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443話 台風の目

僕は、「魔力を使い果たしたときみたいな眠気」でもうろうとしている。


何を見ても聞いても、ふわふわしてきている。


『……まったく神族め。融通が利かぬ……が、まずは1人。「還ってきた」あれを見よ。少しばかり持ち出しになるが、奴との約束は守る。だが、最も大切なお前にとって大切な存在が来る――代わりに、父親のことは忘れよ』


「え……」


僕がふんわりとした目で、魔王さんの目線を追うと――


『……ゆずきちゃぁぁぁーん! どこぉー! 生きてたらへんじ、してぇー!』


遠くから――けど、よく響く元気な声が。


今と比べると、とっても幼くて――でも、今と変わらない元気な理央ちゃんの声が――――――



「……ほぇ?」


僕は、目を覚まし直した。


「……今の……ああ、なるほど。だから僕は」


理央ちゃんから視線を戻すと、もうそこには魔王様は居ない。

もういちど目を向けると、そこにはもう誰も居ない。


ただの、暗闇。

ただの、空間。


「………………………………」


情報を整理しきれないと判断した僕の頭が、勝手にリリスモードってのになる。


「お父さんのこと……そういやお母さんも、ずっと……うん、なにより僕が完全に忘れてたのは……幼かった心を、守るため。そして、あの魔王さんの……だから無意識に僕の心は。――『よっぽどのことがないと何も気づかないし、気づけない』、みんなからはちょうちょとか言われてる状態に――」





「申し訳ありません申し訳ありません、我らが主人がそのようなご迷惑を……!」

「申し訳ありません申し訳ありません、お預かりしている身分で目を離してしまうなどと……!」


「申し訳ありません申し訳ありません、ユズ様は……その……少々、目についたものへ吸い寄せられる性質がありまして……」

「申し訳ありません申し訳ありません、それを知りながらお可愛らしさに撃沈され……そのせいで城は現在非常事態でして……」


「いえいえいえいえ……」

「いえいえいえいえ……」


城へ入り、大広間から広い正面階段を駆け上がり――切ったところで情報交換を済ませた2人は、何度目となる謝罪の応酬で何度目に立ち止まり、深々と頭を下げ合う。


【おいたわしい……】

【かわいそう】

【あーあ、ユズちゃんに関わっちゃったばっかりに……】


【あー、そういやエリーちゃんもメイドさんも、どっちも自分からユズちゃんに目をつけたってのは同類か】


【あっ】

【草】


【そして保護者として被害担当になると】


【かわいそう】

【かわいそう】


「きゅ、きゅひ……きゅぴぃ……」


腰を折って謝り合う2人。


その片方――なぜかメイドの腕の中で、まったく気づかれずに圧迫されているユニコーンが蠢いていた。


ついでにそのHPは危険水域まで削れていた。

一方で、その目は血走っていた。


【駄馬は耐えろ】

【おっぱいに潰されるんなら本望だろ淫獣!】

【いっそのことおっぱい圧でぷちっと】

【爆発四散しろ】

【配信カメラさんだけ置いてな!】

【草】


【画面がメイドさんおっぱいで】

【言うか白い布しか見えないけどな】

【なんでメイドさんがユニコーン抱っこしてるのぉ……?】

【ユズちゃんの大切なペットだって聞いちゃったから……】


【あ  ユニコーンが喜ぶってことは、このメイドさん……】


【!!!!】

【男子サイテー】


【待て、百合っ子の可能性もあるぞ  だってあの魔王っ子ちゃんのメイドだし】


【ふぅ……】

【百合吸血鬼主人×メイドか……】

【百合っ子カップルはどこまでユニコーンの範囲か……悩ましいな】

【それは大変にお美しいですわ】

【草】

【ばかばっか】


「しっかしバカでけぇ城だなぁ……俺様もこんな城に住みたかったぜ。あ、築何年だ? 古いほど良いんだろ?」


「ええと、4万と2000年くらいかと……改修を重ねており、完全に見る影もございませんが」


「すげぇ……! なぁなぁ、俺様、今度泊まりに来ていいか!?」

「お、おやびん様っ! 一応は敵地ですので……!」


ぱたぱたと翼を動かしながら目を輝かせる――中身童女。


【おやびん……】

【おやびんは……うん……】

【ユズちゃんのおともだちだから……】

【草】


【うん、精神年齢はね……】

【い、癒やし枠だから……】

【大人のフリしておしゃけ飲んじゃって仲良くなった仲だからね】

【草】


【けど、建物が古いほど良いって感性が分からん】


【あー、欧州とか建築物がデフォで残りやすい土地では、いわく付きでも古い建物が好まれるんよ】


【なるほど】

【アジアでも古いのはすげぇってなるだろ?】

【アジアは湿気と地震でなぁ……】

【すげぇ(良く残ってたな】

【↑それな】


「……それで、そのコア――制御機構というのは」

「はい、ここから先の玉座の間から奥にございます」


早足で駆けるメイド。

その足は、紅と金で豪華な絨毯の上を音もなく走り抜ける。


【すげー】

【綺麗っていうかすげぇ城】

【こんなの欧州の観光地でも早々ないぞ?】

【ていうか現役の城だもんなぁここ】


【※外ではすさまじい数のミサイルやドローンVS.飛行系モンスター(ドラゴンとか普通に飛び回ってる)の大戦争です】


【※この世界で最大の戦力が囲んでいます】

【※国連の空母打撃群どころか水上打撃群も囲んでます】

【※事実上、この地球の全火力の9割です】

【※台風の目って青空って言うよね】


【草】

【ひぇっ】

【空気が……まるで違う……】


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

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