魔法少女☆旅行(21)
この季節に雪とか寒すぎです(はぁ)
「いい加減機嫌を直してくれないか、舞香?」
「女の子の寝顔を見るだけで飽き足らず、悪戯するような人、
わたし知りません」
朝食を食べながら御機嫌斜めな舞香は答える。
今朝方の事をまだ引き摺っているようだ。
最近のデレっぷりが嘘の様にツンツンしてる。
それとなく声を掛けるも梨の礫。
満足に返事もしてくれない有様である。
(やっぱ寝顔だけで満足しておけば良かったか……)
しかし俺の中に巣食う悪魔は舞香をさらに苛めろと囁く。
反論し止めようとする天使。
(だがこれ以上やったら舞香が……)
(大丈夫だよ。舞香はクールに見えて打たれ弱いし)
(そうそう、反応が可愛いんだよね~)
ん? 俺は天使と悪魔の会話に違和感を感じ、テーブルの下を覗く。
そこには随分薄汚れた感じの愛玩動物がニヤニヤ笑いながら手を振っていた。
おかしい。確かに高速に捨ててきたのに。
まぁ結果は変わらない。
俺は手元のフォークとナイフをおもむろに掴み、迷う事無く突き刺す。
「おふっ!」
そして流れる様に近くの窓から廃棄。
「あふん!」
悪? は滅びた。
「何をしてるんですか、恭介さん?
そんな俺をすごく冷めた目で見つめる舞香。
ああ、そういう嗜虐心を煽る態度を取りますか君は。
「ふ~ん……そういう頑なな態度をいつまでも続けるんだ、舞香は。
ならば俺にも考えがあるぞ」
意地悪気に嗤う俺。
舞香の肩がピクっと震えるも、
「ふ、ふ~ん? 何でしょうかねーどこからか声が聞こえますけど」
あくまで聞こえてないよ、アピールをする。
ほう、そうきたか。
ならば対舞香用プランbの14でいくか。
「さて、ここに携帯がある」
「?」
「そこのフォルダーに収まりしは特選美少女の痴態。
うあ~これは人には見せられないや」
俺は携帯を操作しながらいちいち歓声を上げる。
気になるのかソワソワしだす舞香。
ま、実際は幼少期の舞香のやんちゃぶりを写メしただけのもんだけど。
「きょ、恭介さんズルいです!」
「あれ~どこからか声が聞こえるぞー気のせいかなー?」
「! ……いじわる」
「好きな子には意地悪するのが俺流ジャスティス」
「最悪です」
「舞香になじられた。ショックだ。鬱だ」
「もう~~~~!! 怒ってるのが馬鹿らしくなるじゃないですか」
舞香は苦笑すると頭を下げる。
「ごめんなさい、恭介さん。わたしが悪かったです。
でも……女の子の寝顔を見たり悪戯するのは、デリカシーというか配慮が足りないですよ?」
「は~い。以後、気を付けます」
12の女の子に叱られる35歳。
男なんぞ趣味に掛ける値段以外は中身(精神年齢)なんて大きく変わらないのだろう。
きっとね。
俺は年相応の元気を取り戻した舞香とのお喋りを楽しみながら、そう思うのだった。




