魔法少女☆変身
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪
「それじゃ、ですね。まずは魔法少女の定番『変身』なんですけど……」
「おう。金さえしっかり振り込まれるならきっちり仕事はこなすぞ」
「はあ……なんでこんなおっさんが……
愛らしい少女との心踊るハートフルな日々はどこに……」
「なんか言ったか?」
「いえいえ。なんでも~★ じゃあまずコレ、持って下さい」
そう言ってコメットは何処から出したのか長いステッキを器用に渡してくる。
「そして呪文詠唱です。
『パラレルパラレルシューティングスター☆ らぶらぶマジカル~♪』って杖を」
「ちょっと待てい!” なんだ、その寒い呪文は」
「いや、お約束っていうか定番なんですよ。玩具の売れ行きにも係わるし」
「今何か不穏な単語が聞こえたが俺は気にしない。だがその呪文は本当に必要なのか?」
「ええ、番宣的な意味でも魔法の力を集約する意味でも」
「……35歳のおっさんがそんな事してたら通報されるぞ、マジで」
「あ、変身シーンは誰にも見られないよう気をつけてください」
「なんだ? まさかペナルティがあるのか?
魔法の力を剥奪されるとか、寿命が減るとか……?」
「いえ。ボクの時給が減ります」
「あ、そう」
魔法少女のマスコットが時給という事にも驚いたが、変身にも驚かせられた。
こんな面倒な手順を踏んで彼女達は笑顔を振り撒いていたのか。
変身前から憂鬱になる。
「まあ論より実践。まずは、ね?」
「しゃあね~な。えーと、
『パラレルパラレルシューティングスター☆ らぶらぶマジカル~♪』だっけ?」
杖を適当に振りながら呟いた瞬間、謎の発光をあげるステッキ。
「お!? おっおっお!!」
そして「あたし」は華麗なステップを踏むと共に淡いベールに包まれる。
刹那、光があたしを完全無欠の魔法少女へと変身させていた。
「な、なにこれ~~~!?」
っていうか、身体だけでなく言葉遣いから思考までもが「少女」になっている自分にゾっとする。
「いや~一時はどうなるかと思ったけど、何とかなったみたいだ。
よろしくね、魔法少女プリティ☆スター。
地球(放送の都合上、大都市の1つの街限定)の平和の為、皆に希望を届けよう♪」
にこにこ告げるコメットを無視してあたしは驚愕していた。
だって……だって……!!
「股間がさみしいよ~~(><)」
男としてはあるものがないと落ち着かないみたい。てへ☆
嘘予告的なもの
「大変だよ、スター!
ついにライバルの魔法少女が現れたみたいだ。
このままだと単発物から戦隊物に変更されちゃう!」
「大丈夫、コメット。これを見て?」
「……なんすか、この汚い色のペンキと箱一杯の画鋲」
「あたしより目立つならこれで……うふふ☆」
「っていうか、何世代前の少女漫画の意地悪なキャラネタだよ」
「何か言ったかしら……?」
「あっ、あれ? なぜボクを壁に?
そしてその素敵な笑顔は……ってぎゃああ!
画鋲で縫いつけやがった!! マジこいつヤベー!!」
「さ、本命はこっち。新人はネットで叩くっきゃないわよね♪
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