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477話 【悲報・大惨事】

「ワタシが、ワタシが悪いのでございます……ユズ様の香しき魔力に吸い寄せられ、ちょっかいをかけてしまったワタシのせいで、全ての歯車が……」


ごんっ、ごんっ――びしっ。


「非破壊オブジェクトで生成されている魔王城の床」へ、ひびが入る。

それでも謝罪と自己破壊を止めないエリー。


エリーのダメージは――深刻だ。

フィジカルも、メンタルも。


「エ、エリーさんっ! ゆ、柚希先輩のおかげなら良いって……良くないですよね……」


「ゆずきちゃん、帰ってきたらちゃんと謝らせないとね」

「謝るので済むのでしたら……ですけれど……」


理央、ひなた、あやの3人はとてつもない罪悪感を覚え、顔が真っ青になった。


「      」

「      」


優と教官は気を失っていた。


【かわいそう】

【かわいそう】

【エリーちゃんが死んじゃう】

【ユ、ユズちゃんのテイムモンスター扱いだから死には……いや、かわいそすぎるな……】


【かわいそう】

【かわいそう】

【ごらんよ  あれがユズワールドに振り回された常識的な大人の末路だよ】

【教官ちゃんも優ちゃんも……立ったまま白目を……】

【おいたわしい……】


「――ぐっ……この、頭の痛みは……」


「魔王様!?」


――どさっ。


柚希の仕業(仮)にダメージを受けていた魔王が――昏倒する。


それはあまりにも突然であり――魔王城に残留している全員が驚愕する事態だった。


「魔王様!?」

「メ、メイド隊! 至急療養室へ!」


「いけない……魔王様はまだ転生されて数年……魂の融合が不安定です!」

「ええ、すぐに処置を――場合によっては先代へもご協力を……」


玉座の間へ駆け込んでくるメイドたちが王を取り囲み、あらゆる治癒魔法をあらゆる角度からあらゆる部位へかけ始め、担架――いや、からからと運ばれてきたストレッチャーへと慎重に載せていく。


【もしかして:大惨事】


【そうでないとでも?】

【お前の目はどこについてるの?】

【ひどくない????】

【草】

【暴言を吐くほど混乱しているんだ……大目に見てやれ……】


【悲報:魔王の中の魔王ちゃん、ユズワールド(仮)で昏睡状態】


【もうだめだ……】

【やばすぎる……】

【ユズちゃん……どうして……】

【全国のダンジョン配信が阿鼻叫喚に】

【そらそうよ……】


魔王城は――混沌へと突き落とされた。





「うわぁぁぁぁ!?」

「来るな! 来るなぁぁぁぁ!?」


「ぴっぴっ」

「きゅっきゅっ」


――ぽいんっ、ぽいんっ。


そのダンジョンでは――初心者ダンジョンの中では深い階層を備えるそのダンジョンでは、結成して日の浅いパーティーの少年少女が半狂乱になっていた。


【落ち着いて】

【これ、ユズワールド】

【草】

【それで通じるか、こんな混乱してる子たちに】

【もうだめだ……】


コメント欄の一部から、魔王城での出来事を見聞きしていたらしい視聴者による沈静が図られる。


だが、


「いやぁぁぁぁ!? スライムが! スライムが――通路にみっちみちになりながら私たちを追ってくるぅぅぅぅー!?」

「嫌だぁぁぁぁ、スライムに捕食されて溶かされるのは嫌だぁぁぁぁぁ!!」


通常時。

スライムの中でも最弱の存在は、ゴルフボール大から確認される。


だが、少年たちの後を追いかけるそれは――ダンジョンの廊下、縦横4メートルのトンネルを隙間なく埋めるほどのサイズで、しかも時速10キロほどと、それなりに速度を上げつつある子供用の自転車並みの速度で迫っていた!


【      】

【おろろろろろ】

【こわすぎる】

【こんなんに追いかけられたらこうなるわなぁ】

【リストバンド使いな……って、混乱してたら無理よねぇ】

【ま、まぁ、大ダメージ受ける前に作動するはずだから……】


【なぁにこれぇ……】

【ユズワールド……だと思うよ……】

【むしろギャグなユズワールドの仕業であってほしいと願うレベルの悪夢】


その数分後。


そのダンジョンに潜っていたパーティー全員――およびその配信を追っていた視聴者たちを含めた全員が、救護班の詰め所を圧迫した。





「いやぁぁぁぁ!? クモ! クモ!! 脚がすっごく長くて毛がふっさふさのクモがぁぁぁぁぁ!!」


「もう……ゴールしても良いよね……」

「あはははは! ちょうちょ! ちょうちょ!」


――スパイダー系の出るダンジョンでは、そのモンスターが現れた瞬間に視聴者を含めて全滅した。





「あはは、わんちゃんかわいいねぇ」


「かわいいね」

「かわいいね」


ウルフ系がメインのダンジョンは――


「ヘッヘッヘッヘッ」


「おて!」

「ワフッ」


「ほーれ、取ってこーい」

「ワン!」


――どう見てもオオカミなウルフたちに囲まれたダンジョン潜りたちが、「犬カフェに来ていたんだった」と記憶を改竄し、ウルフたちも尻尾を振りながら相手をするという天国が広がり。





「あ゛っ♥ お猫様に、ネズミのように弄ばれる気持ち……♥」


「ニャーン!!」


――タイガー系の出現する上級者ダンジョンでは、爪や牙を当てさせず、体力を可能な限りに削らない絶妙な力加減で――ダンジョン潜りたちが、ひとにぎりの実力者な上級者たちが、両手で弾かれ、口元に咥えられていた。





【なぁにこれぇ……】

【阿鼻叫喚……のはずなのに】

【人に被害がほとんど……?】


【あっ……ユズちゃんって今やサキュバスユニコーンちょうちょ聖女ロリだけど、元はテイマー……】


【あっ】

【あっ】

【悲報・やっぱこれユズワールド】


【全国が……ユズワールドに沈む……】

【この国はもう沈んだんだよ、諦めよう】

【そっかぁ……もうおしまいかぁ……】

【草】


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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