魔法少女※回想(4)
お肉が美味しい!
口の中でチョコレートみたいに溶けてゆくお肉の、芳醇な味を堪能しながらわたしは感嘆した。
初めて食べたしゃぶしゃぶだけど、お肉と野菜をお好みで食べれる感じが凄くヘルシーでいい。
タレも自分で調節できるし、この「しゃぶしゃぶ」する動作が面白い。
恭介さんの視線が少し気になるも、二人でいっぱい食べてしまった。
今は食後のデザートを食べてるとこである。
地元の牧場で作られたアイスクリームらしいけど、濃厚で美味しい。
っていうか、全部が美味し過ぎて困る。
体重の事を心配したら、恭介さんが手元のお酒を勧めてきた。
えっ……関節キスになっちゃうんじゃ?
でも興味あるし……。
という訳で、少しだけ冒険してみることに。
恐る恐る舌先で舐めてみる。
あ、美味しいかも……。
大人の階段に足を踏み出した感じだ。
だがそんなわたしを子供扱いする恭介さん。
少し……いや、かなり面白くない。
わたしが大人のオンナというとこをアピールしてみせる!
わたしはグラスを呷ると、その中のものを確認もせずに飲み込んだ。
ほらね、これでわたしもオトナのおんにゃ……アレ?
明暗する視界、力が入らないカラダ。
意識が断絶的になって……そこで「わたし」の意識は途切れる。
話は冒頭に戻り、次の日の朝。
目を覚ましたわたしの前のベットには恭介さんが寝ていた。
あまりの衝撃に脳の認識が追い付かない。
(え~~っと昨日は確か……)
曖昧な意識を総動員する。
背負われるわたし。
暖かい彼の背中と優しいテノール。
口から零れる数々の告白。
結果、絶望。
わたしは窓から飛び降りたい衝動を堪え、ベットで転げまわっている次第である。
(わ、わたしってばトンデモナイことを……!!)
恋する女の子は忙しい。
好きな人と結ばれたい。
でも神様。
こんなサプライズは酷過ぎませんか?
わたしは自爆したくなる気恥ずかしさに、そっと涙を流すのだった。




