異能学園に転校初日、謎のライバルと冷たい美少女に出会った件
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菊池怜の転校初日は、想像をはるかに超える驚きと緊張に満ちていた。光明学園の門をくぐった瞬間、彼は普通の学校とは異なる異質な空気を感じ取った。校舎は古代の城のような風格を持ち、至る所に異能の象徴が飾られていた。
「ここが光明学園か…」
心臓が早鐘を打ち、手のひらが汗ばんだ。怜は深呼吸をして気持ちを落ち着けようとした。これからの生活がどうなるのか、全く見当がつかなかった。目の前に広がる新たな世界に、一抹の不安と興奮が入り混じっていた。
校舎の中に足を踏み入れると、まるで異世界に迷い込んだかのような感覚に襲われた。廊下を歩く生徒たちの中には、空中に浮かぶ者や火を操る者など、様々な異能を持つ者たちがいた。
「君が新入りか?」
突然、背後から声をかけられ、怜は驚いて振り返った。そこには、鋭い目を持つ少年が立っていた。彼の名は黒崎駿。既に学園内で名を馳せる存在であり、その冷静な態度から多くの生徒に一目置かれていた。
「ええ、今日からここに通うことになった菊池怜です。」
「光明学園へようこそ。だが、ここでは君の力が試される。準備はできているか?」
駿は挑発的な笑みを浮かべながらも、その目には何かを見透かすような鋭さがあった。怜は一瞬たじろいだが、ここで怯んではならないと覚悟を決めた。
その時、廊下の奥から一人の少女が駆け寄ってきた。彼女の名は真田陽菜。美しく冷たい瞳を持つ彼女は、学園の中でも特に目立つ存在だった。
「駿、やめなさい。ここは学園よ、無駄な争いはやめて。」
陽菜の言葉に、駿は一瞬顔をしかめたが、すぐに無言で去っていった。怜は安堵の息を吐き、陽菜に感謝の気持ちを伝えた。
「ありがとう、助かったよ。」
「いいのよ。でも、ここでは自分の力を証明しなければならないわ。駿は厳しいけど、彼にも理由があるの。」
陽菜の言葉には厳しさと優しさが混じっていた。怜は彼女の真剣な眼差しに、強くなければならないと改めて決意した。
授業が始まると、教師が異能の基本について説明を始めた。怜は自分の力をどのように制御すれば良いのか、少しずつ理解していった。教師の話によれば、異能力にはそれぞれの限界と制約があり、適切に訓練しなければならないという。
休み時間になると、駿が再び怜の前に立ちふさがった。
「菊池、ちょっと話がある。」
駿の表情は冷静だったが、その目には真剣さが宿っていた。怜は一瞬緊張したが、駿の言葉に応じて立ち上がった。
「何だい?」
「君の力を見せてもらいたい。だが、無駄な争いを避けるために、正式な訓練場で行うべきだ。」
駿の提案に、怜は驚いたが、同時に彼の冷静さと理性を評価した。
「分かった。準備が整ったら、訓練場で会おう。」
駿は軽く頷き、再び訓練に戻った。怜もまた、自分の力を証明するための準備を始めた。
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