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ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。  作者: あずももも
3章 珍しいスライムさんをゲット

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77話 シルバースライムはおいしくなかった

「シルバースライム……あ、あった。 えっと、魔法無効化な上に反射してくるスライム。 HPは低いけど、防御力がとっても高いからなかなか倒せない……でも気まぐれだしさっさと逃げちゃうから、周辺で1体しか居ないとかじゃなきゃスルー推奨。 でも経験値はすごい……へー」


タブレットを見ながら特徴を解説してくれる光宮さん。


「りおちゃん、見たことないの?」


「うん。 中級者ダンジョンでも深めのとこじゃないと……っていうか、そもそも出現すらあんまりしないんだって」

「ふぅん」


さわると滑らかな金属って感じ、でも柔らかくって……不思議な感覚。


「おまんじゅうはふかふかあったかくって、君はすべすべふにふになんだね。 ……あ、名前……」


そうだ、名前。

せっかくだからつけなきゃだけども……難しいなぁ。


「……やはり男性の……女性だけのパーティーとあって……」


「やはり男性が居た方が……でも、教官さんの方でも厄介な方たちを遠ざけてくださって……」


「今回のことがありましたので……あなたたちには警護を……ダンジョン協会側の負担で……」


「女性がメインのパーティー……安心できて、とても……」

「ええ、とある事情から、絶対に信頼できると……」


ものすごく顔を近づけてひそひそひそひそしてるあやさんと教官さん。


この前といい今といい、歳が近いお姉さん同士だと話が盛り上がるのかなぁ。


「安心したらおなか空いたなぁ……この後食べよ!」

「そうだね! 今日もいろいろあって疲れたから……うん、いろいろと……」


ぐぅ。


……ひなたさんがおなか空いたとか言うから。


「……チョコ。 チョコの、銀紙……」


「ぴぎっ!?」

「きゅい!?」


なんだかよだれが出て来る。


じゃれついていたのか、おまんじゅうの背中から脚までをべたーって広がって、銀紙みたいになってるスライムさんを見てたら、ふとあの感触を思い出したんだ。


ミルクチョコの、甘い味を。


「甘いチョコを、かさかさ空けてるあの音……ちょこ……ミルクチョコ……おいしそうな名前……」


「!?」

「!?」


口の中によだれが出て来るのを感じる。


「……チョコが載ってるおまんじゅう……おいしそう……」


「  」

「  」


「今日のスイーツはチョコ系が良いなぁ……あ」


ぽてっとおまんじゅうから落ちて丸くなったスライムさん。

その子をそっとすくって顔の前に持って行く。


「……おいしい? 君……」


「ぴぎっ! ぴぎっ!?」


「君の中……剥いたら中身、おいしいチョコ、無い……? あるいは銀色にコーティングされてるお菓子だったり……」


「    」


おなかが空いた。

もうなんでもいいから食べたくなってきた。


「あー……」


「ぎゅいぎゅいぎゅいぎゅいっ!?」


ぺろっ。


「    」

「    」


「………………………………」


……なんて言うか……うん。


普通に金属だった。

なんか噛んだら奥歯がびりってしそう。


「……冗談冗談。 さすがの僕も食べたりしないよ」


良い匂いがしたり、おいしかったらちょっとは味見したかったけどね。


「……ぴぎ……」

「きゅいぃ……」


ぽてっと手のひらから転がり落ちたスライムさんは、ころころ転がっておまんじゅうの元へ。


おまんじゅうがなでなでして……かわいがってるのかな。


「けど……チョコって犬とかの名前で良くあるよね。 ……よし」


寝起きだし疲れてるし、ぼーっとしてるしおなか空いてるしでよく分からないけど、何となく合ってる気がするからこれで良いや。


「教官さん」


「あ、星野さん。 リストバンドが作動しないなどと言う異例の事態がありましたし、今月は女性パーティーの護衛を……どうしましたか?」


「このスライム。 名前とか登録するのってどこですか?」

「……ええと、今でもできますけど……」


「あ、ちょ! 柚希先輩、ネーミングセンスが――」


「この子、チョコでお願いします……ふぁぁ……」


まだ眠い。

魔力切れってすっごく眠くなるよね。


「……え? チョ、チョコ……ですか……?」


「チョコちゃん! おいしそー!」


「ねー。 チョコの銀紙みたいでさ、この子の中に甘いチョコ入ってるって思ったら」

「うー……今日のスイーツ、チョコ食べる!」


チョコって名前を聞きつけて走ってきたひなたさん。


早速スマホで、ここの近くのお店……お昼ごはんとお茶するお店の両方を探し始める。


「……いいのでしょうか……その、名前が……」


「……良いんです。 柚希先輩、お母さん譲りで……その。 昔に拾った猫とかにも変な名前、つけてたので……」





「ちょっとがっかりしました?」


「ううん。 このくらいの方が安心できるよ」

「ええ……普通のお給料の範囲ですし……」

「ふぅん……このくらいがそうなんだ……」


教官さんは、なんでもまた連絡してくるらしい。


リストバンドが作動しなかった件と、あの転移陣のことで聞きたいことがあるんだって。


僕たちが知ってることはないけども、まぁあのお姉さん相手なら怖くないしってことで気は楽だけどね。


そんなわけで僕たちは換金所へ。


今日の、初心者ダンジョンを4階層に普通の……弱めのボスを倒したのと、ひなたさんと僕で倒した、変な敵の分。


「でも、あの部屋で倒したのはほとんどゆずきちゃんなのに……」

「戦果は平等に。 本当はあやさんと光み……理央ちゃんとも分けたいけどさ」


「さすがにその分だけはダメです」

「そうですよ。 私たちは、そちらの戦闘には参加していません」


「ってことで」

「……うん! じゃあ半分こだね!」


確かにあの部屋でモンスター倒したのはおまんじゅうだ。


けども、それだって僕の前でガードしてくれてたひなたさんが居てこそだったし、攻撃がズレちゃってからはひなたさんがボスを弱らせてくれてたもん。


……この前のこともあってか、ちょっと悩むだけで納得してくれたらしい。


ちょっと申し訳ないけども、やっぱりパーティーなら平等じゃないとね。


そんなわけでひなたさんと僕は……僕なら大体1週間分のバイト代って言う、すごいけどこの前ほどにはびっくりしないお金を手に入れたんだ。


初心者ダンジョンでの何十体と――ひなたさんと2人で戦ったモンスターたちは、この前のモンハウのときくらいの強さらしい――10体くらい。


それだけでこのお金。


……改めてダンジョン潜りって、すごい。


これなら、がんばればお母さんの……1ヶ月分くらいの良いお薬代。

その先の、学費にまで手が届くかもしれない。


「……ふふっ」


そう思うと、ちょっとわくわくする。


もう諦めてた夢が、2個。

そう、思っちゃうとね。


「あ、教官さんが言ってましたけど、今日はこちらにレベル測定できる装置があるそうです」

「レベル測定! ひなたやってみたいやってみたーい!」


「……柚希先輩も、しといた方が」

「僕は別にいいけど……うん、せっかくだし」


3人は、自分のレベルが戦闘力に直結するから受けといた方が良いのは確か。


でも僕はおまんじゅうと……今度からはチョコ頼り。


そこまで必要じゃないけども……せっかくだから受けてみようかな。


「きゅいきゅい」

「ぴぎぃぃ……」


それにしても、おまんじゅうとチョコは仲良しだね。


てっきり嫉妬するかって思ってたおまんじゅうが甲斐甲斐しくお世話してるのが、なんだかかわいい気がする。


あの銀色の不定形のフォルムも、ずっと見てたらなんだかかわいいし。


けど、やっぱおいしそうって思うのはなんでなんだろ。


「      」

「きゅいぃ……」

「男の娘をもっと見たい」「女装が大好物」「みんなに姫扱いされる柚希くんを早く」「おもしろい」「続きが読みたい」「応援したい」と思ってくださった方は、ぜひ最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。

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