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63話 バイトでもやもや

「次の冒険は週末ですね。 楽しみです!」

「そうだね」


夕方のシフトになると、だいたい光宮さんと同じになる。

まぁ学校の帰り道だし、放課後だし。


「……柚希」

「田中君?」


ついでに田中君もシフトに入ってる。

バイトすると、その分がおこづかいになるんだって……いいなぁ。


「……今週から、土日。 全部、別の人入れてやったからな。 ダンジョン、潜んだろ」

「あ、良いの!? ありがとぉ!」


「うぉっ……お、おう、まあ、舎弟のため! お前だけじゃない、子分のためだからな!」

「それでも良いよ! わー、ちょっと2人に連絡する!」


OK出るか分からなかったけど、田中君が良いって言ってくれたんだ。

気持ちが変わらないうちに2人に教えて予定、確定させよっと。


「……じー」

「おう光宮、サボってるとバイト代下げんぞ」

「労基に訴えますよ?」

「ああ言えばこう言う……お前は本当になぁ」


田舎にはろくなバイト先がない。


バスで行った先の駅前のお店か、こういうぽつぽつ立ってるお店、それか工場とかくらい。


駅前の方が、帰り道にお店見て回ったりで来て楽しいんだけども、やっぱり通勤時間は大切。


だから僕は、歩いても行ける範囲な田中君のお父さんのお店、3軒を掛け持ちさせてもらってるんだ。


で、ダンジョン潜りするからって田中君に頼んで、そのうちの1個をお休みさせてもらった。


……土日は時給も高いから本当は外したくないんだけども……多分、慣れてきたらダンジョンの方がずっとお金入るし。


それに、あやさんもひなたさんも、あと光宮さんも、みんな土日の方が予定立てやすいって言ってたから。


ま、ダンジョン潜りは、潜るタイミングとかモンスターの湧きとかで毎回の収穫がばらばらだって言うし?


土日は一攫千金、平日は安定収入。

これでまずは……ワンランク上のお薬を買い続けられるようにしたいな。


そうしたらお母さんも、普段から杖……は使ってもいいけども、家から出られるのに。


いつもぼーっと布団で寝てるだけだから、ずっとかわいそうだったんだもん。


お肉………………は、たまにね。


「てゆーかー、田中先輩、柚希先輩の配信、ちゃんと観てあげてますー?」

「……おう」


「で?」

「……柚希に聞こえんだろ」


「知ってるじゃないですか。 何かに集中してるときと、ぼーっとしてるときは聞いてないですよ? ちなみに今は意識がそのへん漂ってるのでばっちりOKです」


あ、天井の照明、1個切れかかってる。

あのちかちかするの見てるのは楽しいんだけどなー。


「柚希先輩、大人気なんですから。 ユニコーンテイマーとしても……女の子としても♪」

「……知ってる」


「あーあ、残念でしたねー? せっかく大切に隠そうとしてた先輩も、もうデビューですよー?」

「……ガキのころからあんなに潜りたがってたんだ。 止められるはず、ねぇだろ」


次は土日。

今度はちゃんと初心者ダンジョンなんだって。


そのときに、この前ので上がってるだろうレベルも測定してもらうし、何時間でどのくらい潜ってどのくらいの疲労と被害と成果になるのかを見ることになってる。


この前みたいなのじゃない、踏破済みの中級者ダンジョンの1階層だけなら、なんとかやっていけるらしいとは言ってたけども。


でも、やっぱりこういうのは最初から少しずつやりたいよね。

ひなたさんもそう言ってたし、僕たち2人で安全策を通したんだ。


「最初の冒険とかレベリングとかって楽しいよね」って盛り上がったっけ。


「正直、1ヶ月でなんとかしないと……ほら、学費の方が」

「……期限の日になっても無理なら、俺が無理やり振り込むつってるだろ」

「柚希先輩に嫌われますよ?」

「嫌われたって、留年させるわけにいかないだろうが」


あ、そういえばあのすごい眠気は魔力切れだったんだって。


ちょっと寝てもまだぼんやりしてたけども……あ、でも、お肉食べたらすっかり目が冴えてたなぁ。


やっぱりお肉ってすごい。


あんなに良いのじゃなくても、ダンジョンが安定してきたらちょっとだけ良いお肉にしようかな。


ちなみにおまんじゅうはお肉だけ食べなかった。

やっぱりユニコーンだから馬で、草食系なのかな。


「そーゆーとこをちゃんと、恥ずかしがって怒鳴らずに言えたら良いのに」

「……男は多くを語らねぇんだよ」


「へー? ふーん? ほー?」

「シフト、減らすな? 柚希とも離すわ」

「あ、ちょ! ダメです! 柚希先輩が学校に来ない今、触れ合う貴重な時間なんですぅ!」


なんかバタバタしてるって思って振りかえると、光宮さんと田中君が仲良さそうにじゃれ合ってる。


……この2人、ひょっとしてもうくっついてるのかな?


幼馴染みだし、いつも仲良さそうだし……ほら、今だって何かを取り合ってるし。


「………………………………」

「きゅ」


……いいことのはずなのに。


かっこいい彼氏さんにちやほやされて、楽しい高校生活してるはずの光宮さんだもん。


田中君だって……ちょっと怖い系だけど、一応顔は格好いいはずだし、口は悪いけど小突く以上のことは絶対にしないし、やなことは「やだ」って言えば、次からはしてこない。


お似合いの、はずなのに。


……ちょっと、やな気持ち。


「きゅ……きゅひ……!」

「……おまんじゅうはのんきでいいねぇ」


おまんじゅうは、結構奇行が目立つ。


お目々とお口を限界まで開けてこっち見てることも多いし、1人でぐねぐね悶えてることも多いし……ちょうど今みたいに。


気性は相当に穏やかだし、頭が良いから悪いことも粗相もしない……ちなみにトイレしないんだね、モンスターだから……良い子なんだけど、頭が良い分何かを考えて変に解釈してるんだろうね。


だから今も……2人の動きに反応してか、おまんじゅうサイズのバスケットの上で丸くなりながらぐねぐねうねうね動いてる。


まぁ見てておもしろいからいいや。


「あ、あの、店員さん」


「……ふふっ」

「あ゜っ」


「あ、見てくださいよ田中先輩。 またやってます」

「あー、アイツ年中ぽわぽわしてっからなぁ」

「あーやって破壊された1人が先輩ですもんね」

「シフト、消しといたからな」

「あ、ちょっ!?」

「男の娘をもっと見たい」「女装が大好物」「みんなに姫扱いされる柚希くんを早く」「おもしろい」「続きが読みたい」「応援したい」と思ってくださった方は、ぜひ最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] バイトの給料形態はわからんけど、やることをやらないでいると訓告や戒告で給料下げられるし、人員調整でシフト変更もあるから、田中君の言葉もあながち間違いじゃないんだよなぁ…
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