魔法少女☆堕天
鬱って書けます? 難しいですよね(はぁ)
「舞香は大事な娘だ。魔法少女を辞めてほしい」
俺の本心からの願いに舞香は打ちのめされる。
「娘……ですか。そうですよね。
どれだけ頑張っても、どれだけ望んでも、やっぱりわたしは娘なんですよね……」
涙を堪えるような顔で微笑む舞香。
「恭介さん、わたし……貴方が好きです。
家族じゃなくて一人の男性として。
ママや他の誰にも渡したくないくらい。
でもそんなわたしの願いは届かないんですね?
貴方の傍には娘としてしかいられないんですね?」
「ああ」
残酷な宣言を告知する。
舞香は俺にとって掛け替えのない「娘」だ。
それに変わりはない。
薄々舞香の想いには気付いていた。
妻からも鈍感と言われる俺だが、ここまで好意を示されれば分かる。
だが俺はそんな想いに応じることは出来ない。
だって俺の心には大切な人がいるから。
まだ……振り切れてはいない。
「わたし……恭介さんが好きです……この想いは、本当なんです。
でも結ばれない……叶わない夢なんですか?」
「ああ」
涙を浮かべ縋りついてくる舞香。
頭を撫でながら無慈悲に言う俺。
「ですよね……何をやってるんだろう、わたし。
こんなに泣いて……涙が止まらない……ごめん、ごめんなさい恭介さん……」
泣き笑いから嗚咽を上げ始める舞香の背中を優しく撫でる。
「すまない、舞香」
「謝らないで下さい! 恭介さんには悪くありません!
わたしが……わたしが悪いんです……」
「いや、お前の想いに応じられない俺が悪い」
「フフ……ねえ、恭介さん……優し過ぎるのって、時には残酷ですよ?
傷はすっぱり切った方が治りが早いんですから」
俺を突き飛ばし、可笑しそうに笑う。
何か禁忌を犯しそうに。
「何だかすっきりしました。心の重荷が取れたみたい。
すっごい解放感……わたし、もう何も怖くない」
「舞香……そっちは危ない。戻ってきなさい」
「それは娘としての声掛けでしょう?
うるさいよ、『パパ』。
わたしの事、何も知らないくせに」
「舞香、お願いだから戻って来い! そっちは崖が!」
「嫌だよーだ(べー)。
パパの言う事なんて聞きたくない……ううん、もう何も聞きたくない!
何もかもどうでもいい!!
こんなわたしの願いが叶わない世界なんて……わたしなんて、もうどうでもいい!」
「舞香!」
「バイバイ、パパ。
あ~あ。わたしって、ホントに馬鹿……」
言って虚空に身を投げる舞香。
「舞香ぁ!」
手を伸ばした俺の指先は空しく宙を掴むのみ。
俺の懸命さを嘲笑うかのように舞香は中空で微笑むと、そのまま海に墜ちて行った。
海中から魔法少女特有の変身光が見えた。
おそらく命に別状はないと思う。
だが俺は何も出来ない、何も為せなかった無力感にただ膝をついて頭を垂れていた。
闇の帳の中光る星々が無機質に俺を照らす。
(俺は……何を間違ったんだ? 誰か教えてくれ)
この日を境に舞香は消えた。
そして俺は知る。
奴等と共に現れる、新しい敵を。
闇に堕ちた魔法少女が放つ、最悪の災厄を。
(BADEND)
バットエンド。
有り得たかもしれない可能性です。
普通ならこっちになっちゃいますよね。
あと質問ですが、こういう分岐って面白いですか?
お蔵入りになる話とかもこういう形でなら提示できるので。
もし好評なら続けてみたいと思います。良かったらご意見下さい。




