473話 聖女奪還を模索する同盟軍
「……へぇ、そうなんですねぇ。魔族さんたちも群雄割拠と」
「うむ。我のようにレオ――ライオン系統でも戦いを好まぬ魔族やそれらの魔王も居れば、ラビット系統でも数に任せた非常に好戦的な集団も居る。種族ではなく、所属する文化の違いだ」
「なるほどぉ……あ、お注ぎしますねぇ」
「む、助かるぞ、聖女の姉よ」
とくとくとく。
玉座の間――その中心では「行方不明中でコアの制御を手にしてしまった危なっかしすぎる子供の聖女」対策で話し合う重い雰囲気で包まれているが、その隅っこではのんびりとした宴会が開かれていた。
「おまんじゅうちゃんも飲むぅ?」
「きゅひひひひひ……!」
「あらぁ、できあがっちゃって」
「此奴……本当にユニコーンの一員か……?」
玉座には劣るものの年代もの(数千年もの)のアンティーク家具で酒盛りをする柚希の母――柚乃と、彼女の面倒を見るという名目で酒を楽しんでいるライオンの魔王など数名が、テーブルの上でひっくり返り振動し、分単位で見れば移動しているのが確認できる白い毛玉を眺めていた。
【偶蹄類、お前……】
【魔王様たちから直接ユニコーンの素質を疑われるユニコーン】
【こんなんもうユニコーンじゃないと思う】
【草】
【ま、まぁ、おっぱメイドさんからユズねぇに渡されても美少女の元で結局蠢いているだけだし】
【本当、何なんだろうなぁコイツ……】
【ユズちゃんがえっち……ふぅ……なリリスになったときはユニコーンっぽい成獣?に変身してたが】
【変態の間違いでは?】
【変態なのはこの状態でもそうだろ?】
【そうだったわ……ごめん、俺がバカだったわ……】
【仕方ないよ、ユニコーンだもん】
【そうだな、ユニコーンだもんな……】
【草】
【たぶんユニコーンの種族から総スカンだよね】
【ユニコーン……頼むから異常なのがコイツだけで居てくれ……幻想が……】
【※ユニコーンとは神話上、処女にしか懐かない変態です】
【※香水振りかけた男の娘でも良いと節操がない変態です】
【やっぱダメじゃねーか!】
【草】
【ユズねぇに懐いてるのもユズちゃんみたくピュアな美少女だからだろうし】
【え、でも経産婦って】
【なわけあると思うか?】
【あるわけないな……】
【この見た目で経産婦は嘘でしょ】
【いくらサキュバスの血を引いてるとしても、年齢的にさすがにねぇ】
【なお、仮に主張通りだった場合はやっぱりユズパパ(仮)がどうあがいても極刑ものに】
【草】
【サキュバスの血が入ったロリと結婚してロリを産ませるなんて……なんて鬼畜なんだってな!】
【うらやまけしからん死刑だな】
【草】
【どんな展開になっても帰って来られないユズパパで草】
【ユズちゃんたち、お父さんの話しないけど……ほんとどんな過去があったんだろうねぇ】
「……聖女ユズの気配は、先程からこのあたりにある。もういちど私が入れば」
「で、ですけど、さっきみたいにまた柚希先輩が……魔王さんが着く前に移動しちゃったりしたら」
「うむ、逃げられているわけではないようなのだが……こう、絶妙に噛み合わないのだ……」
「あ、柚希先輩、そういうこと良くあるんです。なんだか……無意識で、したいことが終わるまで邪魔が入らないようにしてる感じで」
玉座の前の作戦会議――半透明な球体が空中に立体投影され、その光る一部を囲んで魔王と理央たちが話し合っている。
「このままでは非常に不味い。先ほどは時空魔法空間――貴様らで言う5次元空間に干渉していた。遊び気分で何れかの世界の過去と未来を気軽に変えてしまうやもしれぬ」
「え゛っ」
青い顔をする魔王の少女、そして真っ青から真っ白になった理央。
【あーあ】
【ユズちゃん……どうして……】
【出海道のダンジョンの実に3割がふわふわ漂ってて】
【実に2割が消失……大惨事だよ】
【てか5次元て】
【悲報・科学者たち、ぶっ倒れる】
【かわいそうに】
【特に感慨も無く、さらっと未確定の事象を当然の知識のように語られた科学者さんたちかわいそう】
【かわいそう】
【私の半世紀の研究……】
【あっ】
【おお、もう……】
【ま、魔王さんたちは魔法文明?だから、たとえ事実だけ伝えられても科学文明としてのプロセスはまだあるから……】
【大丈夫大丈夫 ふわふわひらひらしてるユズちゃんが捕まらない限り、積み木で遊ぶがごとくに超やべー力持ってる秘宝ってのを好き勝手に振り回して遊んでこんなもんじゃなくなろろろろろ】
【草】
【おいたわしい……】
【あの子、やっぱ1人にさせちゃいけなかったんだね】
【理央様たちがしっかり固めとかないから……】
「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」




