第一話 始まりの音
2025年になってから精神病を発症し、現在闘病中の20歳、男の実話です。同じ境遇の人がこれを読んで、心にゆとりを持てるきっかけになれたら嬉しいです。
「ドン!」この音が僕の第二章の始まりだった。
気づけばそこは金山駅の地下。クリニックの目の前だった。辺りを見渡すと父と母がいて、父は僕に手を差し出し、その手を掴んで僕は立ち上がることができた。母は心配そうに2人を見つめる。少しして、状況が理解できた。
僕は父にひっくり返されたのだ。
感情は冷静だった。怒りが湧き上がってくることもなく、立ち上がったあと、すぐにクリニックに入ろうとした。しかし、そこには顔を真っ青にした従業員が立っていて、必死に母に説明をしていた。
「今の駿さんの状態では診察をすることができません。他の医療機関を紹介しますので、そちらで診察をおすすめします。」
父もそれを聞いていて、怒りをこらえながら答えた。
「分かりました。そちらで受診します。」
父は午後から仕事があったが、会社に電話をし、仕事を休むことにした。
あすなる金山の駐車場にとめてある、父のハリアーに、僕と母は乗り込み、父が精算を済まし、父の運転で、一度家に帰った。帰り道に僕は言った。
「やっぱりお父さんは強いや。ひっくり返されちゃった。」
父はそれを聞くと、笑っていた。しかし、ハンドルを握った手はプルプルと震えているのが目に見えて分かった。
無事に家に帰ったあと、2時間ほど家族みんな(弟と祖母を除く)休憩をし、クリニック金山支店で紹介された医療機関へ出発をした。また父のハリアーで、父の運転で向かった。その道中で、僕は話をいっぱいした。憧れている人の話。中学生の頃の話。好きな言葉の話。脳で考えるよりも先に、口が勝手に動いていた。そうこうしていると、あっという間に時間が流れ、目的地に着いた。
そこは、『愛知県精神医療センター』だった。
ペースは遅いかもしれませんが、続編をどんどん出していきますので、楽しみに待っていてください。