魔法少女※喪失
眼を開けると知らない天井が見えた。
身体を動かそうとしても、マラソンを走り終えた後の様に力が入らない。
仕方がないのでわたしは眼球を動かし室内を探る。
白くて清潔な部屋。
部屋のドアの前にお花を持ったママがいた。
何を驚いてるのか、目を開いて固まってる、
「おはよう、ママ」
「舞香、貴女……」
わたしに駆け寄ってきたママは大粒の涙を零し泣きじゃくる。
普段の毅然としたママを知ってるだけに、わたしは困惑してしまう。
でも事情は分からないけど、迷惑を掛けたんだな~って思った。
だから謝罪の言葉は素直に出た。
「ごめんなさい、ママ……」
「いいの、舞香。
貴女が目を覚ましてくれただけで本当に……」
小さな子供みたいにわたしの胸元で慟哭するママ。
そんなママを宥めながら、わたしは言い様の無い喪失感を感じていた。
落ち着いたママに事情を聞くと、わたしは連休に那須に出掛け『テロ』に巻き込まれたらしい。
死者こそ出なかったものの、自爆テロで怪我人が大勢出たとの事。
わたしも爆風に巻き込まれ一週間も昏睡状態だったらしい。
この病院に運ばれた時には外傷こそ軽度だったものの、心停止を起こしてたらしいので、大した障害もなく回復したのが奇跡と医者は言ってた、と。
わたしを抱き締め安堵するママの会話を聞きながら再び胸が掻き毟られる様な衝動。
何だろう?
何か忘れてはいけない大切な事を忘れてしまってるような……
焦りにも似たそんな想いが違和感となり叫びをあげる。
けどママの泣き顔の前にこれ以上問い掛ける事が出来ずにわたしは口をつぐんだ。
左の薬指つけられた見覚えのない銀の指輪。
蒼い輝きを上げるそれを見る度、心が浮き上がりそして……沈む。
わたしは……何を……
いいえ、誰を求めているの?
3時過ぎに更新します。




