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存在価値  作者: あわれ
4/4

4

家に着いたようだ


3階建てのアパートの2階

辺りは静まり返っている


ポケットから徐に鍵を取り出し開けた

彼女はドアを開いた

金木犀の甘い香りがふんわりと漂った


部屋に入ってすぐに私は風呂場まで連れていかれた

石鹸を泡立て優しく擦っている

暖かいシャワーを浴びせてくれた

汚れが全て落ちてゆく

心も身体も浄化された気がした


蝶柄のタオルで私を拭い

リビングまで連れていった


白と黒で統一されたシンプルな部屋だ

5cmほど開いた窓から夏の夜風が流れ込む


彼女は私をソファの上に置き

キッチンへと向かい歩いていった


1、2分ほど経っただろうか

食べやすいよう4等分にされたトマトと

皿に移されたミルク


私は貪るようにトマトを食べた

口の周りがほのかに赤くなった

ちゃぷちゃぷと舌で器用にミルクを舐めた


ほんの僅かな時間で全て平らげてしまった

もっとゆっくり食べればよかったと後悔した


初めて満腹というものを知ることが出来た


しかし私はそれ以上に

心の底からの幸福を感じている

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