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464話 ひらひら舞った

うっかり羽で飛んだ状態で遭遇しちゃった、モンスターの大群から逃げてきていた人たち。


「……天使……?」

「シスターさん……聖女……?」

「綺麗……」


僕の華麗な機転で彼らは落ち着きを取り戻している。

なら、まずは。


「……そこのあなた。その傘、貸してくれますか?」

「え? あ、はい……?」


僕は最前列に居た人から、恐らく無意識に武器として持ってきていたであろう傘を受け取り。


「……スライムは、触れると危険ですけど――棒でも良いですし、傘なら」


――ばさっ。


「ぴぎー!?」


ぶちゅんっ。


……からんからんっ。


傘をばっと広げ、そのまま柄で突き刺し――倒して魔石になったのを確認して、傘を閉じる。


……あっ。


今の……間違えたらテイムしちゃってたんじゃ?


「………………………………」


……よし、魔石になったままだし、何の声も聞こえない。


そうだ、本来テイムっていうのはかなり低い確率で――こうやって直接的にでも間接的にでもモンスターを倒したときに起きるものだったはず。


そうそう、いつだったか忘れたけどもモンハウとかでみんなと乱戦したり、あのでっかい空飛ぶヘビさんのときの戦いでもテイムとかしなかったもんね。


ていうか僕、そもそも半分はサキュバスらしいし……インキュバスの間違いではあるんだと思うけども、まぁテイムしてなかったから良いや。


してたら?


説明がすごく大変になってたと思う。

してなくて良かったね。


「こうやって、女の人や子供でも――対処法さえ分かっていれば、地上に出てきているのは倒せます。僕自身も、直接の戦闘力とかありませんし。なので、モンスターは――種類によっては、誰でも対処可能です。僕みたいな子供でも、子供より力があるはずの女の人でも」


僕は、静かに向き直る。

走ってきているモンスターたちを、あえて無視して。


……今の僕はそこそこレベルが上がってるはずだし、みんなにかみかみされてもちょっと痛い程度でちょっとくらいなら持つはずだから、あえてのんびりと。


「さぁ、戦えないと思う人は傘や棒を手に取って、お互いを守って。そうですね、傘を広げてぐるっと、アルマジロさんみたいに。でも……なぜかは分からなくても戦えるか持って思う人は――僕と一緒に、戦いましょう。『聖女』としてあなたたちを守りますから――勇気を出して、戦いましょう」


今、この瞬間、この場所は――僕1人じゃ弱いけども、そんな僕ですら強いって状態になっている。


だったらせめて、僕が知っている――ずっとずっと、毎年ダンジョンに潜りたくって学校のダンジョン関係の授業とかイベントとかで熱心に聞いて覚えようとしていた、戦うための知識だけでも伝えないとね。





「スライムは……お、えらい! 木の枝とかバットとか持ってる子供たちが率先して! 吹きかけてくる液体に気をつけて!」



「ラビットは素早いし、ツノがありますけど……たぶんレベルが低いし魔力が少なくて弱くなってるから、飛び上がる限界の胸元からお腹、あと男の人はお股! そこへ直接じゃなきゃ刺さらないはず! ちょっと痛くても我慢して腕とか体の横でガードしてください!」



「コウモリさん――バット系は素早いし血を吸って体力と、適性のある人は魔力を吸われて弱らせてきます! 基本は武器で叩くしかないので……今は僕が戦います! 教われそうになったら頭を覆ってしゃがんでください!」





「……勝った……?」

「嘘……」

「嘘じゃない……見ろ! ゲームみたいにみんな綺麗な結晶――魔石ってのになったし、何よりも」

「これはポーション……これは武器。アイテムも、ドロップするんだ……」

「本当、ゲームみたい……だけど、現実……なんだよな……」


「ふぅ」


なんだか相当ぶりに強い敵と戦った気がしたけども、そういやそもそも僕自身がここまで疲れるのって、ヘタしたら何ヶ月ぶりってくらいだもんね。


そもそも僕はテイマー――サキュバスだかインキュバスだか知らないけど、とにかくテイマーだから、いつもみんなに守られてきた。

そのうえでおまんじゅうを胸元でぎゅって抱きしめて安心して、そのおまんじゅうがびーってビーム出してやっつけてくれてて。


エリーさんとかおやびんさんとかが増えたけども、僕自身が前に出て――理央ちゃんみたいに拳でかっこ良く戦えるわけでもなく、ひなたちゃんみたいに大きな剣でずばーってずしって戦えるわけでもなく。


あやさんみたいにかっこいい魔法をぽんぽん出せるわけでもなく、優さんみたいに騎士って感じのRPGゲームでの主人公みたいな剣と盾での戦いをできるわけでもない。


――あの子たちの中で、僕だけ男なのに。


僕はかっこいいところを見せたいのに、1回たりとも見せられたことはないんだ。


「はぁ……」


「? シスターさん? 大丈夫?」

「聖女さん、俺たちのために空を守って飛び続けてくれてたから……」

「あの……たまたま見えちゃったんですけど、飛んでるときに……その、下着……黒で、紐だった気がして……」


ああ。

僕は結局、いつも守られてばっかりだ。


それはもうしょうがないって諦めてる。

諦めては、いるけども……それでも、やっぱり男なんだから――――――――


「――聖女さん、上!」

「ふぇ?」


とっさに反応して上を見た僕は、


「あっ……」


――上から急降下してきている――たぶんさっきの群れを率いていただろう、初心者ダンジョンだとボスくらいは強そうなコウモリさんと、目が合った。


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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