446話 【速報・生き別れのサキュバス発見】
「――なるほど、雷魔法で全世界に視界共有をしているのか……中々興味深いな、その蠢く幼体よ」
「あら、かわいい子。性に目覚めているようでいて、まだぜーんぜん子供だからおませちゃんなことしかできなさそうなユニコーンねぇ」
むんず、と――結局無意識でメイドが運び連れてきたユニコーンを掴みあげるサキュバスが、配信カメラを間近から眺める。
「すごぉい。この星の反対側からも見てる子が居るわよぉ」
「見どころがある人間たちだな……魔王様にも進言しておこう」
【あっ(尊死】
【唐突な美人さんが】
【何この完全な左右対称完璧美人】
【これが……サキュバス……】
【見切れたインキュバス?もかっこ良すぎて】
【ガチ恋距離】
【あっあっあっ】
【綺麗過ぎる】
【生きてる彫刻みたい】
【ユズちゃんとかエリーちゃんはかわいい系だけど、これが大人の色香……】
【\3000000】
【あの、おふたりの後ろに隠れてる子は?】
「……ふむ。少なくとも魔王様の危惧されているような圧政も抑圧も無いようだがな。ああ、これはもう少しで成体の仲間だ。人間に照らし合わせたならば、私たちの……子供に近いのか?」
「どう? なかよくできそうかしらぁ?」
なぜか熟年の夫婦のような仲の良さを見せつける淫魔たちが、連れている「子供」へ問いかける。
「……何世代も離れてるし、子供過ぎて無理」
ぼそり。
2人の後ろに隠れたままの――エリーより少し幼い程度のサキュバスは、下を向いたままに声を上げる。
エリーより幼く、けれど柚希よりは多少大きく――柚希の母親と同じくらいの背丈と声に、柚希たちと同じ髪質と色を備えたサキュバスは――警戒の色をあらわにしている。
【かわいい】
【かわいい】
【顔は見えないけどかわいいこと確実】
【だってサキュバスだし】
【お子ちゃまだけどな】
【それが良いんだろ?】
【分かる】
【けど……何世代?】
【どういうこと?】
【とりあえずちっちゃい】
【体はユズちゃんよりちょい大きいくらい?】
【中学生くらいか】
【引っ込み思案?】
【でもえっちな格好してるよ?】
【えっちな中学生……】
【痴女って、いいよな……】
【いい……】
【ユズちゃんとエリーちゃんのせいで紐とか露出に目覚めたんです! 同じサキュバスなら責任取ってください!】
【草】
【草】
【さ、サキュバスだから……服はしょうがないって】
【紐がサキュバスの正式な服装なのか】
【あー】
【魔王様も人間みたいな見た目してたけど価値観とか絶対違うだろうし、他のモンスターな種族たちの中では別に違和感ない格好なのかも】
【なるほど】
【見切れてるドラゴンとかが服着てなくても俺たちには違和感ないしな】
【えっちとか思わないよね】
【え?】
【全裸だし、あの立派なウロコに興奮しない?】
【え?】
【えっ】
【えっ?】
【草】
【この裏切り者が……】
【まさか人間の中に、すでに……?】
【待て、俺はただの人間だ!? それに、これはただの特殊性癖だぞ!? は虫類とかドラゴンが好きなのって普通!】
【そ、そうだぞ! ほら、猫耳とか好きだろお前ら! それをちょーっとだけ濃くしただけの、ケモナーの一種って考えてくれたらそんなにおかしくないはずだから!】
【ただの……?】
【??????】
【悲報・人類、罪深い】
【やっぱ滅んじゃえよこんな変態種族】
【草】
【このロリサキュバスに介錯されるならいいや……】
【でも、サキュバスなら1回くらい良い夢見させてくれたら嬉しいなぁって】
【ばかばっか】
「……言っておくが、私はすでに子を産み育てたぞ、人間共。お前たち換算だと私は数百歳だからな。子供扱いするでない」
じとっ。
幼い見た目のサキュバスがカメラをにらむも、ユニコーンの向きのせいでぎりぎり見切れている。
【ふぁっ!?】
【!?!?】
【この体で……】
【経産婦……?】
【ふぅ……】
【\1000000】
【えぇ……】
【もしかして:ユズねぇ】
【ユズねぇはまだ中学生でおませな子供でしょ!】
【結婚してユズちゃん産んだってことにしてるお姉ちゃんじゃ?】
【だよなぁ】
【でもこの声、やっぱユズねぇとユズちゃんにあんまりにも似過ぎてるような……?】
【顔! その子の顔を見たいわ!】
【偶蹄類! もうすこしカメラを下に向けろ!】
【草】
【おまんじゅうちゃん、ここ来てからずっと気絶してるから……】
「……馬鹿が」
じろっ。
大人の2人と同じように配信コメントを見ているのか、むすっとした顔で――下げていた顔を、カメラへ向ける少女。
だが、その顔は――――――
「――っ!?」
同族――なのにケタ違いの存在に我を失っていたエリーが、ようやく立ち直りかけて下へと目線を落とし――目を見開き、硬直する。
「おわっ!?」
驚いた拍子に飛び出したエリーの翼がおやびんに直撃し――干し肉に夢中だったためにそのまますっ転んだ彼女が、最寄りの魔王に助け起こされる。
「ど、どうしたんだよエリー! 羽が痛――……!?」
彼女たちが驚いたのも、無理はない。
なぜなら――
【ふぁっ!?】
【えっ?】
【????】
【ユズちゃん!?】
【ユズちゃんの顔!?】
【じゃない!】
【ユズねぇ……?】
【よりももうちょい上】
【JKくらいか】
【けど……】
【どう見てもユズねぇ……の、お姉ちゃん……?】
【もしかして:ユズちゃんの生き別れの姉妹】
【まーたサキュバスが増えるのか、地球……】
【こんなんサキュバスの惑星だよ】
【草】
――その顔つきは髪質は、紛れもなく柚希、その母親と似ていて。
なんなら、瓜二つで――「姉妹どころか双子でもおかしくない」ものだった。
「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」




