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460話 リリスモードで先生たちが気絶した

「……特に頭を打ってもおらず、脈拍も正常……学校の設備程度でしか調べられませんが、この少年は問題ないでしょう」


「良かったぁ……さっきからうわごと呟いてたから」


僕はほっとした。


だって、来る途中、ずっと意味不明なことを呟いたりびくびくしたり、まるでおまんじゅうみたいだったから。


おまんじゅうはおまんじゅうっていう生き物だしモンスターだからへっちゃらだろうけども、普通の人間――しかもダンジョン適性がない田中君がそうなってたから、何かあるかもって不安だったんだ。


「ですが……」

「その……」


「?」


小学校の保健室。


そこでパンツ一丁にさせられた田中君を「ちっちゃいころはこんなにちっちゃくってかわいかったな」って思ってたら、保険医の先生を始め、入り口から覗いてきている先生たちが声をかけてくる。


「……?」


あー。

そういえば小学校の先生たちって、こんな感じの雰囲気だったなー。


「ふへ」


「ヴッ……」

「先生、ロリコンだったんですね。尊敬していたのに……最低です。汚らわしい……」


「ま、待て! これは誤解だ! さっきの――先生もそうだったけど、あの天使を見ていると何か――待ってくれ、連れて行かないで――」


たまたま僕と目が合った先生――20代くらいの男の先生がうずくまり、周りの女の先生たちからなぜかゴミを見るような目で見下ろされ、屈強な体育教師さんにずりずりと引っ張られていく。


「……?」


あの人、なんで発情してたんだろ。

男の人の発情はあんまり嗅ぎたくないんだけどなぁ。


「……大変失礼しました、女神様」

「僕、人間ですよ?」


「えっ」

「えっ」


「……?」

「……?」


僕に話しかけてきた先生が、変な顔をしてる。

僕もたぶん、変な顔してる。


「し、しかし……」

「羽根が……」


「羽根? ……み゛ぃっ!?」


そうだった!


田中君はおまんじゅうになっちゃってたし、他には誰も居ないからって羽根出してひらひら飛んで、「おーい」って小学校の屋上に居たこの先生たちに声かけられたからふわふわ降りちゃって、生やしたままだったんだ。


焦ってるから羽根がぱたぱた動いちゃって、それを止めようとしても逆手になるから掴めなくって。


「このっ、このっ!」


「      」


「――先生……女性なのに。誰か、先生もロッカーに閉じ込めてください」

「残念です、――先生……」


なぜか女の先生までうずくまったのを別の先生が引っ張り上げてどこかへとずりずりしていくけども、そんなことはどうでも良い。


何か……何か、言い訳――そうだ!


「み、みなさんは! ダンジョンについてどこまで知っていますか!」


「ダ、ダンジョン……?」

「ゲームか何かの話でしょうか……?」

「いえ、異国の神なら神話などの洞窟のことを……」


「あ、違う違う、そうじゃなくって」


なんだか僕は勘違いされている。

これはまずい気がする。


神様扱いは困る、すっごく困る!


なんだかみんなと見てたニュースとかで、僕が勇者とか壮大な肩書きで褒められてるのを見て恥ずかしかったんだ。


だから――――――そうだ!


「……リリスモード」


「「えっ」」


――ぶわぁっ。


僕の服がはじけ飛び――かけたのを魔力で引き留めて着直し、ちょっとだけ高くなった目線からみんなを見る。


僕の魔力が――リリスモードの、濃い魔力が。

紫色にも見えるそれが、保健室を包み込む。


「この通り……えっと、サキュバス……の、子孫?です。神様とかすごいのじゃなくって、サキュバスの」


あ。


インキュバスって言えば良かった。


「言い間違えて、実はインキュ――」

「す、少しお待ちください!」


「え? あ、はい」


今回こそ、最初から「僕は男なんです、こんな見た目だけど男なんです」って言おうとしたけども必死な感じで遮られた。


「……そ、その……わ、私たちの……」

「……せ、生殖本能が刺激されているのは……」

「先ほどの先生たちも、もしかして……」


「?」


なんでみんな、若い先生からおじいちゃんまで座り込んで真っ赤になってるんだろ。


……って、あ。


この、みんなからむわって来る匂い。


――何よりも、僕の体からほとばしっている匂いは――!


「ご、ごめんなさいっ! こ、これに慣れてなくって、何か変なのまき散らしちゃってましたぁ!」


僕はぐーっと力を込め……あ、収まってきた。


「……ふぅっ、良かったぁ……」


僕は安心した。

安心したから、もう大丈夫ですって笑顔を見せた。


「「「      」」」


「?」


先生たちが、白目を剥いている。


「……? おーい」


手をふりふり。


……みんながおまんじゅうになっちゃってる。


「おかしいなぁ……すんすん。匂い、抑えてるはずなのに……あ、換気しなきゃだめかなぁ」


僕はしぶしぶ窓際へ寄って、今となっては懐かしい古い校舎の――そうだ、隣町の学校だから造りがおんなじなんだ――薄い窓を開けた。


「ふぅ」


どうやらリリスモード――気を抜くと着てる服がはじけ飛んで、このモードになった瞬間からなぜか着ていることになっている紐になっちゃうし、羽根は大きくなっちゃうし、おでこの横にはうにょんってツノが生えちゃうし。


あと背がお母さんくらいになっておっぱいもお母さんくらいになるこれは、変身直後にみんなを大変なことにしちゃうらしい。


うん、僕はひとつ学んだ。

僕はバカだけど、ちゃんと学習できるんだ。


「……ああ、そういえばそうだった……パジャマでリリスモードになったときとか、理央ちゃんたちが発情してたし……その他にもいろいろと……」


僕は落ち込んだ。


……エリーさん、こういう大切なことはちゃんと教えておいてほしかったよ……!



◆◆◆



「教えましたけどぉ!? だからちゃんと収められているはずですよぉ!?」


「ゆずきちゃん、そのときたぶんぼーっとしてたよ」

「えっ」


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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これはひどい いろんないみで
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