511話 【悲報・エリーちゃん、消滅】
『ギィッ!?』
僕たちがたったの2人だけだと認めて突撃してきていた魔王軍が、突如として出現したおやびんさんたちに驚き、急旋回する。
「……おうおう! 誇り高きドラゴン様が、オレ様たち亜竜のワイバーンにびびってんのかぁ?」
「おやびん……」
「おやびんは馬鹿だから気づいてないけど、俺たち、なんかすっげぇレベルアップしてるんだよなぁ……」
「格下のワイバーンとはいえ、いきなりポップしたらドラゴンだって警戒とかするよなぁ……」
「しかもテイムされてるからバフ受けてるのに……」
「お、おやびんはかわいいから……」
ぽちぽちぽちぽち。
ぴこぴこぴこぴこ。
おやびんさんたちを目の前の前線へ「配置」した瞬間から、ずっと連打し続けている半透明の画面。
そこに映るおやびんさんたちのレベルを、最低でもやってきているドラゴンさんたちと同等程度には上げつつある――けども。
「ふぅ……」
……1人につき100回近く押すのは、やっぱ疲れるよ。
これ、連打機能とか数字入力機能とか、ないの……?
――ぴこん。
【一括編成モードに切り替えると、部隊全員のレベルやスキルを編集できます】
【数値の入力は音声や思念でも可能です】
………………………………。
「……先に言ってよぉ……」
脱力した僕は、おまんじゅうの背中に突っ伏す。
そうだよねぇ……こういうのって、画面のあちこちを触りまくらないと分からないものだもんねぇ……。
近所の人からもらった中古のゲームとか良くやってて、良くこういう経験してたの、思い出したよ……。
「? どうしたユズ、腹でも減ってんのか? ……っと、ドラゴンたちのお出ましだぁ! みんな行くぜぇ!」
ばひゅんっ。
おやびんが――一気に強くなったのにまるで気がついていない彼女が、元気良くドラゴン部隊へ……あ、なぜか跳び蹴りしてる。
『ギィーッ!!』
「おやびん……」
「なんでおやびん、あんな無駄な攻撃を……」
「ヒマなときに見てたアニメってので、かっこいい技覚えたんだと」
「えぇ……」
「良いんだ、おやびんはこのままで……私たちワイバーンの癒やしだから」
「ボスはユズになってるんだ……ただただ、愛でてやろう……」
……ずっと離れていたけども、やっぱりおやびんはおやびんだね。
「……じゃあ」
おやびんの変わっていないのを見て元気が出てきた僕は、半透明の「指揮画面」を見ながら操作していく。
「巨人さんたち――その中で1番大きいひとつ目のギガントさんたち。それだと数の有利を活かせないから、君たちの歩幅で5歩、後ろへ。君たちが第1防衛線だよ」
お。
本当に考えながら口で指示しただけで、画面上でアイコンが動き始め――
「「お……お?」」
ずぅん、ずぅん。
顔を上げると、部屋の入り口に張りついていた彼らが、見えない手に肩から引っ張られるようにして下がっていく姿。
「こ、このかんかく……まおうさま?」
「いや、もっとふるいかんかく……しんぞくたちからしきしてもらえた、あのときの……!」
「続いて二つ目の巨人さんたち――タイタンさんたちとタイタスさんたちは、一つ目さんたちに踏み潰されないように両脇に後方へ展開。彼らが、当たれば確実に倒せるけども大ぶりすぎる攻撃を当てそびれた敵を、第2防衛線で、叩いて」
「まおうさま……ようたい……!」
「これ……しんぞくの、しきか……」
「にんげん、まおうさまでもない」
「めがみさま……?」
「どっちでもいい、おれたちの、あるじ」
どすどすどすどす。
僕が目の前の画面で動けーって念じるとおり、この部屋だけでなく「このダンジョンのフロア全体」のマップの中、彼らが思い通りの配置へと転換していくのが――「ゲーム」みたく、真上から見た俯瞰の画面で映る。
「HPが減ってる……君たち選択したユニットはさらに下がって後方で休憩。治癒魔法……ん、そうだったね」
――――――ぴこんっ。
新しい召喚枠へ、彼女を呼び出す。
「――ユズ、様」
「エリーさん、みんな」
光とともに現れたのは、サキュバスさんやインキュバスさん――そしてエリーさん。
召喚コストってのが高かったからいっぺんには連れてこられなかったけども……やっぱり、友達とまた会えるのは嬉しいね。
「説明してる時間がないんだ。今すぐ、指揮下に入って……ひとまずはケガしてる巨人さんたちを治癒してほしい」
「――魔王閣下、仰せのままに」
「――女神様のお言葉の通りに」
ばさり。
紐だけの服を――これって服って言えるんだろうか?――身につけた綺麗な人たちが、羽を広げて羽ばたいていく。
「……ユズ様」
「エリーさんは、賢いから……一緒に考えて、知恵を貸してください」
「はいっ……はいっ……!」
ぽろぽろぽろ。
……なぜか泣いちゃってるエリーさん。
「……どうしたんです?」
「いいえ、いいえっ……! ただ、ワタシ……たった今、あまりにも理不尽な状況から救い出された恩義に、涙が止まらず……!」
「理不尽?」
鼻水を流しながら泣いてるお姉さんを見た僕は――震えてるおまんじゅうのわき腹を小突きつつ、首をひねった。
「あっ……でも、あちらで一言も言わずに来てしまった形に……?」
ぼそり。
エリーさんが、一瞬真っ青になったけども――「あちら」って、どちら?
「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」




