魔法少女※衝動
「ほら、おいで」
決して広くないベットにパジャマ姿の恭介さんが横たわり、手招きしてる。
枕元に置かれた逞しい腕を見るに、文奈ちゃんのいう女子の夢「ザッ・腕枕」というものだろうか。
わたしは束の間だけ逡巡すると、躊躇いを断ち切るかのように身体を潜り込ませた。
「お邪魔します……」
「はいよ」
優しい声が掛かり、布団が掛けられる。
わたしはそっと頭を恭介さんの腕に乗せると、精一杯の勇気を振り搾り身体を寄せる。
「お? 寒かったか?」
見当違いな事を言ってさらに密着する恭介さん。
あっ……駄目だ。
先程から頭がクラクラする。
だって好きな人とほぼゼロ距離。
無理です。
この設定は絶体無理。
理性が崩壊して、おかしくなりそう。
早鐘の様に鼓動を刻む心臓。
酩酊したかのように霞み掛かる思考。
あ、ヤバい。
「舞香? もう寝ちゃったのか? さすがに早いな」
気絶というか徐々に意識が飛んでいくわたしに恭介さんの声が掛けられた。
(ち、違うのにぃ~恭介さんのバカぁ!)
「おやすみ、舞香……良い夢を」
完全に気を失うわたしの脳裏に残る恭介さんの言葉。
こうして大した記憶もないまま、わたしと恭介さんの夜は過ぎていったのである。
わたしの、大馬鹿者(涙)




