夢 (過去編)
夢の中では公園にいた。幼稚園の私は笑いながら彼と遊んでいる。
まるで家族のように親密でお互い笑い合っていた。
白鷺くんとはよく遊んでいた。その時間が一番の思い出だった。
でも気づけば隣に彼はいなくなった。目まぐるしく変化する夢に私はついていけなくなる。
明るい公園にいたはずなのに気づけば夜の海辺にいた。
なんでいなくなったの?
暗闇に投げられた質問にだれも答えるはずない。
小学校の時彼は常に私の隣にいてくれた。だからどんな時も側にいてくれると信じていた。
中学校に入学したら彼は他の友達と関わることが多くなった。私とも話す事はあった。それでも前より距離が遠くなったせいで素直になれなかった。
砂に埋もれてしまいたい。そう思っていた時美智也くんに出会った。彼の瞳には生きるエネルギーを感じられなかった。
まるですぐに消えてしまう花火のように。ただ生きる意味が欲しかった。だから彼を救いたかった。
でも彼の荷物は私には重たすぎた。彼を救えるのは私では無かった。
全て中途半端な状態だった。白鷺くんとの思い出の数ほど涙が溢れ出す。数知れない涙が砂浜に染み込んでいく。
見つめた先には一等星が顔を出していた。簡単に掴めてしまった。光が溶け出して私の心を蝕んでいく。
私はずっと白鷺くんを想っていた。突然足音が聞こえる。目の前に彼がいた。砂浜に崩れ落ちた私の手をそっと握ってくれた。
その瞬間夜が突然崩れ落ちるように消え去った。
私の流した光がまるで天使の梯子のようだった。
辺りは鮮やかな太陽に照らされて緑が色付くと穏やかな景色が広がった。
私は彼に抱きつく。確かな感触が全身から伝わってくる。
「ごめんなさい……ありがとう」
私を見つけてくれてありがとう。
素直になれなくてごめんなさい。
二つの感情が彼をどれだけ想っているのか物語っていた。
私は果てしない水平線の先に見えた希望に祈りを捧げた。本音では彼に向けたラブレターだったかもしれない。
生きててよかったと思えなかった私に彼はそっとマーガレットの匂いを教えてくれた。




