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ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。  作者: あずももも
16章 「聖女」を巡る、人類と魔王の共闘

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467話 「おおきないきもの」を見た

僕は飛んでいる。


僕は飛んでいる。


居心地の良い、息が苦しくならない海の中を自由に泳ぐように。


不思議な形がある。


不思議な色がある。


不思議な生き物が居る。


不思議な鉱物が居る。


楽しい。

楽しいな。


いつまでもいつまでも、なんにも考えないで興味深いものをいつまでもひらひらひらひらと――――――――


「――はっ!?」


僕は我に返った。


「ぴ?」


僕の体を包んでいるチョコも、戻ってきたらしい。


「……あれから、どのくらい……僕はちょうちょ、してたんだ……」

「ぴぴ」


僕は頭を抱えた。


「ちょうちょモード、やっぱり危険だ……特にここみたいに、魔力が濃い場所だと……うん。思考が完全に塗りつぶされるっていうか」


僕は振り返る。


そこは、上下も左右も天も地も明も暗も分からない空間。


「……もうどこから来たのか覚えてないし……夢の中でふわふわしてた気分だったからなぁ……」


そう、まるで途切れることのないぽわぽわとした映画を永遠に観ているような、無限の楽しさ――そんな感じだった。


……これ、エリーさんに聞いて何とかなる問題かなぁ……?


だってほら、サキュバスでインキュバスなリリスモードは彼女の領分だけど、ひらひらしちゃうちょうちょモードは彼女も無理みたいだし……。


「なんなんだろう……ちょうちょって」

「ぴ?」


残念なことに、どうやらチョコは――スライムにとって、僕の大切な悩みはよく分からないけどささいな悩みでしかないらしい。


この子は僕の体から排泄される汗とか皮膚のアカとか膀胱の中の水分とかにしか興味が無いらしく、ちゅうちゅう吸ってるだけ。


「おまんじゅうなら……や、あの子こそおっぱい吸ってくるだけかぁ……はぁ……おっぱいと違ってぴりぴりじくじくしたり、腫れてこないだけマシかぁ……」


僕はげんなりした。


「けど、僕、そもそもなんでここに――」


そう呟いたとたん――目の前に穴ができた。


「あ、出口」

「ぴ」


良かった、正気に戻ったから帰り道が分かったんだ。

だから僕はそのまま、何にも警戒とかしないで入り込んだ。


――まぶしい光。


その先には――――――――


「……へ?」


それは、海の生物のドキュメンタリー番組で見たのに似た光景だった。


薄暗い空間を埋め尽くす、小さな影。

それらは、長細い。


「………………………………?」


離れすぎていて、よく見えない。

もっと近づいてみないと。


「チョコ、あっち行くよ」

「ぴ♪」


ぱたぱた。


僕は半透明の羽を――周りの膨大な魔力、そしてちょうちょしてたときに蓄えてたらしい、ちょっと前に使い切ったはずの魔力を超えるそれを込めて10倍の大きさにして。


ちょうちょとかじゃなく、鳥みたいに羽ばたいた。





1――10――100――いや。


「無限」。

数えられない数のこと。


「………………………………」


それは、本来は弱い魚とかがするはずの行為。


集団でまとまって、遠くから見るとまるで大きな生物が1体居るかのような姿になっている、とんでもない数の集団。


けども、それは。


「……ワイバーンさんたち……や、もっとごついしかっこいいからドラゴンさん……なのかな」


――ゲームとかで見たことがある、かっこいいドラゴン。


それが、「何か光り輝くとてつもなく大きいもの」を取り囲んで、それごと引っ張りながら――宙を移動している。


ドラゴンは、光り輝く宝石が大好きって聞いたことがある。

だから、それがただの宝石なら別にいいんだけども……。


「……宇宙。そっか、魔力が高すぎる場所は、宇宙なんだ」


それ以外の場所は――無数の光り輝く星々。


「……はぇー……」


全天どころか足元まで全部、永遠に続く光のプラネタリウム。

ドラゴンさんたちを見なければ、この光景だけで何時間でも楽しめるはずのもの。


「けど、ドラゴンさんたちは一体……?」


無言の連携で一丸となって進んでいる彼らの向かう先が気になって、僕はその目の向いている方向を見てみる。


「――――――――……………………」


青く輝く星。


地球。

それとも地球によく似た、地球型惑星ってやつ。


僕は振り返り直す。


――彼らは、あの星を目指している。


獲物を求めて、星から星へと移動し、空間から空間へと渡り歩いている。


――「蝗害」。


その先にあるものを食べ尽くして滅ぼし尽くす、バッタさんたちのドキュメンタリー番組を思い出す。


「………………………………」


……しゅんしゅんしゅん。


僕は羽を小さくして――可能な限りに目立たないようにして、そっとぱたぱたとその集団へ近づいていく。


「……チョコ。あの人たちの言ってること、どうにかして分からないかな」

「ぴ」


――――――――ざっ。


お父さんの「遺品」の中にあった、古いラジオでツマミが微妙に合っていないような雑音交じりでかすかだけど、映像が流れ込んで来る。


「………………………………」


――それは、「捕食」する楽しみ。

――それは、「支配」する悦び。


その対象は――「狩り」っていう「アトラクション」をついでで楽しめる、ある程度賢くて反撃してきてくれる存在。


かつては「そのそっくりだけどすっごく強い存在」に守られていたけれど、それらはドラゴンさんたちが滅ぼし、止めるものなんて存在しない。


だから、


「――すぐに、帰らなくちゃ。あと、魔王さんにも頼んでみなきゃ。あの人、強い部下がたくさん居るって、メイドさんたちが言ってたし」


僕は、彼らからそっと離脱する。


――最強のモンスターが無数に集まるその集団の目的地は、人間の住処。


その先が地球かどうかは分からない。

けども――アレらは、止まることはない。


「なら、急いで帰って……きっとダンジョンから出てくるんだろうから、警戒してもらわないと。いや」


僕は、思い直す。


「『ダンジョンがあるから、出てきちゃうんだ』」


だから僕は、僕の願いを叶えてくれている「それ」へ――――――――


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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