431話 【速報・ダンジョン、あふれる】
【え……あの浮遊魔王城みたく、出海道のダンジョンが「全部」、地上へ……? 冗談……、え……?】
【 】
【 】
【 】
【じょばばばば】
【怖すぎる】
【待って 待って】
【魔王ちゃん、どうして……】
【※この大惨事の元凶はどう考えても誰が考えてもユズちゃんです】
【草】
【力が……抜ける……】
【ユズちゃん……どうして……】
【ユズちゃん??? なんでこんな大ごとになってるのに気がつかないの?】
【いや、さすがに気がついてないわけ】
【ヒント:魔王っ子ちゃんをヤンデレにさせたのはユズちゃん そのユズちゃんが何か言えばあのかわい子ちゃんは絶対スクリーンに映ってても反応するはずです】
【もうだめだ……】
【草】
【ユズちゃん、おいしいごはんとかもらって気づいてない説】
【ユズちゃん、メイドさんにいい子いい子されて気づいてない説】
【ユズちゃん、おふとんですやすや説】
【あーあ】
【ごらんよ エリーちゃんが、魔王城の前でガチ泣きしてる】
【「ごめんなさいごめんなさい」って……】
【ぶわっ】
【エリーちゃん、元気出して】
【そうだよ、エリーちゃんは悪くないよ】
【本当になにひとつ悪くないよ いやマジで】
【草】
【「何だ、これ……」】
【「きゅいっ!?」】
【おやびんも偶蹄類落っことすレベルでびっくりしてる】
【草】
【淫獣はともかく、おやびんですらやばいって分かったか】
【かしこいね】
【かしこいね】
【悲報・エリーちゃんの配信、どこ見てもチョコちゃんが居ない】
【えっ】
【草】
【もしかして:落っことされてどっかに転がってった】
【えぇ……】
【えっちなお兄さんお姉さんもぽんこつワイバーンたちも、みんなそれどころじゃないっぽいし】
【あの子、ユニコーンに汚染された以外は割と行動原理不明なとこあるから……】
【まぁ硬すぎるシルバースライムだし、たとえあのお城から地面に落っこちても大丈夫……だよね……?】
【ユ、ユズちゃんと一緒にレベルアップしてるならそのはずだけど……】
【ユズちゃん……どうして……】
【本当にどうしてこうなった】
【ユズちゃんだからだよ?】
【もうそれでいいや……】
【草】
【草生やしてる場合じゃないけど草生やすしかないんだよなぁ】
【それな……】
【現実逃避してるの!!!】
【あのさ……】
【おう】
【どうした】
【いや、今それどころじゃ】
【言ったって、揺れてる地域は机の下に潜るか、それ以外のとこは見守るしかないし】
【軍属以外は自宅待機だもんなぁ】
【で、それで?】
【うん……あのさ これ、ユズちゃんがユズちゃんでユズちゃんな事情を引っこ抜いて客観的に属性だけで見るとさ】
【それを引っこ抜いたらもはや事実ではないのでは……?】
【あっ】
【草】
【うん、そうだね……やっぱいいや】
【おい待て落ち着け】
【そうだよ、ユズちゃんに惑わされるな】
【草】
【ユズちゃん……どうして……】
【良くないからはよ】
【こういう勘の良い奴のコメントはな、聞きたくなくても聞かないと後で後悔するってロリ女神の件でみんな知ってるからね……】
【それで?】
【うん これ、見方によっては「人に紛れてた魔王が人目を欺いて隠れ続けて、生殖可能年齢っていう働き盛りの男女のうち半分の女性を行動不能にして戦力を減衰させて、んで信頼?を勝ち取って安心させたところで別のもっとやべー魔王を誘惑して連れてきて侵略させて自分は守られる姫ムーブっていう、どう考えてもダンジョンで言うトレイン」みたいな感じなんじゃないかって……しかも、たとえ真実がそうだったとしても、俺たち……ユズちゃんのこと、恨めないから本当でも詰んでるっていう……】
【あっ】
【草】
【君みたいに賢い奴は嫌いだよ……】
【ああ! 連合軍の空母から爆撃機が!】
【ああ! ギュアムから新兵器をロリ女神にぶち込んだ大型爆撃機が!】
【白い家「聖女の所在すると推測される城、ならびに動力源と思しき下層部中央には当てません」】
【ふぁっ!?】
【悲報・頭が切れる奴のせいで攻撃が何十段階か繰り上げられた】
【ユズちゃんが居そうな場所「には」……つまり……】
【もうだめだ……】
【ついさっきまで、どんなことがあってもユズちゃんの救出第一って……】
【そのユズちゃんがひらっひらしてた裏で暗躍してた可能性が1ミリでもあるって誰かさんが言っちゃったからね】
【ごめんね……ごめんね……】
【草】
【かわいそう】
【まぁ民間人が気づくレベルのこと、お偉いさんたちはとっくに知ってるはずだけどね】
【それもそうか】
【え、でも、爆撃機】
【上空で待機するってアナウンス出てるぞ あくまで万が一のためだって】
【なんだ 解散】
【はー、やれやれ】
【まーたユズちゃんだよ】
【あの飛び級自称高校生め……】
【あの子、どうしてリリスモードにならないんだろう……】
【お姫様抱っこされてたあの顔見たろ?】
【草】
【もうだめだ……】
【ユズちゃん……どうして……】
【どうあがいても絶望に収束して草】
【あっ】
【え?】
【あっ】
【あっ】
【ひぇっ】
視聴者たちが絶望する中。
――各ダンジョン、数分前までは地下で封じ込められていたモンスターたち。
そのうち、飛行可能な種族たちが――いっせいに、飛び立ち始めている。
それはまるで、出海道に数千あるダンジョンが、その全てがいっせいに――11年の沈黙を破り、人類に再び牙を剥いたにも等しい光景。
それはまるで、地上に出現した数百の空母から無数の艦載機が発艦したような光景。
そのあまりの恐怖に、現在十数歳以上の――「その日」を覚えている全人類が――かつての恐怖を、思い出した。
人類が絶滅を覚悟した――ダンジョンという異質な世界があふれた、あの戦いを。
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