魔法少女☆旅行(16)
那須ステンドグラス美術館は喫茶コーナーが一番だったり(はぁ)
「どうぶつ王国はどうだった、舞香?」
「楽しかったです! 特に猫さんとか猫さんとか猫さんとか猫さんとか!
あと……ペンギンさんの散歩とかも」
「そ、そうか……」
暖かな日差しが車内を優しく照らし出す。
時折眠そうにする舞香に、声を掛けた俺は若干引き攣りながら答えた。
「そういえば、次の恭介さんのお勧めのとこって何処なんですか?」
「ああ、もうすぐ……ほら、見てきたぞ」
「わあ……」
森を抜けるとそこには石造りの瀟洒なお城が聳え建っていた。
那須ステンドグラス美術館。
中はシックで落ち着いた内装になっており、流れるパイプオルガンの調べが心を癒す。
隣りには礼拝堂が併設されており、運が良ければ結婚式も見れる。
派手好きではない舞香はこの雰囲気が気に入ったようだ。
受付を済ませ館内に入ってからは完全に夢見る少女モードだ。
共に歩む俺の事すら忘れて建物内を散策している。
(うん。相性バッチリだな)
俺は心奪われてる舞香を横目で見ながら内心ガッツポーズを取るのだった。
「すみません、恭介さん」
「何故謝る。気に入ったんだろ? なら良かったよ」
隣りの礼拝堂へ進む道を歩きながら、舞香は気にしたように話し掛けてきた。
「まあ舞香の好みに直球だったからな。どうだった?」
「はい。落ち着いた雰囲気がとても……あっ」
喜び勇んで答えようとしたまま固まる舞香。
そこでは周囲の人々から祝福を受け礼拝堂から出てくる、華やかな新郎新婦の姿があった。
「いいなぁ……」
羨む様に呟く舞香。
「……いつか、わたしも……」
「近くに行って参加してみるか? ここは見学者も自由に参加できるみたいだし」
職員が道行く人に花びらを渡し、撒いてくれるよう頼んでるのを指差し聞いてみた。
「はい♪」
俺の提案に舞香は上機嫌で応じるのだった。
「んで。どうするんだ、ソレ」
ホテルへ向かう道中。
俺は助手席で笑み崩れている舞香の膝上を見て聞いてみた。
そこには可愛い白のブーケが鎮座していた。
先程結婚式に参加した際、ブーケトスまで見てたのだが、新婦さんが怪力だったのか、はたまたいかなる運命の悪戯か、遠くで見ていた俺達の方に飛んできたのである。
すっぽり舞香の手元に嵌ったブーケを見て俺は苦笑するしかない。
「ん~せっかくのブーケですし……大切に保管しちゃいます」
「まだまだ使う予定はないだろ?」
「分からないですよ? あと4年したら結婚できますし」
「寂しい事言うなよな。それに……相手もいないだろ?」
「いるかもしれませんよ。すぐ近くに(ぼそっ)」
「え!?」
「あ、ほら恭介さんよそ見しないで! わたし、今日はフレンチが食べたいです★」
「はいはい。どれ、飛ばすから掴まってろよ」
「え? きゃあああああ~~~~」
俺は法定速度ギリギリで舞香を揺さぶりながら、エピナールへ向かうのだった。




