表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
425/485

422話 「魔王城」の出現

出海道、その中心付近――そびえる山脈の上空。


「ご覧ください……! 出海道、その人類到達圏内『だった』大規模ダンジョン――その地中深くから、ダンジョンそのものが浮かび上がり……現在も移動中です!」


軍用ヘリから軍用の帽子を被っているニュースキャスターが――撮影限界の距離まで離れているとはいえ、もはやいつ撃ち落とされてもおかしくない危険地帯を逐次中継している。


【ひぇぇ】

【もうだめだ……】

【こわいよー】

【でかすぎるだろ……】


【底辺が10キロ四方以上・縦はその数倍の桁違いなサイズのビルみたいな見た目、しかもダンジョンだから壁も天井も床も非破壊オブジェクトで、少なくとも通常兵器は完全に無効なトンデモ物体が魔力とかいうトンデモな力で浮いてるの、怖すぎる】


決死の覚悟――その表情と畏怖の象徴を交互に眺める、全世界の視聴者たち。


「その構造は……ご覧のように、地中からそのまま何百層の構造物を。遠目にはミルフィーユ生地のように、浅い通常の階層が19に中ボスの少しだけ厚い階層、それが無限に積み重なったような形状をしています! 色さえ変えたらおいしそうですね!」


「……お腹空きました? レーション食べますか?」

「ええ! 私も今朝着の身着のままで避難をしたので! 食べます!」


ヘリ内部から軍人と思しき声に、よだれを垂らしながら振り返るキャスター。

人は、食べねば餓えるのだ。


【草】

【かわいい】

【正直でよろしい】

【報道の覚悟決まってるな】

【死地で腹空かせる根性は大切よね】


巨大構造物――「地上に現れた」「ダンジョン」。


その周囲を――安全とは判断されない空域を、数十の戦闘機や偵察ドローンが飛行し、旋回し続けている。


今、この世界で最も危険な場所。


出海道の高い山脈のさらにその高い上空は、本来なら穏やかな天気を楽しむはずが一転――使われることはないと確約されてはいても世界中の全武器の照準が向いている、今この瞬間に何が起きてもおかしくない、火薬庫どころか爆弾の中そのものだった。


「こちらからですと、カメラで最大まで拡大してわずかに確認できる程度ですが……そのてっぺんには、お、お城が出現しています! そうです、ユズちゃ――こほん、『勇者にして聖女』、星野柚希さんが誘拐されたと思しき構造物です!」


【草】

【朗報・ユズちゃん、全世界の前で堂々読み上げられる】

【俺たちのユズちゃんが、とうとう世界へ】

【とっくに羽ばたいてなかった……?】


【うん、羽ばたいてたね  ひらっひらして】

【敵に抱っこされてきょとんとしてたからね】


【草】

【草】

【力が……抜ける……】

【もうだめだ……】

【ユズちゃん、どうして……】


【本当だよ!! おかげでシリアスすぎる状況が『ユズちゃん』のひとことでことごとくほんわかしちゃうんだよ!!】


「しかし、何故――推定最深階層にあったはずの、あの大規模攻略で確認されていた巨大な城が、何百層も上に出現しているのでしょう」

「分かりません……もはや魔王という存在の魔力は、非破壊オブジェクトすら自由に扱えるということでしょうか」


出海道――あまりにも巨大な島。


そこからの民間人は、迅速に99%が退避を完了。

残るは決死の覚悟で残り、移動してきた軍人のみ。


その周囲の海域は、ことごとくに全世界の軍艦で埋め尽くされている。


世界の9割の海上軍事力が――広いとはいえ、ただの島を完全に包囲する光景に――「ユズちゃん」で心和まされながらも、固唾を呑んで見守るしかない人々。


「国連安保理でも明言されましたように、かの城には――数ヶ月前に魔王ミヅチの討伐の功績を持ち、かつ――少し前の『大サバト』で東アジア全域から太平洋で、数ヶ月後にとんでもない数の子供をこの世界にもたらした『ユズちゃん』が居るため、『彼女』の安全を確保するまでは絶対に総攻撃は行われないということです!」


「去年この国で使用されました、500階層のダンジョンを最下層まで貫通する新型兵器。それも救出後までは使わないと、合衆国も表明しています……だからこそ我々がこうして報道できているわけですが、逆に言いますと、人類から手を出すことは今のところ……」


【朗報・世界がユズちゃんを守護らねばと思っている】


【草】

【かわいいもんね】

【かわいいもんね】

【脳が……再生する……】

【草】


【ああ、各国首脳も羽ばたかせられたか……】

【サバト魔法、どこの国も欲しがってるからね】

【ユズちゃんがひらっひらしてやらかしたおかげでユズちゃんの安全が確保されているのか】

【草】


【あの  ロリ女神降臨もあったとはいえ、一応ガチの魔王討伐……】


【※エリーちゃんも一応魔王扱いです】

【※おやびんも……ぽんこつだけど魔王扱いです】

【※それを支配下に置いているので、一定数の勢力がユズちゃんも魔王扱いします】

【※それでもあまりのちょうちょっぷりに警戒心を解いています】

【草】


【あの子、結果的には全部良い方向に持ってくよね】

【※その途中で大被害を出しています  主に周囲の性癖とか性癖とか性癖とか】

【もうだめだ……】

【草】

【ユズちゃん?? そろそろ起きよう? もうひと晩経ったよ??】


【ユズちゃん、下手したらなんにも警戒せずに、普通にお世話になってるんじゃ……】


「え? えっと、応援してくれると嬉しいです。具体的には最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に、まだの方はブックマーク登録……なにこれ、理央ちゃん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ