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−旅立ち−

この作品はフィクションです。そして初の連載投稿です。楽しいと感じても、つまんないと感じても、最後まで読んで頂けたら幸いです。では、どうぞーーー。

ザーーーーーー。






雨音で目が覚めてしまった。

今日もまた雨か。

もう一ヶ月以上、青い空を見ていない。

僕は起きてすぐ、窓の向こうの曇り空を眺めた。

しばらくして、一階から

「ゆうー!もう起きなさーい!遅刻するよー!」

と、母さんの声がした。

もう起きてるよ・・・。

僕は口には出さず、頭の中で返事をした。


一階に降りると、母さんが朝ご飯を用意してくれていた。そして、出掛ける準備をして、僕と入口ですれ違った。

すれ違いざま、母さんが

「じゃあ母さんもう仕事行くから、遅れないように行きなさいよ?じゃあね。」

そういいのこし、そそくさと家を出ていった。


朝ご飯を食べ、歯磨きをして着替えが終わる頃にはもう遅刻八分前だった。

「やばっ。遅れる。」

僕は走って家から10分の小学校へと向かった。


懸命に走ったが、このままでは遅刻する。

そう思って、僕は近道をすることにした。

この道は、昼でも日が差し込まないし、それに、このあたりはよく神隠しの伝説みたいに、人が消えて帰って来ないという事件が何回かあったのだ。絶対に通りたくない。

だけど今日はそんな事言ってられなかった。

遅刻すると、僕のクラスの担任は、ペナルティとして教室掃除を一人にやらせるのだ。

僕は必死に走り続けた。学校が見える最後の坂道を降る途中で、神社の社みたいなところがあった。

そこには、僕より確実に十歳は年上の、茶色の長い髪の毛の女性がこっちに背を向けて立っていた。


この雨の中−−−傘もささず。


気になって声をかけてみた。

「雨−ひどいから、傘、さしたほうがいいですよ?」

そう声をかけると、その人は驚いた表情をして

「君、あたしが見えるの?」

ときいてきた。

何を言ってるんだと思いながら

「はい、見えますけど?」

と返した。

女の人は頭を抱えて、考え込んでいるようだった。

っと。



キーンコーンカーンコーン。




僕はその音で我に帰った。あー遅刻か〜。

そして、先を急ぐ事をさっきの人に伝えようとして、彼女はそこにもういなかった。

僕は俯きながらとぼとぼと坂を降っていった。


そして、結局その日は一人で教室掃除をした。

帰る頃には、もう誰もいなかった。

帰り道。僕はいつもの道を、傘をさして一人で歩いていた。

すると後ろから、

「ねぇ」

と声をかけられたような気がした。

僕がビックリして振り返ると・・・、そこには誰もいなかった。気のせいかな?と思い、元に戻って踏み出そうとして、

「こんにちは、少年。」

朝見た女の人が立っていた。

「うわっ!」

僕はビックリして尻餅を着いた。

女の人は僕を真剣な眼差しで見つめこう言う。


「この世界を救うのに、君の力が必要なんだ。ちからをかしてくれるかな?」

といってきた。

僕はわけがわからないまま、そこに座っていた。


「はい?」


僕はその質問に疑問詞を投げ返した。

と。またその女の人は傘をさしていない。

さらにおかしなことに気付いた。彼女の身体は雨で全身ずぶ濡れのはずなのに、そのからだは濡れるどころか、少し透けていた。

僕が見つめていると、

「最近雨が多いよね?」」そう聞いてきた。

僕は黙って頷く。

「この雨はね、人為的に降らせたもので、このままだと地球、水浸しになっちゃうんだ。」

僕が目を真ん丸にしていると、

「とりあえず・・・君んち行こうか。話はそれから」

そういって、僕とその人は家に向かってあるき始めた。

「あっ名前まだだったね。私はキョウコ、よろしくね。君は?」

「僕はゆうといいます。ところで・・・何であなたは濡れてないんですか?」やっと聞けた。

「あ〜これね。まぁ・・・特異体質とでも言っておこうかな。」

「・・・」

僕の頭の中はわからないことだらけだった。




そのうち僕の家に着いた。キョウコさんは、僕が家の鍵を開けると

「君ん家に誰かいる?」

と聞いてきた。

「誰もいません。母は仕事だし、父は家を飛び出してったきりだし、姉は帰ってこないし・・・」

そういって家に入る。

「君も苦労してんだねぇ・・・」そう呟いて、僕の後を着いて来た。


「ふうぅ」

と、キョウコさんは僕ん家の椅子にどかっと音を立てて座った。

僕はお菓子と、紅茶を差し出した。

そして彼女のむかいに座った。

「それじゃまず、人為的に雨を降らせるなんてこと、普通出来ませんよね?誰がなんのために、そしてどうすれば降らせることが出来るのか、僕はなにをすればいいのか。そこからまず聞きたいです。」僕の顔を見ながらキョウコさんは驚いた顔で

「君・・・ホントに小五?」

と聞いてきた。

「はい、そうですけど?」

と普通に返した。

「・・・まぁいいや。じゃ本題にはいるけど」

そういって、一口、紅茶を飲んだ。

「この雨はね、元は普通の雨なの。だけど、その雨だけなら降り続きはしない。その普通の雨と、一つの薬品によって雲をつくり、その水分を一カ所に集めて人工的に作り上げた雨とを降らせているの。作り出せる雲はほぼ無限だから、雨が止まない」

「その雨を降らせているのがここ・・・日本なんですね?」

「ええ、でもその薬品が作られているのはこの世界のどこでもない。作っているのもこの世界の人ではない。」

「それってどういう・・・?」

きこうとした僕の言葉を遮って、

「この世界とは似て非なるせかい。いわばパラレルワールド。それがあたしたちの世界、ヨルムガルド。」

僕は少し不信に思い、

「そんな世界、ホントにあるんですか?」

と聞いた。

彼女は迷いなく

「ええ、あるわ」

と答えた。

「何で君にこんなこと話すのかというとね、君、あたしの事見えたでしょ?」

間髪いれず

「はい、当たり前のように。」

と答える。

「けどそれは本来有り得ない。だって私はあの時ある一つの能力を使っていたから。それもついさっきまでね。」

彼女はそういうと、目を閉じて、集中した。

すると、また彼女の体は透け始めた。「これが私の能力。スケルよ。この姿なら何にも触れられないし、見えない。だけど君には見えた。つまり・・・」

僕を指差してこう言った。

「君も能力を持つことが出来る。そしてそれを持っている。」


僕はキョウコさんの気迫にまけ、動けなかった。


「僕が?」

聞き返す。

「ええ、間違いないわ。」

「だけど僕、今まで普通に暮らしてた、普通の小学生ですよ?」

「君は幽霊とか、見た事ない?」「へ?うーん・・・ないことはないですけど」

「それってなんで見えたと思う?」何をいってるんだろうと思ったけど

「霊感があるからとか・・・偶然見えたとかじゃないですか?」

と答えた。

「そう、正解。それが私たちのいう能力の事、霊感ってのは昔こっちの世界に持ってきた、能力の一種。つまり、この世界にも能力を持っている人はたくさんいるわけ。君もその中の一人って事。」その話のスケールの大きさに頭が痛くなった。

僕は、

「じゃあなんで僕じゃなきゃだめなんですか?ほかにもいるんでしょ?能力を持ってる人。」

ときいた。

「君は特別。なぜなら、普通の人は一つしか能力をもてないけど君は二つ、三つあるいはそれ以上初めから持てるんだから。」

「はじめから?」

「そう、はじめから。こっちの世界のひとは一つしか持てないはずなの。だけど君は持ってる。」

なんだかすごいことになってきた。

「・・・僕はどうすればいいんですか?」

キョウコさんは、紅茶をすでに飲み終えていた。


「あっちの世界に行って雨を止める。それが一つ、それれと、その前に助けてあげて欲しい人がいる。それで二つ。」


「僕一人でですか?」

「まぁ基本はそうなるかな。私はあっちには行けないのよ、いろいろあって。」

ここまで知っててどうしていけないのかは聞かなかった。きっと言えない事情があるんだろう。

「えっと、わかりました。それじゃあ行きますよ、その世界に。」

と、僕は軽くOKした。

「ありがとう。それじゃあ、最初に会ったあの場所まで行きましょうか。」

そして僕らは家を後にした。




「それじゃあゆうくん。頑張ってね。」

「はい、任せてください。」

眩しい光が僕を包む。

僕は小さな勇者となるため、異世界へと旅だった。







しばらく眩しくて、目を閉じていたけど、だんだん僕の回りの光が無くなってきた。

そして、僕は目を、そっと開いた。




視界に広がるこの世界は、僕がつい先程までいたあの場所と、なんら変わりがなかった。

おかしいな?悪い夢でも見てたのか?

そう思いながら、とりあえず僕の家があるであろう道へ歩を進めた。

「ん?」

おかしなことに気がついた。

僕がいることに、誰も気がついていない。それ以前に、ぶつかってもなにも言わずさってしまうのだ。

気がついたら、今度は辺り一面真っ暗になった。

「夢を見てるんだな」

と思いながら、僕は立っていた。

いや、もう自分が立っているのか・・・上も下もわからなくなっていた。

ただ、暗いだけ。

誰かの声がした。

「オメデトウ、オツカレサマ。ガンバッテル?キミハドウシテコンナトコロニキタノ?」

そう聞かれた。

「頼まれ事があって、それを終わらすために来ました。」

と、真面目に答えた。また声がする。

「ハハハ。バカミタイ。キミハダマサレタノサ。モウオソイ、キミハシンジャウヨ。バーカ!バーカ!ギャハハハ!!」

気持ち悪い笑い声が響いて、声がやんで、静かになった。


なんだったんだろうと思いながら、早く目が覚めないかと願っていると、冷たい何かが顔にあたる。


目を開けると、血の雨が降っていた。その光景は残酷すぎて、吐き気がした。みんな死んでる、みんな。突然、背後から激痛が走る。見ると、脇腹にナイフが刺さっている。

「さようなら」

そうやって僕を刺したやつは消えていった。

苦しい・・・苦しい・・・苦しい!!・・・苦しい!!!!

いたい・・・いたい!!!!!!






そこで目が覚めた。

そこは、あたり一帯が草原だった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

目が覚めた僕は、汗でぐっしょりだった。いきなりたくさんの映像・・・さらに痛みまで伴うとはな・・・。

なんにせよ、やってみるしかないか。


僕が寝ていた草原に、僕の形だけが残り、揺れる頭を抑えながらゆっくりと、僕は歩き始めた。

いかがでしたか?次はいつ更新できるかわかりませんが、更新した際には、またお付き合いしていただきたいと願っております。では。

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