514話 魔王軍も近代化しているらしい
【敵斥候部隊、第7波――編成が変わりました】
「っ! ……全員、前線を一段下げます! 急いで!」
「さがる」
「ふたつめ、ふみそう」
「ふんじゃだめ」
「ふまれる」
「にげる」
「うしろ、ちいさいのたち、ふむ」
どすっどすっ。
巨人さんたちが一斉に動いて地面が揺れる。
「編成は――っ、おやびんさん!」
「あいよっ! お前ら――空から駆けんぞ、着いてこい!」
マップの奥――通路からは、今までよりも細かくて数の多い敵のアイコン。
こういうとき……ゲームだったら絶対、これまでの配置だと困るような敵が登場するって決まってるんだ。
そして大抵は「初見殺し」ってのが来る。
――警戒のためにも、強くしたし強いはずのおやびんさんたちに偵察してもらおう。
そう思ったけども――
「……なんだありゃあ!?」
「か、回避しろー!?」
――どぉんっ。
きぃんっ。
空から奇襲をかけようとしたおやびんさんたちが、辛くも避けた高速の物体は――空中で旋回し、彼らを追尾し始める。
「ぬぉぉぉぉ!?」
「おやびんすげぇ!」
「おやびんさすが!」
――どぉん。
ひやひやしたけども、ほんの十数秒でおやびんさんの回避に負けて目標をロストし――空中で、爆発した。
けども。
「今のって……」
ぴこん。
【索敵情報が更新されました】
【敵・機械化魔族部隊――数、100】
「機械化……ミサイル!?」
――ばしゅううううっ。
廊下の先から次々とミサイルが飛び込んでくる。
「はなび」
「こわい」
「まおうさま」
――どぉんっ。
それらは、最前線で立っていた巨人さんたちへ、直撃。
「っ! ……お、おやびんさんたち! できるだけ引きつけて自爆させて! 巨人さんたちから逸らすだけでも充分だから!」
「おっしゃあ! 気合入れてくぞ!」
「えぇ……マジかぁ……やるけど怖くない?」
「なんだあれ、ドラゴンのブレスか?」
「尻追っかけてくるブレスだ、エロブレスだ!」
近代兵器、その中でも誘導弾って遠距離武器。
それをかわすには、機動性のある彼らしか、ない。
「巨人さんたちは……!」
【HP:35%損傷】
「……良かった、生きてる……」
もくもくと煙の中から姿が見え出すも、みんな上半身、頭から血を流している。
けども、まだ生きている。
や、話を聞いた限りモンスターさんたちや魔族さんたちは、死んでも生き返ることは可能だけども――それでもいろいろと喪うらしいし、なによりも。
「友達を、死なせたくはない……みんな下がって! 今の敵は君たちとは相性が悪いんです!」
慌てながらも操作ミスをしないよう、UIを確認しながら数人ずつに撤退指示。
「……魔族って人たち、機械文明持ってるんだ……」
「たぶん、すごくかしこい、どわーふ」
戦いにはまだ参加できない年齢らしい巨人の女の子が、教えてくれる。
「……なるほど。手先の器用なドワーフ……って、本当に居るんですか?」
「うん、いる。まおうのてさき」
ダンジョンの中で飛び交う、ミサイル。
サイズとしてはそこまで大きくはなく、せいぜいがラジコンの飛行機並み――数十センチだけども、衝突すると魔法が炸裂するらしい。
【炎・氷・闇属性の中級魔法までが確認されました】
【推定レベルは112です】
「……いまいちピンとこないけど、とりあえず巨人さんたちよりも高いレベルの敵……」
ひゅんひゅんと空中戦が繰り広げられる。
ダンジョンがやたらと広いこともあって、まるで本物の空で起きているかのごとくに縦横無尽に飛び交うミサイルと、それらを引きつけているワイバーンさんたち。
「……ユズ様」
「はい……いつまで続くか分からない以上、取っておきたかったですけど……!」
エリーさんの声に、僕は決意する。
「――ワイバーンさんたち、急降下してください! サキュバスさん、インキュバスさんたち――色仕掛け、お願いします!」
僕が振り返った先――今までは後方で待機してもらっていた――いや、そもそもどうやったら戦わせられるか、どんな戦い方するかすら分からなかった、ユニコーンさんたちの群れ。
彼らを取り囲むのは――
「あなたのツノ……すっごく立派……♥」
「純白の毛並みって……そそるわぁ……♥」
「大きな翼……ねぇ、私のと絡めてみなーい?」
「おや、良いのかい? 俺と番になってしまったら、子孫は残せないよ……?」
「ぼ、ぼく……女の子みたいだけど、男の子だよ……?」
「この大胸筋、そんなに気になるかい? さぁ、触ってみようか……」
「「「きゅひ……きゅひひひひひぃ――――ん!!」」」
――――――びーっ。
興奮したユニコーン部隊から、一斉に――対空ビームが発射された。
「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」




