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ユニコーンに懐かれたのでダンジョン配信します……女装しないと言うこと聞いてくれないので、女装して。  作者: あずももも
16章 「聖女」を巡る、人類と魔王の共闘

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462話 お母さんがやらかしてて泣いちゃった

ダンジョンが世界にあふれた、あの日。


僕は忘れさせられちゃってたけども、この日にお父さんは勇者として戦って魔王さんに連れてかれちゃって、お母さんは大ケガしてて、僕はそんな光景を見ていて。


そのお母さんは、このとき、当然だけど今から11歳若かったはず。


そしてお母さんは若作り――じゃなくてサキュバスの遺伝子?か何かと家の地下のダンジョンのせいで、僕よりちょっと上のお姉ちゃん止まりの見た目。


――僕が17歳……や、18になってるんだっけ……なんだからお母さんは18年前に僕を産んで、つまりこの日の僕は7歳で、さっきの田中君と同い年で。


……そう、7歳。


今目の前に居る先生さんたちからすれば、7年前にお母さんは僕を身籠もったわけで――そのときにお父さんをゲットしたって言ってたから。


僕は、絶対に聞きたくない答えを聞くために、声を上げる。


「……その人、『柚乃』って名乗ってて、確か教育実習生?ってのだった男の先生……『星野』って人と結婚したとか……その、学生結婚で高校生のうちに……」


「ああ……」

「やっぱり……」

「星野先生、そんなことする人じゃなかったから……」

「星野先生以外の全員が信じてたが、まさか……」


「あの子が、本当にサキュバスだったなんて……いえ、踏み込んだときの様子がどう見ても……その、アレだったから……」

「だから言ったでしょう……高校生女子が3日間新人教師を監禁し、三日三晩……その間、2人の不在に誰も気づかなかったのは不可解だったと……」


……あぁ。


僕は、頭が痛くなった。


……お母さん……!


詳しく話してくれなかった「お父さんをメロメロにしてゲットした」方法……サキュバスっぽいって、みんなが言ってるんだけど……?


一体何をしたのさ、お母さん……。

ていうか、その時点からサキュバスの血が濃く出てたんだね、お母さん……。


今はリリスモードだから分かるけども――「お父さんをメロメロにしてゲットした」方法ってさ、いわゆるサキュバスさんのえっちな風評の通りで、風評被害なんてお母さんが生み出したくらいじゃない……?


「顔がそっくりだったので……ええ、私が現場で保護したときの見た目は、本当にあなたと……」


「……姉です……こっちにふらふら来ちゃって、たぶん、その男の人が気に入りすぎて……その、サキュバスって、えっと……どうしても好きな人ができたら本能的に歯止めが効かなくなるっていうか……あ、でも、1人だけ! 1人だけにしかそういうことしないはずなので! はい! 今どきのサキュバスは!」


今さら「ソレ」が「僕のお母さんなんです」とは言えない。


言ったらこのあと――ここに居る僕が帰った後の世界で、お母さんが発見されたら絶対に、この話になる。

んで、お母さんの子供っていえば――女の子にしか見えない顔と髪と服な当時の僕がサキュバスなんて不名誉すぎる認識になる。


それは嫌だ。

お母さんみたいに人間の男の人を絡め取る存在なんて思われたくないんだ。


「姉に代わり、お詫びします……本当に何て言えば良いか……」


「い、いえ、顔を上げてください!」

「そうです! 悪いのはお姉さんだけです!」


みんなが優しい。


「わ、悪いって言っても、その後も星野先生は私たちを始め町のみんなで説得し、事実は明るみになりませんでしたから!」

「星野先生は立派な先生として、隣町で――あっ……」


あ。


……隣町なんだ、壊滅してるって情報は、もう……。


「……あの、空を飛んで来たんですよね?」

「……はい」


「なら、隣町が無事かというのは……」


「………………………………」


――さっきの光景を思い出して、胸がきゅっとなる。


腕を失い、血だらけになってお母さんと僕を守り抜いたお父さん。

血まみれになって危険な状態になっても、潰れた家の中で僕を抱きしめて守ってくれたお母さん。


――そんなお母さんを――その後10年間寝たきりに近くなろうとも生きさせてくれてくれた魔王さん。


呆然としていた僕へ、駆け寄ってきてくれた理央ちゃん。


「……ぐす……」


「「!?」」


「……あ、ごめんなさい……僕が、もう少し早くこっちへ来られていたら……そう、思っちゃって……」


――僕は、なぜだか分からないけども過去の世界に来ている。


けども。


「僕の仲間――すっごく強い子たち――を連れてきて、あと1日早く到着できていたら。そうしたら、あんなことには……っ」


そうだ。

僕は、遅すぎたんだ。


「――良いんです。良いんですよ、サキュバスさん……いえ、優しい聖女さん」


――ぎゅっ。


さっきお父さんのことを聞いてきた女の先生が、僕を抱きしめてくれる。


「あなたは、とても優しいんです」

「そうです、やろうと思えば私たちのことなんて……」

「なにより、この被害を見て泣いてくれるんだ……それはもう」

「俺たち人間と変わるところのない……良い『人』なんですよ」


……それからしばらく、僕は泣いた。


たぶん、お父さんが居なくなっちゃったことを――11年越しに実感して。


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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