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魔法少女☆断罪

 雪が雨になりました……(はぁ)

「ふははははあは! 逃げ惑え、愚者共よ! 身に余る力を持て余すおまえむぎゅ!」

「衝撃のファーストブリット!」

 あたしの怒りを込めた一撃は、得意絶頂に語る蟹型敵さんの甲殻を歪ませる。

 いたた……やる前から分かってたけど、硬いな~。

「いきなり何をする! 何者だ、貴様!」

「お前らに語る名などない! 

 ……と言いたいけど、番組的にスポンサーさんが困るので名乗ります。

 愛と希望の魔法少女プリティ☆スター参上! 

 星に代わって、タイマン張らせてもらいます★(キラン)」

「何をふざけた事を言ってい」

「撃滅のセカンドブリット!」

「ぐはっ!」

 奴の口上を聞かず、あたしは魔力付与で強化した拳を更に叩き込む。

 今期の敵さんは、相変わらず物理抵抗力が高い。

 けど光線系の魔法を遮断する以上、あたしは自らの身体をもって戦う。

「話を聞かんか! お前は何故人間に味方する?

 人は空を汚し海を汚し大地を汚す。

 何故そんな者達を放っておく!?

 これは裁き……いや、我等超越者による天罰なのだ! 

 黙って人を間引くのを見よ」

「それが、お前達の理屈?

 その理屈ではあたしの道理は覆せない!

 あたしにはわかる。

 あたしの中にあるこの想いが、お前達を悪だと確信させる! 」

 周囲を見渡す。

 フラダンスショーを楽しみに集っていた人々。

 死傷者こそいないも、逃げ遅れた人の中には流血している方もいる。

 最初は舞香との時間を邪魔された憤りがあった。

 でも、今あたしの中にあるのは怒り。

 理不尽を憎み、正義の刃を手に執る正しき怒り。

 ああ、そうだ……弱き者を傷付けるお前達は、あたしにとって紛れもない悪だ!!

「ふっ……ならば貴様らこそ正義か? 

 我等を傷付け、無と為してきたお前達はいったい何だと云うのだ!?」

「悪を斃す為の必要悪。ただ、それだけです」

 気配すらなく現れたパフュームが言い放つや否や、瞬時に敵さんの背後を取る。

「よって、これは人が人として憎み放つ断罪の刃。凍てつき凍りなさい」

 そして密着したゼロ距離から冷凍魔法を放つ。

 なるほど! それなら!!

「今です、スター!」

 見せ場を貰っちゃってゴメンね★

 でも許せる事と許せない事が番組とはいえある。

「抹殺のファイナルブリット!!」

「バ、バカな~~~!」

 あたしの渾身の一撃は、凍りついた敵さんの殻ごと、その体を粉々に打ち砕いた。

「流石ですね、先輩」

「ううん。パフュームちゃんのお蔭だよ★

 でも……何でこんなところに? 

 あたしはたまたまだけど」

 管轄の地方都市で戦うのがお約束なので、つい気になった事を聞いてみる。

「わたしも偶然……。

 いえ、ではなく……そう、今回は特番なのです。映画に向けての」

「ああ、連休前だしね! なるほど~それは気が付かなかったな~」

「そ、それではこれで失礼します。

 連れを待たせているので」

「あ! あたしもだ。今日はありがとね、パフュームちゃん。

 劇場版でも一緒に頑張ろうね!

 ……二人だけだか、オール魔法少女キャスト出演になるか不明だけど」

「え、ええ。そ、それでは失礼します」

「バイバ~イ。映画では、い~っぱい動いて予算使い切ろうね~★」

 どこか誤魔化すかのように飛び去るパフューム。

 少しはお話していけばいいのに。

 あたしは肩を竦めると、取り敢えずマスコットとしての本分すら忘れて幼女観察をしている変態ナマモノに制裁を喰らわせに行く事にした。




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