きを放つ。
カメラが彼女を様々なアングルで映し出し、あれほどしつこかった5カメさんも更なるローアングル狙いで屋上へカメラを向ける。
そんな中、あたしは……あたしは戦慄していた。
(つ、ついに……!!)
そう、3クール目にしてついに「ライバル」もしくは「仲間」の登場である。
「きゃああああ~~~やったああああ~~~!!」
思わずガッツポーズを決めるだけでなく、身体から湧き上がる衝動のまま、ビルを駆け上がり(身体能力強化付与中)彼女を抱きしめていた。
「せ、先輩?」
「やったやったやった! やっと後釜ができたぁ~これで何とか抜け出せる~!(涙)」
もう限界ギリギリだったもん。
通帳は満たされるけど、妻や舞香ちゃんと離れてゆく心の距離。
そして抜け出す為にコネを総動員し、事後は四苦八苦するお仕事。
プライベートを犠牲にしてあたしは戦ってきたのだ。
(けど……これで!)
「ラブリィ※パフュームだっけ?
ホント、ありがとう! あたし凄く嬉しいよ☆」
抱き締めるだけじゃなく思わず涙ぐんじゃう。
「え? あの、困ります。
わたし、好きな人がいるんで……」
「何勘違いしてるの、もう!
貴女が来てくれて嬉しい! って、そう言ってるの。
一緒に頑張ろう!
っていうか、なるべくメインで画面を占領して視聴者の関心を攫って?
あたしもセカンド魔法少女の販促が終わるまではサポートに回るから! ね?」
「は、はぁ……」
「じゃあこれからよろしくね! またね☆」
呆然とするパフュームを後に、あたしはここ最近で最高の気分で飛翔呪文を唱え飛び去った。
偽次回予告
「コメット?」
「ナンデスカ、スター?」
「あたしの足、どう?」
「健康的デ大変脚力ニ優レテマス(カクカク)」
「うん! 手術は成功ね」
「デモ……味ハ今一デス(レロレロ)」
「え? きゃあ!! 全然治ってないじゃない!!
もう~こうなったら……はい、これ」
「コレハ?」
「ダイナマイトとライター」
「……ドウシロ、ト?」
「ん~これ持って敵さんに特攻して?」
「イヤデス」
「上手にできたらパンツあげる~」
「イッテキマス」
(ちゅど~~~~~ん!!)
「コメット……アナタの尊い犠牲は忘れないわ(ぐすん)」
「あーさすがに死ぬかと思ったわ。
でもこれでスターの生パンゲットだぜ!
その為ならボクは何度でも蘇っちゃう♪ ……って、はっ!?」
「死ね……ロリコンは死ね……」
「ちょっ、スターってば濃硫酸はやばっ……溶けっ……あぶぶ」