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文化祭②
放課後の気まずさはこの上ない幸せの象徴だった。
「好きです…」
彼の言葉が今も心の中で鳴り響く。答えは今すぐには言えなかった。
素直に言いたかった。それでも過去の自分が忘れられているようで嫌だった。
だから返事は文化祭の後に言う事にした。彼といてしまうとこの想いに素直になってしまいそうだった。
記憶喪失の彼を助けたいと思っても中々進展は無い。
過去に縛られる私と今に自由に生きる彼が近くにいるのに遠くにいる。
今日だけは一人の夕焼け道を歩く事にした。
静寂が辺りを支配している。車の音がよく聞こえる。いつもなら彼の声しか聞こえないから。
彼には申し訳ないけど、こうするしかない。
少しでも生きたいと思ってほしいから。
夢に出てくるぐらい私は彼を想っていた。勢いで返事をしなくてよかったと思えた。
眠たいも今日の朝には無かった。
今日が運命の日だから。
いつもより髪を整えて昔付けていた髪飾りを付ける。
「行ってきます」
誰もいない玄関にそっと呟く。
突然のラブストーリーにそっと転機が訪れた。




