43話 助かって、なんだか眠くって
「――君たち大丈夫か! 先ほど外のモニターで、君たちがモンハウに遭遇したのが映っていたから……あ、あれ?」
【イケメン死すべし】
【帰れ】
【あっち行け】
【しっしっ】
【百合の園に男はお呼びでない】
【落ち着け、救助要請で駆け付けてくれたイケメンだぞ】
【良いイケメンか、ならば良し】
【追いついて来たパーティーに女の子もいるぞ】
【ハーレムとかうらやまけしからん】
【まぁ女に餓えててユズちゃんたちに襲いかからないだろうからマシか】
【なら無害か、通って良し】
【うむ、許可しよう】
【ただしこの子たちには指1本触れるなよ?】
【俺たちのだからな】
【草】
【偉そうで草】
【でもさ 危険なときに駆け付けてくれたイケメンに、この子たちも……】
【とくんって】
【ああああああああ】
【ときめいちゃう?】
【やめて】
【やめろ】
【そうして4人で、このイケメンの取り合いでぐちゃぐちゃに……】
【どうしてそんなこというの!!!】
【止めてくれ……こんなに初々しい女の子パーティーが男のせいで崩壊するのは止めてくれ……】
【流れ弾で草】
【だって、それなりにあるもんなぁ……】
【助けられてとくんってなっちゃってあああああ】
【イケメンのパーティーに吸収されちゃってああああああ】
【ユズちゃんたちがこのイケメンのハーレム要因として女の顔してああああああ】
【草】
【被害妄想過ぎて草】
あれからまだ何体か、モンスターが出て来て。
それをみんなで倒し続けていたら、いつの間にか周りはモンスターの結晶とかドロップ品だらけに。
で、気が付いたらしんとしてて。
みんながはあはあ言うのしか聞こえなくなってて。
みんなでお互いを何回も見て、何が起きたのか分からなくって。
でもなんだかみんな嬉しそうな顔して……。
そうしてみんなしてぽけーってしてたところに、がちゃがちゃと走ってきたお兄さんたちが居た。
「ケガは!?」
そのお兄さんは、背が高くって。
とりあえずで1番近くに居た僕に話しかけて来る。
「……あ、はい、僕たちの治癒魔法で治せる程度です……」
「そうか、良かった……うん、目立った外傷も……」
【ああああああ】
【ユズちゃんがとろんとしてるぅぅぅぅ】
【イケメンに至近距離でのぞき込まれてるぅぅぅぅ】
【ユズちゃんが見上げてるぅぅぅぅぅ】
【腕を取られてるぅぅぅぅぅ】
【ユズちゃんのおててを両手で持ち上げてるぅぅぅぅ】
【あああああああ】
【あああああああ】
【やめて……まさかの初回配信でNTRはやめて……】
【俺たちユズちゃんが好きで来たの……お願い……お願い……】
【草】
【何この地獄】
【悲惨すぎる】
【推しの突発配信で初回ダンジョン。 その結果はまさかの颯爽と現れたイケメンに横取りとか】
【炎上どころか伝説になりそう】
【なりそう】
【もうなってるよ、SNSで】
【ああ……盛大に弾けてるな……】
【草】
僕の片手を握って「良かった……」って言ってる、背も高くてかっこいいお兄さん。
なんかくらくらするけど、多分緊張が抜けたからなんだろう。
さっきからひなたさんも夢月さんも座り込んでるもんね。
だって、僕たちがんばったから。
【ユズちゃんが雌の顔しててああああ】
【やめて……やめて……】
【なんかぞくぞくしてきた】
【お前……】
【戻って来い、その先は闇だぞ】
【いや、これ魔力切れだわ……こういう顔になるんだよ】
【そういやそうだな】
【あー】
【とろんってしてるの、イケメンに惚れたからじゃないんだな!?】
【いやまぁその可能性は極めて大だが】
【田舎の純朴で純粋でピュアなユズちゃんだもんな】
【そんなところにイケメンが助けに来て、おてて握ってきたら……】
【ああああああ】
【ああああああ】
【ひでぇ】
【草】
【冗談はさておき、多少の経験があるとは言っても、理央ちゃんだってぎりぎりなレベルのモンスターに囲まれたわけで】
【多分レベルアップしてるだろうけど、さっきまではレベル1だった3人は体力も魔力もすっからかんだろうしなぁ】
【だよな】
【レベル1でモンハウと、廊下からおかわりだもんなぁ】
【しかも数体強いの混じってたろ?】
【初心者向けダンジョンって思ってたところにあれだもんな】
【でもユニコーンのレーザーでさくさくだったじゃん?】
【お前、テイムされたモンスターはテイマーの魔力使うんだぞ】
【あっ……】
【つまり、あやちゃんと同じく魔法使い続けたようなもんか】
【ひなたちゃんもあやちゃんも途中から戦ってたし、ユズちゃんも何発かレーザー使わせてたし。 むしろよく持ったよ、ここまで】
だーっと流れてるコメントも、さっきがんばって見ようとしたけども無理だった。
もう頭が回らないんだ。
「……念のために全員に治癒を掛けるね。 ドロップや結晶は俺たちが拾っておくから、今はすぐに出口に行こう」
「ふぁい……」
お兄さんたち……多分近くに居たパーティーの人たちなんだろう……けど装備とか高そうだし、なんでそんな強そうな人が居るんだろ……のヒーラーさんが僕たちに駆け寄ってきて、ほわんってあったかい治癒魔法を掛けてくれる。
「おまんじゅう……あ、寝ちゃってる……」
そういえば静かになってる胸元を見てみると、おまんじゅうが本気で寝てる。
完全に脱力して、もう吸い付こうとすらしないで、すやすやとあったかくなってる。
「……君も眠かったら運ぼうか? 倒れてケガをしては意味がない」
「ふぁい……お願いしまぁす……」
【ユズちゃんだめぇぇぇ】
【らめえええええ】
【あああああああ】
【俺は……俺は!】
【嫌だ、応援したいって思った子がいきなり寝取られるのは嫌だ……】
【どうして世界は理不尽なんだ……】
【もうだめだ……】
【なんでこの野郎はユズちゃん誘惑してるんだ!】
【だめぇぇぇぇ俺たちの推しなのぉぉぉぉぉ】
【取らないでぇぇぇぇ】
【どうせ……どうせ女の子はみんなイケメンに……うう……】
【阿鼻叫喚で草】
【しゃあない】
周りを見ると、ひなたさんはお兄さんの仲間の女の子に抱っこしてもらっていて、夢月さんも女の人に肩を貸してもらっている。
……良かったぁ、無事みたいで。
【ユズちゃん離れてぇぇぇぇ】
【あああああ】
【あああああ手が触れてるぅぅぅぅ】
【もうだめだ……】
【お前ら、一応救助活動だぞ……】
【緊急事態なんだ、諦めろ】
【え、無理】
【俺たちの豆腐メンタルを舐めるな!】
【ユニコーンの異名は伊達じゃないぞ!】
【男と会話するだけでもNGなんだ! 触るだけでもっとNGなんだぞ!】
【何いばってるんだよ】
【開き直りすぎて草】
【ユニコーン先輩! 何寝てるんだ、乙女の貞操の危機だぞ貴様!】
【肝心なときに役に立たないなこのユニコーン!】
【でも寝顔はかわいいなちくしょうこの畜生め!】
【その角は飾りか!? 飾りなのか!?】
【草】
【しょうがないだろ、おまんじゅうちゃんもがんばってたじゃんか】
【さっきのピンチのときの何倍のコメントで草】
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